童謡集:モンキーパズル(小黒恵子作)
こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。
今日は、小黒恵子最後の詩集となる「童謡集:モンキーパズル」をご紹介します。
小黒恵子氏は、5冊の詩集を出版されています。1作目から「童謡集⇒詩集⇒童謡集⇒詩集⇒童謡集」と、童謡集と大人の詩集が交互に出版されています。
「小黒恵子」と聞くと、NHKの「みんなのうた」「おかあさんといっしょ」で歌われているような、いわゆる「子どものうた(詩)」を書く詩人、という印象が強いのですが、少しドロドロとした大人の詩集を、童謡集の間に(童謡集と併行して)出版されていることも、とても興味深いことと思います。
最後の詩集となる「童謡集:モンキーパズル」では、野に咲く小さな草花や虫を歌った詩から、サバンナで繰り広げられる鳥獣の死闘の詩まで、色々な詩が含まれています。
昭和四十五年に、はじめての童詩集「シツレイシマス」を出版してから、十七年目になります。
その童詩詩が契機となって、新聞テレビ雑誌レコード等、発表の場を与えて戴き、エッセイや講演、詩の朗読と、大変豊かな経験と勉強をさせて戴いた恵まれた歳月でした。
こどもの世代は、人生の基盤となるもっとも大切な時期です。
詩を通して、こどもの旅の道中のひと時を、サッとかすめる風であり草花であり、昆虫であり動物であり、友達でありたいと思います。
自然の神秘と美しさ、生命の尊さ、生きる悦びと幸せを、そして愛の心を伝えたいと思います。
表題の「モンキーパズル」は、昭和五十九年にNHK「みんなのうた」で放送されたうたです。
モンキーパズルは大変珍しい木で、日本には三ヵ所にあるだけと言うことです。
その一本が熱海の伊豆山に在り、その所有者である牛島祐基氏が、昭和五十九年秋、モンキーパズルの木の下に、詩碑を建立して下さいました。
除幕式には多数の関係者参列のもと、熱海少年少女合唱団により、「モンキーパズル」のうたが演奏されました。
それが契機となって今秋、熱海少年少女合唱団創立二十周年に、熱海にちなんだ組曲の作詞の委嘱を戴き、演奏の運びとなりました。
一篇の詩、一曲のうた、一本の木がこうして思いがけない拡がりの輪で結ばれた幸せを、改めて感じるのです。
(あとがきより一部抜粋)
「子どもの日」風薫る多摩川畔にて--
あとがきにある「熱海の伊豆山に建立された詩碑」については、何人かの方からお問合せいただいているのですが、その詩碑は、現在ではどうも見あたらない様です。詩碑が建てられてから約37年、という歳月の流れを感じさせられます。
Ⅰ
新しいいのち ジンジン
はるの 時計
野原のパレット
ぼうしがとんだ
あさがおのうた
カタツムリ ムム
かまきりくん
あかとんぼ
秋のきかんしゃ
うまっこ どさんこ
けずりたての 鉛筆のように
大きなリンゴの木の下で
神父さんの帽子
アンデルセンの旅
鳩よ
Ⅱ
モンキーパズル
ロバと少年
ロバ ちょっとすねた
シツレイシマス
アヒルと少女
ハダシとハダカ
ドラキュラのうた
ぼくんちのチャボ
トックリバチの トックリ
リスじいさんの くるみわり
空を飛んだ自転車
おなべの きかんしゃ
たんけんきかんしゃ しゅっぱつ
お星さまからの でんわ
やあ こんにちは
Ⅲ
マリンブルーの 空の下で
トムソンガゼルの祈り
ライオンの子守唄
アカシアの笛
ジャンボ
マサイの少年
キリンの詩
老獣の詩
大草原のキャンバス
木の王様 バオバオ
謝肉のまつり
うし蛙の会話
飛べ しま馬
サバンナの砂柱
大平原の黄昏
この詩集の詩に作曲された曲も多く、それらの曲は「うたのパレット*」という「小黒恵子 こどものうた選集」という楽譜に収められています。
*「うたのパレット」は、別の機会にご紹介します。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
次回からは、個々の詩を、いくつかご紹介していきます。(S)