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No.483 小黒恵子氏の評価(?)記事-49 (詩へのいざない)

 こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。

 様々な新聞記事等をご紹介しています。今回は、新聞に掲載された小黒恵子氏の詩への評価記事 をご紹介します。

詩へのいざない
「よく見、聴き、知ろう  そして おぼれず、素直に表現」
 

 女流詩人たちが、次々に詩集を出す。新人の台頭もめざましい。専門家だけでなく、女性ばかりの詩のグループの同人雑誌発行も目立ち、主婦や女子学生の間にも、詩を読んだり作ったりする人が増えている。雑誌の投稿欄やコンクールもはなやかだ。そこで、詩人の薩摩忠氏に、女流詩人の詩を引用しながら、詩へのいざないをつづってもらった。

                                                                                             薩摩 忠
 詩に興味を持ち始めたという女性に会った時、わたしは「新川和江を読みましたか」と聞いてみる。
< (略) >
が、すぐれた女流詩人の目は違う。おぼれる寸前に制御がきくばかりでなく、目の目と心の目とが一つになって対象に向けられるのだ。もう一度「壺」を読んでいただきたい。新川和江さんの詩の魅力もここにあるわけだ。
ところで、次に挙げる三人は、いずれも現代詩女流賞の受賞者だが、それぞれ個性豊かな愛のうたい手たちである。
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<三井葉子さん、金田千衣子さん、田村さと子さんについて記載 (略) >
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 絵本のための詩、ジュニアを対象にした詩の分野も、女性詩人たちの活躍の場である。昨年は高田敏子さんが「枯れ葉と星」、新川和江さんが「野のまつり」という、少年詩集を出版しているが、日本児童文芸家協会の新人賞を獲得した鶴岡千代子さんの「白い虹」や小野ルミさんの「半分かけたお月さま」などは、女性らしい繊細な感覚とやさしさのこもった仕事だ。
 無類の動物好きで、昨夏、アフリカまで動物と語りにでかけた小黒恵子さんは、昆虫詩の書き手として信頼できる一人だ。習性などを的確にとらえ、ウィットに富んだうたいぶりで、こんなふうに詠む。「なぜだろう/タバコも 吸わないのに/茶いろのニコチンを/吐くとは。」これは、自然の中で「バッタ」とつきあってこそはじめて書ける作品で、その観察眼は、こまかく、あたたかい。
< (略) >

日本経済新聞 昭和54年(1979年)5月21日 

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 次回は、1982(昭和57)年の新聞の紹介記事をご紹介します。(S)

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