三度目の執行
小倉です。「東京ゼロ地裁 執行」の3冊目が、双葉文庫より発売されました。これまでのカバーは白を基調にしておりましたが、今回は黒です。いっそう不気味です。
冒頭から読者を嫌な気分にさせるのは、小倉作品ではいつものことながら、今回は特にキツいかもしれません。書いている本人も陰鬱になるぐらいなので。
どうかそこで心を折られることなく、最後までお読みいただけたら幸いです。
なお、細谷正充氏の書評が、双葉社のCOLORFULに掲載されております。
こちらも是非お読みください。
ミステリーやサスペンスの作品に触れるときに、けっこうな頻度で苛立つことがあります。例をあげれば、捜査機関の失態で容疑者を取り逃がす、捜査員が色恋沙汰に現を抜かして重要な場面を見逃す、敵を倒したあとにとどめを刺さなかったために逆襲されるといったものです。それによって読者あるいは視聴者、観客をハラハラさせたいのかもしれませんが、こっちはイライラするだけです。
悪党側がミスを犯すのはかまいません。けれど、やつらを倒す側が、つまらないことで混乱を招くのは腹が立つだけです。
もしかしたら、それで人間らしさを表現しようとしているのかなとも思います。しかし、そういうのがあまりに多すぎる。安易ですし、正直食傷気味です。
作品を書く上で気をつけていることのひとつが、実は以上の点なのです。