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適応障害とお酒

この病気になっていちばん変わったことは、お酒との付き合い方だ。
普段のわたしはビールが好きで、一人になれる時間があれば大衆居酒屋を巡るのが趣味だ。夫が平日休みの時は、定時ダッシュからの学童お迎え夕飯作り家事すべての面倒を放棄して、キリの良いところまで仕事をし、その後は居酒屋で瓶ビールを1-2本飲んで、モツ煮や焼き鳥をつまみながら小一時間、好きなYoutubeやドラマを見ながらチビチビやって、特急に乗って帰る。束の間だけれど自分だけの時間を持てることが幸せだ。
退職する前、心の不調が深まれば深まるほど、そんなチョイ飲みでは済まずに、家に帰ってからも強いお酒をたくさん飲んだ。夫や子供達が寝静まったあと、キッチン棚の奥に隠した角瓶やワインをひっそりと出して飲む、そこまでして飲まずにいられないどうしようもなさと、二日酔いの倦怠感でさらに自分を追い込んでいた。

弁護士さんを通じての退職手続き中は吐き気が止まらず胃腸が荒れてしまって、お酒はおろかごはんさえまともに食べられなくなり、あの一か月でストレス過食で太った3キロ分がまたたくまに減ったから、まるで身体を張った相殺だ、チッ。

働いているときは、週に1度休肝日があればマシな状態だったけど、仕事をしなくなり、ただ毎日主婦をしていると自然とお酒を飲まなくなった、お酒ってその日がんばった自分へのご褒美だったり、憂さを晴らすために飲んでいたのだと実感する。

適応障害になってから、ちゃんと眠れなくなってしまったので、飲酒による高揚感より睡眠が大事になる。処方された薬も薬剤師さん曰く、お酒との相性がめちゃくちゃ悪いというので、それが抑止力にもなるし、飲酒によって眠りが浅くなり食いしばりの辛さも加算されるから圧倒的に眠りたいが勝る。
薬を飲んだらお酒を飲まない、お酒を飲む日は薬を飲まない、そんな感じでやってきた。

とはいえ転職して仕事をするようになってからは、やっぱり飲みたいなって思うことが増えた。帰ってすぐ一本だけビールをキッチンで立ったまま飲む。たまの金曜日近所のママ友から飲みのお誘いを受けても断らないし、週末に夫がいれば、ビールでカンパイをしておつまみを作りながらおしゃべりしてワインやウィスキーも飲む。適度なお酒は、睡眠に悪影響を及ぼさない(はずだ。)

さて金曜日。適度という言葉を忘れてしまったのか転職先の歓迎会で三次会まで行きひたすらビールを飲み続けて、帰る時には声が伊藤沙莉になった(三角チョコパイの季節。)朝方、目が覚めたとき頭がグワングワンとする二日酔いのしんどさを久しぶりに味わい、飲み過ぎたことを後悔し、この三連休は飲まないと決めた。酒飲みの悪いところは、どれだけ辛い二日酔いを経ても1、2日もあれば、決意したことなど忘れて飲んでしまうところだが、今回は体が受け付けない感じがする。

最近、朝は薬でダルくなった体を目覚めさせるようにストレッチやヨガをしてから家事をはじめる。休みの日に今いちばんキツイのが少年野球の送迎と見守り(屋外で突っ立ってるだけなのに異常に体力を消耗する)で、これがあと3年続くと思うとめまいがする、それが終われば食材の買い出しにスーパーへ行き、平日分のおかずを作っている間に、鍵の交換や、テレビの修理業者が出たり入ってりして、さらに季節の変わり目で咳き込む息子を休日対応の小児科に連れていき、帰ってきたら夕ごはんの支度やもろもろの家事に追われる、それがようやくひと段落したら、ゆっくりとお風呂に入る。スーパー銭湯に行く日もある。束の間の一人だけの時間。じんわりと汗をかくとビール飲みたい!ってなるけれど、ヨガをして薬を飲んで眠る。心身のバランスを崩してからは、忙しくても、体を休めるとか労わるとかとにかく自分を大事にしようと意識をするようになった。

かつてのようにモヤモヤした気持ちを打ち消すお酒は飲まない。いやそんなふうに飲みたくなる自分も許す、後悔したり罪悪感を持つほど飲まない、明るく楽しくご褒美として嗜むのが、いまのわたしにはいちばん良い気がする。

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