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引き出しを持つこと

前回記事を読んだシェフからクレームが入った。
「…これ、わたしが聖人君子みたいじゃない?」

そんな風に書いたつもりはまったくないのだけれど、もしかしたら日ごろのリスペクトがあふれてしまったのかもしれません。
ということでパティゼロ第2弾をお届けします。
あ、「パティゼロ」ってのはわたしが手帳に予定を書き込むときに使っている略語です。「パティシエ経験ゼロの妻が~」は長い。縮めて#パティゼロ、ハッシュタグまで込み込みです。

今年で開業3年をむかえようとしているシェフの店ですが、週3の営業とは言え話すと出てくる出てくる色んな情報が。
お客様のこと、商品のこと、あんなことこんなこと、あんな夢こんな夢いっぱいあるけど…。
自問自答して考える量が多いのだと思います。こちらの3倍ぐらいは考え抜いている気がします。わたしが考えてなさすぎかもですが。

話していると、メモが追い付かないことが多い。スマホ片手にメモアプリ(最近はGoogleキープがお気に入り)に打ち込んでいくのですが、思考が周回遅れになることもしばしば。それでも、クラウド上にはずいぶんとメモがたまってきました。吐き出すことは大事ですね。こんなん、アタマの中にとどめていたら早々にパンクする。キャパが少ない。プレステのメモリーカードぐらい。だからとにかく外部媒体に記憶させる。脳の外で考える。

そのストック、足りていますか?

先日、夜に話していた時のこと。
「これがけっきょく大事なんだと思う」とシェフ。
お、スイッチ入ったな!と、わたしはノールックでスマホを手に取りながらGoogleキープを起動。取材の準備は整った。
話したのは、レシピのこと。

recipe:レシピ
「recipe」は、料理の作り方や材料を記した指示書のことである。
料理を作る際に、手順や必要な材料を確認するために用いられる。
また、独自のレシピを考案し、他人と共有することで、新たな料理の発見や人気料理の普及にも繋がる。

Weblio辞書

レシピは意外と日々の生活に転がっている。
テレビ、ラジオ、雑誌、料理本、WEB、スーパーのレジ回り、食品の裏表示…
無数にある媒体。ふとした瞬間に引っかかっても、いざ使おうとしたときにアレ?ということは多くの人が経験したことがあるのでは。
どこに直したっけ?WEBの検索ワード何だっけ?
そしてだいたい見つからない。喪失感だけが残る。逃がした魚はデカかった問題。
だからこそ、記録しておきたい。できればアナログ、有形で。
レシピを取りためるということは、いつでも使える状態にしておくとうこと。とくに雑誌は要注意。店頭から消えた雑誌は、よほどのことがない限り2度と同じ場所には並ばない。メルカリの類で、本来よりも高く買う羽目になる。雑誌なんて安いもの。広告を出稿してくれる企業のおかげで、1,000円前後で買える(そう考えると書籍の安さは、たとえ値上がりしたとはいえ異常だ)。あの情報どこいった?の時間は大いなるロス、そうなるぐらいなら買ってしまおう。それこそ不要になれば中古市場の海へ放流すればいい。

取りためたストックはいわば資産。開業したあなたを、中長期的に助けてくれる。通常業務に追われていると、このストックすらままならない。だからこそ、時間のあるときに取りためるのだ、レシピを。余力があれば、ここではないどこかへ旅行に行き、現地の料理を知る。食材に触れる。経験に投資できれば、最高。

A recipe has no soul.You, as the cook, must bring soul to the recipe.
レシピに魂はない。料理をするあなたが、レシピに魂を込めるのです。

Thomas Keller|トーマス・ケラー

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