インドの旅 (3)
ジャイプールで、水の宮殿を見るために車を降りた。
観光客を相手に、道端でヘビ使いを披露する男性がいた。
かごからヘビを出す様子を見ながら、私は写真を撮った。ヘビとヘビ使いの男性と記念撮影もした。
直後、男性が手を差し出した。
写真は有料だった。
ヘビ使いのとなりで、小さな子供が、
何だったか覚えていないけれど、ショーをやっていた。当然見てしまった。
見ていたなら払ってよというように、少年は手を差し出した。
こう言うシチュエーションは毎回戸惑ってしまう。
ヘビ使いは写真を撮ってしまったので仕方がないけれど、でもまさか有料なんて思ってなかったし…
少年の方は思わず見てしまっただけやねんけどな…
モヤモヤっとした。
ある日の夕食のレストランで、お手洗いに行った。
そのレストランは外国人観光客が多いお店だった。
手を洗い終えると、横からロングワンピースを着た若い女性が手を拭く用の紙を差し出した。
にこやかに、スッと。
私の直後に手を洗った友人も紙を受け取った。
そのあと手を洗った欧米の方にも紙を渡していた。
私はもう一度お手洗いに行った。
女の子はまだいた。
また紙を渡してくれた。
あの子は何なんだろう。
ずっとお手洗いにいるということが不思議でならなかった。
友人ともあの子は何やったんかなぁと話したけれど、
宗教に起因するものかもしれない、おそらくカースト制なのだろうと感じたけれど、
何だかガイドさんにはこの事は聞いていいものか、触れて良いものなのか分からなくて聞けなくて、結論は出ず。
お手洗いで紙を渡すだけの職業なのではないか。
間違っているかもしれないが、ここに落ち着いた。
安全にインドを旅ができて、
上辺の上辺しか見ていない事は自分でも分かっていた。
それでも、衝撃は受けたし、来てみないと分からないものは確かにあった。
後半は見慣れて普通になったけれど、
路上の野良牛はすごくたくさん見た。聞いてはいたけれど、本当にいた。
先生が言っていた、『20代でインド』はギリギリになったが、急いで行ってよかった。
感覚が若いうちに、経験値が少ないうちにたくさん受け取って、自分の中に取り込んで、たくさん考えた。
大人になると、許容できてしまう。
性格がどんどん図太くなるというか。
少々のダメージは、こういう事もある、こういう人もいる、と受け流すようになる。間に受けないように自然と回避するようになるのだろうか。
20代で、旅先で受け取ったインパクトは、
宝物になった。
先生、ありがとう。
インドは1回では終わらない気がしていた。
数パーセントぐらいしか見ていない。
もっと何かあるんじゃないかと思っていた。
わたしは10年後、もう一度インドへ行った。