「アジャイル型組織」とはなにか?
突然ですが、「アジャイル」とは何でしょう?
システム構築やソフトウェア開発で使われている開発用語です。
短期間のサイクルで試行錯誤を繰り返しながら進めていく方法を「アジャイル開発」と呼んでいます。
仕様の変更に柔軟に対応することができ、短い期間で開発できるのがアジャイル開発の強みです。
最近、この考え方を組織に当てはめて、新しい組織のあり方を表す用語として広く使われるようになってきました。
日本の大企業の大多数がピラミッド型の組織で、トップの権限が強く、意思決定に非常に時間がかかっていました。
アジャイル型の組織では権限が社員に分散されているので、意思決定のスピードが速く、変化に柔軟に対応できるため、効率的に業務を進めることができると考えられるようになりました。
なぜアジャイル型組織が注目されるのでしょう??
1990年代後半からのインターネットの発展とともに、デジタル技術を使って今までになかった新しい事業を展開して躍進する企業が続々と現れました。
また、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による影響も少なくありません。
DXとは、デジタル技術やデータを活用し、時代や顧客のニーズにあわせてビジネスモデルの創出や組織の変革をすることです。
今後、企業が競争力を維持するためには、DXの導入が不可欠ともいわれています。
アジャイル型組織が持つ特徴とは?
「アジャイル型組織」では、各メンバーに権限が分散されており、リーダーも上からメンバーをひっぱるというよりも、メンバーが柔軟に動けるようフォローするといった縁の下の力持ちのような役割を持ちます。
柔軟さと明確な目的意識
アジャイル型組織では、戦略を設計する際に、既存の価値観に縛られず、ゼロから価値を創造することを重んじます。
また、顧客第一主義を貫けるように、ほとんどのアジャイル型組織では行動の基本となる指標や目的を明確なビジョン(「北極星」と呼ばれたりします)として共有しています。柔軟な対応ができる組織構造
アジャイル型組織の構造はフラットで、社員一人一人もしくはチームに権限が分散されています。
各自が権限を持っているため、上司や経営層の確認に時間を取られることがありません。
アジャイル型組織は、組織全体が強い信頼関係で結ばれた一体感と団結力を持つコミュニティでありながら、年齢や役職に関係なく権限を与えられることにより、誰でも遠慮なく意見が言いやすくなるといった個人を尊重した組織文化が培われるのも特長です。
各自が自律的に行動し、新たな価値を創出するような発想や独創的な解決策を生み出すことを求められます。高速PDCAサイクル
企画、実行、改善という一連の業務サイクルが速いことも大きな特長です。
例えばアジャイル型組織で新たな商品やサービスを開発する場合、すべて完成させてから提供するという流れではありません。
迅速に成果物を形にして、まず市場に出し、顧客のフィードバックをもとに改善してまた市場に出す、という短期サイクルを繰り返します。
積極的に実験して失敗し、そこから大いに学ぶことが求められます。DXが実現しやすい
日本でDXの導入が進まない要因のひとつに「今までのやり方を変えるのに抵抗を感じる」と考える方が存在します。
この考え方は、従来のピラミッド型組織に属する人が持っているケースが多い傾向です。特に大企業は「変化することへのリスクを取りにくい」「IT導入に必要な教育や予算などの準備が煩雑」といった理由も加わり、よりDXが実現しにくくなっています。
一方、アジャイル型組織はメンバー全員が一定の権限を持ち、チーム規模自体が小さいことも少なくありません。
DXの導入が進まない要因となりがちな変化への抵抗意識や問題が発生しにくく、小規模で試験的に導入しやすいため、DXが実現しやすい環境が整っています。
アジャイル型組織に適応できる人材になるには?
アジャイル型組織では、「うまくいかない」「うまくいっていない」状況を機敏に察知して、機敏に打ち手を考え、行動することが求められます。
そのためには、的確な情報共有の方法と、アクションができるための指標を示せる能力が必要になってきます。
つまり、だれもが見てもわかるようにビジョン化できるようになる必要があるのです。