"首"は最高にエンタメだったという感想
北野武監督作品、首を見ました
まず第一に、めちゃくちゃ面白かったです。
2時間があっという間という月並みな感想ですが、まさしくその言葉が似あう作品でした。
様々な思惑のある戦国時代、いろいろな方面から切り取られてきましたが、北野武監督が描くとこんなにもエンタメになるのかと感動しました。
アウトレイジや座頭市での構想が非常によく煮詰まった作品だと思います。
北野武監督のさっぱりとしたバイオレンス
アウトレイジでもそうですが、北野武監督は人の死や暴力性をエンタメに昇華する才能が神がかっています。
バイオレンスなシーンをコメディではなく痛快に描くことはなかなか難しいと思うのですが、緩急のつけ方が素晴らしいと感じました。
SAWなどのバイオレンスは目を背けたくなるシーンが流れ、視聴後の解放感・安堵感が面白い作品ですが、首やアウトレイジは視聴中も目を背けることなく興奮が続く作品に仕上がっています。(もちろんどちらが優れているというものではないです。)
カスな加瀬亮=カス亮からしか得られない栄養素
SPECでのきれいな加瀬亮も最高ですが、今作のようなごみカス配役の加瀬亮、カス亮もやはり素晴らしいですね!!
あの残虐性を緊張感がある形で演じることができるのは、加瀬亮さんが素晴らしい俳優である確固たる証です。
あの暴力性を見ると興奮して自身のバイオレンスが増長されてきます…
ちなみに西島秀俊さんのBLシーンもあります。それも最高。
西島秀俊、なんていい男なんだ…
賛否両論別れそうなラストシーン
ここからはネタバレ(歴史的なものではなく作品のもの)になります。
たけし演じる羽柴秀吉は、明智光秀(西島秀俊)と思しき首を目の前に並べ、
「死んでりゃ首なんてどうでもいいんだよ!!」
と言い放ち、明智のものらしき首を蹴飛ばして終わります。
映画のラストはきっちり話が完結して終わるものと思っていたので、この投げっぱなしに見えるラストにはかなり驚きました。
(きれいに終わらせるなら明智が首を切るシーンなどで終わらせればよい)
北野武監督の作品は、悪人がほぼ死んで終わります。
アウトレイジも拳銃を使った配役はほぼすべて死んでいます。
羽柴秀吉が天下を取って終わりではなく、戦国の世が続くことを表すには、続きがありそうなこの終わり方もよい表現だと感じました。
映画の興奮が残ったまま終わるということをコンセプトにしているのであれば、まさにその狙い通りの終わり方です。
きれいに終わってもらえる作品のほうが好きですが…
総論
色々書きましたがとにかくおもろい映画でした。
北野武監督の作品は配信ないのでぜひ映画館で見てください。