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デジタルマーケティングを武器に、本格焼酎の価値を向上させる。創業120年以上の蔵元5代目が次世代に繋げる物語とは。

ソウルドアウトの特徴として、社員の中に将来実家を継ぐ仲間が多くいることがあげられます。そんな仲間を応援したいと、先日「地方事業家採用」をリリースしました。

将来的に地元の家業を継ぐ、または事業を立ち上げることを志す方を有期雇用で採用し、最長5年で地方拠点の市場シェア拡大や拠点立上げを目指してもらう制度です。

地方・中小企業の後継者に、DXの波が。ソウルドアウト「地方事業家採用」スタート

今回は、ソウルドアウトで4年働き、家業の焼酎蔵元に戻った多田くんに、ソウルドアウトで働いた経験は活きるのか?この制度をどう思うか?など話を聞いてきました!

話を聞いた人
多田 匠(ただ たくみ)さん
株式会社天盃 5代目
2017年4月新卒入社、2021年3月退職

株式会社天盃
住所:福岡県朝倉郡筑前町森山978
創業:1898(明治31)年
地元産原料100%、独自の醸造・蒸溜技術はもちろん、「クラフト焼酎」を通じてお客さまの「体験」を提案する蔵元
代表銘柄:クラフトマン多田、コーヒースペシャリテ
HP:https://www.tenpai.co.jp/ 
オンラインショップ:https://www.tenpai-shop.jp/

画像引用元:天盃

創業120年を超える焼酎蔵元の5代目は、ブランドを育てることが役目

─── 今どんなことをしているか教えてください!

多田さん:1898年創業の本格焼酎の蔵元・天盃の5代目として、ブランディング・マーケティングの領域を担っています。杜氏(焼酎製造の責任者)と会社経営を4代目である父が、そのほかの現場周りのことを私が行なっています。

天盃が多くの方の生活に寄り添うものとなるよう、ブランド価値を高め、ブランドを育てていくのが私の仕事です。

─── 創業以来120年続いてきたブランドを育てる…、5代目として次世代に紡いでいく強い覚悟を感じます。天盃には、どんなブランドがあるの?

多田さん:4代目から最も力を入れているのが『クラフトマン多田」です。料理の旨味を引き出す「究極の食中酒」をテーマにブランドを展開し、全国でおよそ100店舗の限られた販売店さまにのみ卸しています。ブランドに共感してくださる方だけに届けられるようにしているんですよね。

ほかにも、愛媛にある珈琲焙煎所とコラボしてつくった『コーヒースペシャリテ』や、熟成によるプレミアムシリーズ『いにしえ』、歴史と伝統を誇る地元福岡を代表する祭りの名にちなんだ特別熟成酒『博多どんたく』など、一つひとつのブランドに思い入れがあります。

Instagram(@tenpai_distillery)では、最新の蔵元の様子や商品の情報を届ける。

人とお酒との接点にデジタルとマーケティングを。ソウルドアウトに入社

─── 多田くんは、そういったブランドを絶やすことなく、次世代に繋げていくために重要な役割を担っているんだね。2021年3月まで4年間、ソウルドアウトで働いていたわけだけれど、そもそもソウルドアウトに入社した動機を教えてください!

多田さん:もともと天盃を継ぐことは決めていました。その上で、デジタルとマーケティングについて学びたいと思ったんです。

ものづくりの世界は、価値のあるいいものがあってこその仕事です。そしてその価値あるものが、人と人を繋げ、たくさんのお客さまにご支持いただけるようになるんだと思っています。私たちお酒業界も、おいしいお酒があってこそ、問屋さんや酒屋さんなどを通じて多くの人に届けることができてきました。いい意味でアナログな世界だと感じています。

しかしながら、お酒と初めて出会うきっかけや接点にデジタルとマーケティングの力を使えば、もっと多くの方に魅力を伝えることができると思ったんですよね。

─── 天盃と人との接点をつくるために、デジタルとマーケティングを学びたい、と考えたんだ。

多田さん:また、将来会社の経営をしていくことを考えると、いろいろなビジネスモデルを知れる仕事を経験したいとも思っていました。それで、事業主側ではなく支援側に入りたいと考えたんです。

そんなとき、知人から「荻原さんにぜひ会ってほしい」と言われ、ソウルドアウトに出会いました。実は、広告には全く興味がなく、広告代理店は視野に入れていなかったのですが、当時人事管轄の取締役だった方から「マーケティングの会社は山ほどあるが、”なんでもできる”って、結局は何も学べないのと一緒」「まずは広告を軸にマーケティングを学べばいい。いい方との出会いもあると思うよ」と背中を押され、入社を決意しました。

2017年4月入社式の様子。

ソウルドアウトでの経験を通して、自分の仕事の基礎ができた

─── そんな背景があったんだね。ソウルドアウトではどんな仕事を経験してきたの?

多田さん:最初に配属されたのが、広告のご予算が少額のお客さまを担当する部署でした。そこで営業を経験したあと、広告運用、クリエイティブ制作、最後はプランナーとして新規のお客さまに対しての営業を行なっていました。

─── 様々なことを経験してきたんだね。振り返ってみて、どんな学びがあったと思う?

多田さん:すべてが学びになりましたね。広告運用では、問題児扱いされつつも(笑)、「数字でコミュニケーションをとる」ということを徹底的に鍛えてもらいました。数字を見て分析し、仮説を立て、新たな施策を立てて検証すること。数字の分析が苦手で、先輩方に夜遅くまで付き合っていただいたこともありましたね。徐々に、自分で考えた施策の提案をして成果が出るようになり、お客様にも喜んでもらえたときは自信になりました。

─── 数字の分析は、ビジネスにおいて基本だよね。クリエイティブ制作ではどうだった?

多田さん:「どのように情報を発信すれば、お客さまに価値や魅力が伝わるのか」「情報を受け取ったお客さまはどう感じるのか」という、情報発信をする際の視点が身につきました。

今私は、天盃のブランド価値を伝え、価値を高めていく役割をしています。今でも、このとき先輩方に教えていただいたポイントを思い出しながらコンテンツをつくっていますね。

─── 最後の新規営業の部署では、かなり活躍していたよね。クリエイティブ制作の部署からの異動はどうやって決まったの?

多田さん:実は私の希望を通していただいて決まりました。事業戦略のプランニングの力をつけたいと思っていたんです。企業がおかれている市場分析や課題分析を行ない、どうすれば商材をより効果的にターゲットとなるお客さままで届けることができるのか。どのようなコンテンツやクリエイティブを届ければメッセージが伝わるのか。とことん考える力が鍛えられました。

プランニングの部署では、「お客さまにとって何がベストの選択なのか」を言語化して伝えることができるようになったと思います。お客さまからデジタル広告の提案をしてほしいと求められたとしても、「今のフェーズでは広告よりも、コンテンツマーケティングに注力したほうがいい」と伝えることもありました。広告はあくまで瞬間的に力を発揮して、一生残るものではないと思っているので。

─── お客さまに伴走して、ともに覚悟し、ともに成長することがソウルドアウトの大切にしていることであって、それを多田くんも体現してくれていたんだよね。ソウルドアウトでの経験が、天盃でも役立っているようで嬉しいです!

多田さん:全部といってもいいくらい役立っています(笑)。マーケティングの考え方、ブランドの価値のつくり方、クリエイティブの受発信の考え方など、本当にあらゆることを勉強させていただきました。社内には仕事にストイックな方が多かったので、刺激をもらっていましたね。

また、目に見えない部分でも勉強させていただきました。例えば、会議で定期的に進捗状況を確認するとか、数字で会話するとか、そういった姿勢は、ビジネスパーソンとして一つひとつの仕事をどう捉えて進めていくのかという、私の仕事の基礎になっていると思います。

東京都内で開かれた試飲会の様子。

コロナ禍を機に、実家に戻ることを決意

─── では、丸4年間ソウルドアウトで働いて、退職するときは何かきっかけがあったの?

多田さん:きっかけは新型コロナウイルスの感染拡大で、お客さまに私たちの焼酎がご支持されなくなってしまっていることを、肌で感じるようになったからです。

コロナが流行し始めた頃、消毒用のアルコールが足りていなかったこともあり、飲むためのお酒ではなく、消毒用のアルコールの需要が多くありました。消毒用のアルコールは飛ぶように売れるのに、本来売りたい焼酎はなかなか売れない。悔しかったです。

世の中の変化についていけずに、人々から必要とされなくなっている。このままでは、天盃の本格焼酎を次の世代に繋いでいくことができなくなる。危機感を覚えましたね。

入社した頃は、30歳になってから家業を継ごうとぼんやりと考えていました。しかし、コロナ禍をきっかけに、流通や市場、ブランドのことなど、3年後に予想していた未来が3か月でやってきたんです。30歳までには、と考えていた人生プランが早まり、実家に戻る意思を固めていきました。

─── たしかにコロナ禍で、想像した未来が早送りでやってきた感じがしています。4代目のお父さんとは、どういう会話があったの?

多田さん:2020年のコロナ禍で緊急事態宣言が出されて以降、父とは始業前の毎朝30分ほど、電話会議をしていました。ある日、自分の思いを思い切って伝えてみたんです。「来月から戻るつもりで覚悟はできている」と。すると、今まで一切いつ戻ってきてほしいのかを言わなかった父が「今、帰ってきてほしい」とこぼしたんです。私自身、覚悟が決まり、ソウルドアウトを退職することにしました。

右:天盃4代目 多田 格さん

地方事業家採用は、逆算してキャリアを考えられる点がよい

─── お父さんの一言が最後の一押しになったんだ。ソウルドアウトでは、多田くんのように、これから家業を継ぎ経営者となる人や、地方で事業立ち上げを志す人を応援していきたいと思っていて。それで先日「地方事業家採用」をリリースしました。この制度についてぶっちゃけどう思った?

多田さん:率直にめちゃくちゃいいと思いました!私が就活したときにもあれば、エントリーしていたと思います(笑)。

キャリア設計がしやすいこともそうですが、退職の際に100万円をいただける、というのがかなり大きいですね。例えば、オンラインショップをつくりたいと思っても、すぐに投資に使えるお金が手元にはない。なので、自分で投資に使えるお金が100万円あることは大きいですね……。

─── なるほどね!あと、この制度は「最長5年」と期間を決めているんだけど、その点についてはどう思う?

多田さん:むしろ、明確に決められているのがいいなと思いました。私自身、30歳で戻ろうと決めていたくらいですし。ゴールが決まっていると、逆算してキャリアを考えやすいですし、いろいろな仕事に挑戦しやすいと思いますね。

家業を継ぐために必要なスキルセットは何なのか、それをどこで学ぶのか、計画を立てやすくなりそうです。私は正直、あと1年あればD2Cビジネスについて学びたかったんですよね。それを考えると、5年という期間はちょうどいいと思います。

画像引用元:地方・中小企業の後継者に、DXの波が。ソウルドアウト「地方事業家採用」スタート

デジタルマーケティングの力で天盃のブランド価値を届け、次世代に繋ぐ

─── ゴールがみえていると時間の使い方を考えるから、密度の濃い時間を過ごせそう。これから挑戦していきたいことを教えて!

多田さん:天盃のブランド価値をより多くの方に届けていきたいと思っています。

大手企業のように、大量生産してできるだけ安く売り、多くの人に飲んでもらう、という考え方ももちろん正しいと思います。しかし私たち天盃は、とことん味にこだわり、一人でも多くの人に価値をわかってもらい、選んでもらいたいんです。

焼酎づくりは私たち天盃の一丁目一番地。まず絶対にやるのは、焼酎の品質を高めていくことです。そしてその次の、価値を届けていくことにも挑戦していきます。Instagramライブで作り手の顔が見えるようにしたり、試飲販売会をオンラインで行なってみたり、インバウンドでリードを獲得したりと、ソウルドアウトで学んだマーケティングの考え方や手法を実践していきます!

天盃は、ただ儲かる焼酎ではなく、価値のある本格焼酎をつくります。そしてその想いや文化を絶やすことなく、次の世代に繋いでいきます。

─── 活躍している姿が見れて嬉しいよ!ソウルドアウトで身につけた技術が、今に活きているのはとてもいいことだね。入社したからパートナーも見つかったし(笑)。

多田さん:ありがとうございます!そうですね(笑)、本当に感謝しています!今日はありがとうございました。

令和4年4月4日に入籍!お幸せに!!!

【インタビュー後記】
ソウルドアウトに入社して、多くの部署を経験した多田くん。だからこそ、気付きがその場その場であって成長できたという実感は嬉しい限り。ソウルドアウトの経験が家業を継いだ今も役に立っているということが聞けて安心しました。家業を継いだ多田くんとは、これからも連絡を取りながら、末永く付き合っていきたいと思います。お互い切磋琢磨して素晴らしい会社に成長するように経営していこう!


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