「X」作品集 ―幻想と恋詩― 2 蒹垂 篤梓 2023年8月16日 19:53 それはただ姿を写すだけの平たい石だった。山奥の沁水の傍。私の顔の向こうに私じゃない私。嘗て私だった。いつか私になるだろう。私ではあるが私ではないモノ。根元を一にする無限の私たる私。幾重にも幾重にも、どこまでも果てなく、顔、貌、カオ… 私が言った。ヤッてしまえ。どの私が言った?#呟怖 https://t.co/LwjvwWU51c— 呟怖お題の人(お/蒹垂 篤梓@宵闇亭) (@AtsushiOgita) August 27, 2023 住む者のなくなった嘗て村だった山間の荒れ地は、じくじくと心の瘡蓋を捲り抉る。鴉が啼く。夕間暮れの時を止めて。あの日もそうだった。あの日も沈むことのない赤い夕陽がいつまでも照らしていた。呆然と立ち尽くす僕と、身動ぎもしない君。止まったままの時は今も続いている。鴉が啼く。今も。#呟怖 https://t.co/XBwRPESY6c— 呟怖お題の人(お/蒹垂 篤梓@宵闇亭) (@AtsushiOgita) August 26, 2023 鍔広の帽子を被り女物の着物を着流した兄さんが「アンタはそっちだ」と指差した。それは半ば萎み沈みかけた水風船。「供養が足んねえな」と言われ、河原で泣きながら石を積む我が子が観えた。癒えた悲しみがじくと疼く。忘れた訳じゃないんだ… ごめんよ、ごめんよ… #呟怖 https://t.co/iUHtWqSziH— 呟怖お題の人(お/蒹垂 篤梓@宵闇亭) (@AtsushiOgita) August 26, 2023 時々夢に見る。友達がいた。今はいない、いなくなった友達。夢の中、昔の校舎にいる今のワタシ。あの子はあの頃の侭。昼なのに暗い校舎に立っている。視線を感じる。振り向けない。彼女は言った。「もう遅い」と。目覚めても消えない彼女の顔が目前に。冷たい手。押し付けられる、ワタシの首に #呟怖 pic.twitter.com/UeGOc7uYoX— 呟怖お題の人(お/蒹垂 篤梓@宵闇亭) (@AtsushiOgita) August 24, 2023 身近に感じていた、この数日。遠く離れて、逢えないまま。行方不明だと知らされたのは今年の初め。実感なんてなかった。今だってない。今にも素知らぬ顔で帰ってくると。そう思っていた。送り火の火が消える。すぐ傍にあった温もりも。サヨウナラ。愛おしい声が聞こえた気がした #貧乳ドラミングス https://t.co/ibsOT1YR4b— 呟怖お題の人(お/蒹垂 篤梓@宵闇亭) (@AtsushiOgita) August 24, 2023 吹き荒ぶ風雨に折れた木の枝。アスファルトに打ち捨てられ、誰に見向きもされることなく塵芥のごとく。居たたまれなくなったワタシ。拾い上げ、土の上に還す。拠り所を失った誰かのココロ。人知れず弔うように #twnovel #詩 https://t.co/JoPmfK3Hhi— 呟怖お題の人(お/蒹垂 篤梓@宵闇亭) (@AtsushiOgita) August 24, 2023 観られている。誰かに。誰に? そんなもの、判るはずもない。姿のない何モノか。身を潜め、息を潜めてじっと観ている。この建物に入ってからずっとそう。入らなければ良かった。ちょっとした好奇心。只の廃校舎。なのになんで、血痕、肉片。なんで… #呟怖 https://t.co/yIuriqREgI— 呟怖お題の人(お/蒹垂 篤梓@宵闇亭) (@AtsushiOgita) August 22, 2023 夕陽の沈み行く。国の命運を暗示するように。僕はただ不安に身を震わせる。上官は皆優秀。けれどその優秀さは平時のもの。大臣も、王族ですらも。そんな僕を嘲笑う彼女。戦う気概があるのなら、戦って散るのが昼でも夜でも、燃やし尽くした魂に悔いなどあろうものか。その蔑んだ眼…最高だ #twnovel pic.twitter.com/VkLJE96WXd— 呟怖お題の人(お/蒹垂 篤梓@宵闇亭) (@AtsushiOgita) August 22, 2023 ふと、声が聞こえた気がした。碧く染まった静けさの中、照りつける太陽、降り注ぐ日差し、幾重にも幾重にも絶え間ない蝉時雨のほんの一瞬き鳴り止んだ、その時。あたしを呼ぶ、あの人の声。もう、聞くことの出来ない、あの懐かしい。仰ぎ見確かめる間もなく、夏の喧噪に掻き消される #言葉の添え木 https://t.co/nCQ66j4HJz pic.twitter.com/f9G5xt7pG0— 呟怖お題の人(お/蒹垂 篤梓@宵闇亭) (@AtsushiOgita) August 21, 2023 ワタシには夢がある。その為に此処に来た。王国王都、王立上級士官学校。その暗部たる通称、王立魔法学園。此処でワタシは多くを得るだろう。知識、思考、人の縁、そして力。それらを余すことなく利用しのし上がる。夢の為に。そして目的を果たす為に。復讐。暗い炎を胸にワタシは街を行く #twnovel pic.twitter.com/btVP78KWwN— 呟怖お題の人(お/蒹垂 篤梓@宵闇亭) (@AtsushiOgita) August 20, 2023 町の中を流れる川を小さな舟に揺られて。朱い灯は提灯を掲げる泊まり茶屋。二階をと見れば派手な色袖がちらり。女将が言うに、陽が暮れれば山から鬼が来る。喰われれば地獄行き。何れか店で佳き乙女と出会えたならひと時の極楽。菩薩の導きは公徳の顕れ。四十九日の内に。なければ鬼が待っている #呟怖 pic.twitter.com/0aD2FUDmgP— 呟怖お題の人(お/蒹垂 篤梓@宵闇亭) (@AtsushiOgita) August 19, 2023 ようこそ、我が館へ。此処は生と死の狭間。間もなく肉体の死を迎える方が迷い来る。現の世の未練、妄執が魅せる泡沫の夢。報われなかった生の終焉に刹那の幸福を。貴方の死は覆らない…こともありませぬ。ひと時の幸福な夢を抱いて果てるか、先の見えない苦役の生に戻るか。どうぞ、お選びなさい #呟怖 pic.twitter.com/Qvcs5IoqiU— 呟怖お題の人(お/蒹垂 篤梓@宵闇亭) (@AtsushiOgita) August 19, 2023 夜の繁華街、纏わる飢えた視線、獣の一匹を引っかけ物陰へ。あァ。身体の芯が熱い。何かが滾る。恥ずかしい格好、はしたない仕草、こんなのアタシじゃない。でも、ゾクゾクする。おいで狼の皮を被った羊ちゃん。アタシが美味しく頂いてあげる。背負ってしまった業。不可抗力。抗えない血の誘惑… #呟怖 pic.twitter.com/bkkmN6J1QL— 呟怖お題の人(お/蒹垂 篤梓@宵闇亭) (@AtsushiOgita) August 19, 2023 アタシはダメだな。一人になるとほっとする。人と話すのが苦手。人とする仕事が辛い。どうして言葉が出ないんだろう。ちゃんと気持ちを伝えられないんだろう。そんなだから失敗しちゃう。皆が離れていく。でも、あの娘だけは「明日、頑張ろ」って。俯く顔を上げ夕陽を見る。また、明日。#言葉の添え木 https://t.co/FPf1ddjqpc pic.twitter.com/wbirZMguyX— 呟怖お題の人(お/蒹垂 篤梓@宵闇亭) (@AtsushiOgita) August 18, 2023 アナタの好きだった薔薇の花。褒め称える時、いつも薔薇に喩えた。だからワタシは薔薇になった。アナタに讃えられるよう。愛され、傍にいられるよう。アナタは一生をワタシという薔薇に包まれ、そして逝ってしまった。ワタシは未だ薔薇の侭でこの世に留まる。愛しいアナタの面影を抱きながら #雲の詩沫 https://t.co/AcOtHLhXv7 pic.twitter.com/af709V7eX1— 呟怖お題の人(お/蒹垂 篤梓@宵闇亭) (@AtsushiOgita) August 18, 2023 あの頃は若くて金もなく、底辺を這いつくばって生きていた。いつも苛ついて、一秒でも早く抜け出したかった。なのに。今の俺はどうだ。金を手にした。贅沢もし尽くした。なのに足りない。お前がいない。挙げ句、裏切られ全て失った。立ち返った廃墟にお前の声「お帰り」待っていてくれたんだな 。#呟怖 https://t.co/MYaoJAOwY5— 呟怖お題の人(お/蒹垂 篤梓@宵闇亭) (@AtsushiOgita) August 17, 2023 夜の納屋は怖いくらいの静けさ。ここにはアタシ以外誰もいない。誰も来ない。こんな筈じゃなかった。最早虫くらいでは驚きもしない。街にいた頃なら卒倒していただろうに。あの頃、夫は好青年だった。家族も皆優しく温かで。けれど。アタシは蜘蛛の巣に捕らわれた虫。渦が、アタシを逃さない。#呟怖 https://t.co/nRPQNRv2Wf— 呟怖お題の人(お/蒹垂 篤梓@宵闇亭) (@AtsushiOgita) August 16, 2023 春雨の風に花びらが舞う。新しい学年。僕らはまた、一つ年を重ね、少しずつ大人になっていく。それでも僕らは、誰にも話せずにいる。密やかな逢瀬。誰も知らない、君のそんな笑顔。僕だけが知っている。僕だけの。いつかは知ってほしい。でもまだ、もう少しだけ。#twnovel pic.twitter.com/xzrChCaBAg— 呟怖お題の人(お/蒹垂 篤梓@宵闇亭) (@AtsushiOgita) August 15, 2023 来るつもりはなかった。卒業パーティは酷い嵐の予報。それでも、一目だけ見られれば。未練だと知っていた。遠目に見て、それで帰るつもりだった。「なぜ、君が」恋人と踊っているはずの彼女。「やっぱり、勘違いしていると思った」雨が降る。「あたしが好きなのは…」#twnovel #台風 pic.twitter.com/wml4P7UYdE— 呟怖お題の人(お/蒹垂 篤梓@宵闇亭) (@AtsushiOgita) August 15, 2023 「酷い目に遭った」と言う貴方。言葉と裏腹の、はにかんだ笑顔。きっとあたしも同じ。だって、これは仕方のないこと。あたし達はふたり。傘は一本。小雨になっても降り止まない雨。蒸し蒸しと暑い昼下がり。ちっとも不快じゃないのは、絡めた腕から伝わるあなたの熱のせい。#twnovel #台風 pic.twitter.com/hByx0Fv84M— 呟怖お題の人(お/蒹垂 篤梓@宵闇亭) (@AtsushiOgita) August 15, 2023 傘が舞う。花のように。風に舞う。ふわりと浮かぶ、僕と君。激しく振る雨に打たれて、くすくす笑い合う。ダメだよ、こんな日に外へ出ちゃ。僕らは空を舞って雲を突き抜け、いるべき場所に帰る。じゃあね、また来年。#台風 #お盆 #AI #AI画像 #AIart #AIArtwork(ある画像生成AIで出力した画像) pic.twitter.com/NlabRL67hN— 呟怖お題の人(お/蒹垂 篤梓@宵闇亭) (@AtsushiOgita) August 14, 2023 バルコニーから手を振る彼女。手を振り返し去る僕は、少しの自由を認められただけの奴隷。盗掘屋と揶揄される主人の下で危険な『遺跡』を巡る、明日をも知れぬ日々。だから、僕に恋する資格なんてない。本物なんて要らない。仮初めで好い。けれど、偽りであるからこそ、狂おしいほどに愛おしい。#恋詩 pic.twitter.com/LFXr4Q0yNq— 呟怖お題の人(お/蒹垂 篤梓@宵闇亭) (@AtsushiOgita) August 13, 2023 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #詩 #幻想 #呟怖 #言葉の添え木 #twnovel #恋詩 #貧乳 #雲の詩沫 2