オギノシエ
1980年代から2000年代、それぞれの世代について綴ったnoteです。高校生、大学生がたくさん書いています。無料で全部見れるようになっていますが、若い子にどんどんサポートしてください!(願望)
コミュニケーションに悩むのって、すごく分かるよ。自分の言葉で相手がどう感じるかを気にするのは、すごく繊細なことだし、大変だよね。 原因として考えられることは、いくつかあると思う: 1. 完璧主義の傾向 「相手にちゃんと伝えたい」と思うあまり、つい説明が長くなってしまったり、言い訳っぽくなっちゃったりすることがあるよ。これって、相手に誤解されたくないって気持ちからくることが多いんだ。 2. 自己肯定感の低さ 自分の発言や行動に自信が持てなくて、「これでいいのかな?」って
絹糸のような風が、額、鼻先、頸筋をなぞり、二の腕の内側をくすぐった後に小指の先へするりと抜けていく。耳元でささやかな笑い声まで残していくかのようにいたずらっ子な仕草をする涼風を、「妖精が通った」と呼んでいる。 電柱のない田圃道、静かな田舎の夜。たわわに実り、こうべを垂れた稲穂を左右に従えながら、私はひとり歩いている。 月映えする黄金色の穂が揺れるたび、木漏れ日を何十倍にも凝縮したような芳しい香が放たれる。その香りに、夏枯れした命を蓄えて腐葉土になりつつある畦道の匂いが混じ
カンッ、パカッ。 小気味良い音を立てて割れた殻のすきまから、透明と黄色がぬるりとすべり落ち、黒いフライパンのど真ん中へと着地した。満月みたいだ。鉄板の上に広がった透明が、ふつふつと気泡を弾けさせながらゆっくり白濁していく。その端が薄く焦げ茶を帯びていくまでを、侑奈は棒立ちのまま眺めていた。 卵は「完全栄養食」だから、毎日ひとつ食べるようにしている。3年前に体を壊し、少しずつ立ち直ってきた時に身につけた習慣だ。本当はこんなちっぽけなモノひとつじゃ健康を支えるには足りなく
最近、夜の電車が楽しい。 その時間を有意義に充てろという人もいるかもしれないけれど 電車に乗ったら本もスマホも開かず 冷たい車内の壁に寄りかかる。 昼間、飛ぶように過ぎてカタチを追えない車窓の向こうは 夜、びっくりするほど把握出来るようになっている。 日が落ちた後は建物も自然も輪郭がぼけて、情報量が少なくなるからだ。 ガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトン ぼんやりと視線を送る窓の外。 壁にもたれた肩や足の裏から伝わる振動。 街を走る電車ではなく暗闇を進む船に
つい先日、ツイッターのタイムラインで「写真も撮れる愛知県の取材ライターを探しています!」との投稿を見かけた。投稿されてからすでに半日以上経っており、多数RTもされていた。 愛知県に住んでいて、一眼レフが手元にあり、取材ライティングに強く関心を持っていた私は「おそらく、もうライターさん見つかっているだろうな…」と思いつつも、念のため過去の作品と一緒にDMを送ってみた。困っている相手に対し自分が力になれるかもしれないと思ったこと、そして経験を積みたいと思ったからである。 予想
こんな漫画を描いた。 いままでブラジャーを適当にしていて、その後、専門店でしっかりとしたものを買ったことがある女性にとっては、私が感じたこの感動は共感できるものだと思う。 本当に、いやもう本当にすごいのだ。 ワコールさんなど下着専門店は、膨大な研究と計算しつくされた設計によって商品を開発している。だからその「価値」を値段が高いからとかめんどくさいからとかで知らないでいるのは、本当にもったいないことだ。合わないブラをつけているのはからだに良くないことしかない、高くても専門
めちゃくちゃ世界が変わるので、女性の方はぜひ……ッ 岸田さんの記事も読んでフィッティングがめちゃくちゃしたくなりました▼ 肩が体が解放されます。技術すごい。 Twitterでも投稿しました(この感動を女の子たちにひろめたい…) ---------------------------------------------------------------------------- 追記 ついでに、この漫画についていろいろあったので、こちらもどうぞ。
コンビニバイトの仕事で、タバコの販売がある。 タバコの銘柄なんて、今も未来も吸うつもりはないから、ちっとも興味はなかった。 しかしもうバイトを7年も続けていれば、「マイルドセブン」と言われてメビウスだと、「キャスター」や「キャビン」がウィンストンだと、反射的に取れるくらいには、タバコの銘柄に詳しくなった。 ワンカートンという単位が、箱何個入りかも知っている。 「職業柄、興味ないことに詳しくなることってあるよねえ~」なんて友達に笑ってみたりした。 知識が増えても吸いたい
※この記事は「挑戦する人を孤独にしない」をコンセプトとしたLOOKMEを通じて取材し、5月末日公開のメディア“SPOTWRITE”にも掲載予定の記事です。 20歳。彼は悩んでいた。 専門学校まで通った美容の道に進むか、 小学校の頃から大好きなマジックの道に進むか。 どちらも真剣に打ち込んできたため、自信もプライドもあった。決めきれなかった。 しかし当時、そんな彼に対して家族も友人も呆れて言う。 男なのに美容の職業なんて変だ。 マジック? そんなもんで生きていけるわけが
最近、小学校の頃からの親友に会う約束ができた。最後に彼女とあったのは高校2年生の時だから、実に7年ぶり。その間、LINEは知っていたけれど、一切連絡を取らなかった。けれど、何も言わなくても、離れていても、知らなくても、決して揺るがない信頼が、私と彼女の間にある。 . 彼女は同調をしない。例えば、悩み相談や愚痴を吐く時、共感してもらえるとホッとしたり味方だと思ったりする人は多いだろう。しかし彼女は共感しない。同調しない。ただ淡々と流してくれる。「同じくらいしか生きていないん
父の弟、つまり叔父とは、私が1歳の頃に初(はつ)対面した。 まだ私たち家族が東京で暮らしていたころ、長期休みの里帰りで愛知にある父方の祖父の家を訪れた時に、初めて彼と出会ったのである。叔父は結婚しておらず、妻と離婚し独り身となった祖父と一緒に暮らしていた。 父にとって叔父は弟だが、私にとって叔父は「知らない人」。人見知りな私は怖がって、父に抱かれて寝たふりをしていた。 うす目でこっそりうかがえば、叔父は少し寂しそうに笑っていた。初めてみる自分の姪に、知らんぷりを決め込まれ
小学校5年の頃、担任の先生がギタリストだった。校舎の3階にある図工準備室に自前のアコースティックギターと好物のキャラメルをこっそり持ち込んで、休み時間に煙草の煙をくゆらせながら、彼は曲を弾いていた。どういう経緯だったのかは忘れたが、私はその秘密を知ってしまい、美術の先生でもあった彼に消しゴム判子を教わる名目で、昼休みや部活のない放課後、図工準備室に入り浸っていた時期がある。 橙色の光がさす大きな窓際で消しゴムに彫刻刀で模様を刻んでいくとき、先生の指が硬い弦をはじくかすかな音
欠けている部分がいっぱいあるから「ひとりで生きられるようにしなさい」と親に育てられてきた。悲しい思いをしてほしくなかったんだと思う。いつも逆境精神でいろんなことを身につけてきた。だけどそれは“コンプレックスを持っている”とまざまざ認識する裏返しで。空虚な気持ちを抱えたまま、素の自分以外をずっと渇望している。 生まれつき難聴で、「聴こえない」を隠さずにいると、からかわれたり迷惑がられた。「聴こえない」を隠して笑ってみると、うまくいった。 そう、うまくいってしまった。 うま
鬱々とした曇り空の下。 少女は一歩一歩、青いショートパンツからのびるほっそりとした脚を投げだし気だるげな顔で歩いている。 色白の肌に薄紅色の唇、その唇がぼんやりと開き言葉をつむぐ。 「...うたをわすれたカナリアは」 どこかで母がくちずさんでいたのを聴いていたのだろうか、それとも本で目にしたのだろうか、それは定かではない。 唐突に始まる歌詞の意味はわからない、 だがそのわからなさが、思春期の少女にとっては魅力的で美しかった。 なんとなく大切にすべき言葉な気がして