小川いなせ

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最近の記事

私にはこの人!この人にはあの人!

 マブも親友も好きな人も婚約者も妹も弟も姉も兄もいません。おかしい、中学生のときは、毎年違う子とぴったりくっついていて、ペア作るときもなんにも怖くなかったし、高校生のときも、お弁当を食べる4人とか6人のグループがあって、その中の1人と特に仲がよくてべったりくっついていて、私にはこの人!がいつもいたのに!大学生になってからも、1年のときいっしょに駅から通学していた女の子がいたし、2年のときはいっしょに食堂に行っていたグループがあったし、「明日この人にこれ話そう!」があったのに!

    • 「ナンパ」考①

       この前男女数人で飲み会をしていて、おしゃれな感じの女の子が「この前買い物中にナンパをされた」という話をしていた。そうしたら男の子が「かわいいってことだから、いいじゃないですか」と応じた。私はあわてて「えっと、あんまりそういうこと言わないほうがいいですよ」とその男の子に言った。私はてっきりその女の子から同意が得られると思っていたが、「は?」という表情をされた。その場の全員が「?」の表情になってしまった。  この「ずれ」は、「ナンパ」(の認識)が大きく分けて2つあるから生じた

      • 病みツイする勇気すらない

        たくさん思っていることがあるような気がして文章にしようと思って、私は、とか、最近は、とか入力してみて、でも言葉にした瞬間に全部嘘な気がして、もっと相応しい言葉がある気がして、消して、消して、今ようやくここまで書けた。 これもまだ、本当でない気がする 嘘では、なくなったと思う 私は自分のことをちょっと変わっているのかもしれない、とか、思うけれど、そのちょっと変わっているようなところがある部分も含めて普通の人間だなあと思う。昔見たアニメで、全部平均ならそれは立派な個性だ、みた

        • ネクライトーキーが大好きなんだよ

           ボーカロイド楽曲をひたすら聴いていた小中学生時代を経て、いわゆるボカロPのやっているバンドというのを調べ始めて、特に気に入ったのがゆるふわ樹海ガールの、石風呂さんの、ネクライトーキーだった。   私がネクライトーキーのライブに初めて行ったのは高校2年生の冬、新型コロナウイルスの流行の直前だった。  お小遣いのない家庭で育った。欲しいものを両親に相談すると必ず「将来自分のお金で」と言われた。飲み物を買ったと嘘をついて100円ずつ昼食代から貯金するのにうんざりした私は、高校

        私にはこの人!この人にはあの人!

          ルッキズム / 垢抜け / 垢入り

           私は顔の造形から足の太さまであるゆる悪口を言われてきた。そして私はみんなから好かれたかったのでその指摘を一つ一つ割と忠実に直していった。目が細いことを揶揄されて誕生日にアイプチをねだった。小学生時代の唯一の恋愛エピソードは、同級生の男の子から「もうちょっと痩せてたら好きになっていた」と言われたことだ。相手のまつげが長いことを褒めたらお前は顔がキモいよと言われたのには驚いて泣き出してしまった。清潔感のなさからキモさというのはあらわれるらしいと図書館に置いてあった10代向けの雑

          ルッキズム / 垢抜け / 垢入り

          病みツイしかしたくない

          入学式で「嫌な新入生」ができてよかった。なんかいるじゃん、入学式の時点で集団で群れて写真ぱしゃぱしゃしている、あれだ、 集合写真を許可も取らずにInstagramに投稿していて感心した。すごい。さすがは、情報系学生ですね、 元カノの影響で読む純文学、2次元男性で想像するとエモーショナルで素敵☆だけど、パソカタオタク・チー牛・弱者男性に当てはめるとエモくもなんともなかった。3次元男性は大変だ。 Yahoo!知恵袋で出会うなよ…………………でも相談を持ち掛けて恋仲になるのっ

          病みツイしかしたくない

          周りに好きなひとよりも嫌いなひとが多かったときは、私が死ぬよりも生きるほうが苦しんでくれる人が多いからって生きていたけれど、好きなひとが増えた今、 生きる理由を「ひとを苦しめるため」から変える必要がある

          周りに好きなひとよりも嫌いなひとが多かったときは、私が死ぬよりも生きるほうが苦しんでくれる人が多いからって生きていたけれど、好きなひとが増えた今、 生きる理由を「ひとを苦しめるため」から変える必要がある

          2023年自選10首

          味のしない涙をぼてぼて落としても父の血圧はまだまだ高い 三グラム五千円でも駄目だった 食堂のあとのくちびる白し もしかして:本を後ろから読む君の別れ付近の長い回想 エモ説法 そこに無いならないですね、かつてそれをあらわしていた言葉 心臓を舐められるような苦しさを胃もたれなんて信じるな ばか かくれんぼ 視線と視線の隙間にはきっと無数の彼の偏在 ワンルーム 守らなくていい言いつけを破ると母の気配がそこに 棺桶に入れたいものを買い集め花火コーナーで立ち止まる冬 深

          2023年自選10首

          2022年自選10首

          八十年夫婦でいるか八百年友達でいるか選んでほしい 今のところ、人生でいちばんの作品がこれだと思う。19歳の自分が超えられなくて、くやしい。 創作技法論Iで、「私だったら720年友達をやって、最後の80年間夫婦でいたい」と言ってくれた受講生のことが忘れられない。 朦朧の中で最後に見えたのはわたし以外に駆け寄るだれか ありがちな絶望 しぬ七日前に会いたいと思ってるおそーしきには来なくていいから 「しぬなのか」というふうに開くかどうかずっと迷ってい          る

          2022年自選10首