ありのままでは生きられない。アナ雪に見る人生のストーリー
こんにちは37歳のおじさんです。
唐突ですが、僕はアナ雪1,2ともに大好きです。アナ雪の何が素晴らしいかって、あれは人生の旅路をデフォルメしたものに他ならないからです。
具体的には、一枚絵で表現するとこんな感じかなと(著作権すいません)。
エルサの心の成長フェーズ(5段階)
1. 無知
エルサは無邪気にアナと遊んでいたが、自分の持つ特性によって傷つけてしまう。そして自分はそのことに傷つき、殻に閉じこもってしまう。
この時期は、自分の持つ「他人と違う特性」を無自覚に使って生きている。無邪気に生きているが、自己理解ができていないため、ネガティブなことが起こった瞬間そのことに対して敏感に反応してしまう。
子供は無邪気だ、というのは比較的ポジティブに使われる言葉だけど、精神的にはやっぱり未成熟であり、確立した自己基盤を持てていないが故の不安定さを感じます。
2. 否定
アナを傷つけてしまったこと、両親を無くしてしまったことに深く傷つき、殻に閉じこもったままのエルサ。
過去の他人を傷つけた自分を許せず、そして自分の特性を受容できない。自分の特性を手袋で隠し、なるべく目立たないように生きていきたい気持ち。
つらい。自分が「普通」であればよかったのに。足りないところを見ては落ち込む日々。自己否定が多くを占め、行動量も多くないことが特徴。
極端に描かれていますが、否定状態だと、自分の特性から目を背けて世の中に無理やり合わせて生きている状態になるのでとても生きづらそうだなと感じます。門を開いた時(社会と接続する時)、今日だけはうまくやろう、という、自分を押し殺した表現がとても印象的な状況です。
3. 回避
手袋をはめることをやめて、自分らしくレリゴーしようとするエルサ。しかしそれは、社会との接続を諦め、氷の城に閉じこもることを意味しました。
それは、真に望んでいることではない訳ですが、手袋を脱いだことで、自分らしくありのままで生きようとは思っている状態ですね。
中二病くらいがこのフェーズにあてはまる気がします(ほんとか?)。それはアナ雪2の最後の方でエルサが過去を回想する際に、氷に閉じこもって「自分らしさ」を発揮しているシーンを思い出して恥ずかしそうにするところでも感じます。
自分らしさを発揮して生きるとは思っているものの、どう社会と接続していけばよいかは分かっていない状態。社会との接続を断ったこと自体は回避だけど、手袋を外したという意味ではメンタル的には成長していると言ってよいのかもしれません。
ただやっぱり、この状態はこの状態で生きづらそうです。
4. 受容
(ディズニーらしく)自分を捨ててでも守りたいものの存在=愛、を覚えたことですべてが解決する。のですが、それ以上に、「愛(的なもの)」を覚えたことで自分の特性を社会でうまく活用できるようになるところがポイントです。
これによりほんとうの意味で「ありのまま」の自分の特性と社会を接続することができました。
つまり、努力なく「ありのままでいい」とはアナ雪も言ってないわけですね。自己理解して特性を受け入れて社会と接続することではじめて、本当の意味で「ありのまま」でいられるようになったわけです。
ここが結構ポイントだと思います。
自分自身を受け入れようとしても、等身大の自分を社会が受け入れてくれないことが自己肯定感を下げてしまう。等身大に自己受容しようとすると、社会と一定接続できることが大事になってくる。
多くの人がこの部分で葛藤しているような気がしています。
そしてそこに必要なのは、愛とソーシャルスキルトレーニングなんじゃないかと感じています。
5. 価値
みんなと楽しく過ごしてたけど(コンフォートゾーン)、そこを抜け出して心の声に従って新たな冒険に出た。その結果、自分がなぜこの特性を持って今この瞬間生きているかが分かった(自分の生きている意味が見つかった)。
キャリア理論でも「calling(天職)」という概念があり、callingを体験すると「あぁ、自分はまさにこれをするために生まれてここまで生きてきたんだ」という感覚になると言われています。
自分がどんなことに価値を感じるのか、自分の心の声に耳を澄まして、コンフォートゾーンから抜け出して(ああーああーって言っている方に向かって)冒険すると、callingは起こるのかもしれません。
まとめ
ファンタジーなので氷や雪をブシャーって出せるデフォルメはありますが、自分が生まれ持った特性に無自覚だった幼少期から、そのことと社会との接続に苦しむ思春期、そして自分の特性を受け入れ、その特性を活かしたスキルをつけて社会と接続し、自分が生きている意味を感じられるミッションを得る、という人生の旅路そのものであるアナ雪1,2をまだ見てない人は是非&もう見た人もその目線でもっかいぜひ。
余談ですが僕個人的にはcalling的な感覚を直近味わっていて、この領域なんだろうな自分は、と思っていたりするのですが、その先、このcallingの後で人生がどうなるのかもちょっと興味深いです。なのでできればアナ雪3では老後のエルサが何をどう考えるのかみたいなところをテーマとして扱って欲しいなーと思ったりします。ディズニーさんよろしくお願いいたします。