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106.Z・シニア世代の隔たり
前回の退職のこともあり、改善のヒントになればと思い、Z・シニア世代間のずれについて深く考察しました。
結論から先に述べるとZ世代の注目点は「選択」「自立」、シニア世代は「理解」です。
育った環境が異なる
シニア世代が子供の頃は何をするにしても、不自由がありました。特に分かりやすいのは連絡です。
今ではLINE等を利用することで、簡単に連絡が取れますが当時はメールや携帯電話すらなかった時代です。唯一の連絡手段が家にある固定電話でした。
しかし、固定電話の場合一人が占有してしまうと家族が利用できくなりますので、利用時間が限られます。そのため電話の利用を最小限で済ますために工夫が必要で気を遣うこともありました。
遊びでもそうでした。家庭用ゲーム機が普及しだしたのが、私が小学6年生の頃で、もっぱら遊びと言えば地域によって呼び方が違いますが、以下
刑泥(探偵)・鬼ごっこ・缶蹴り
ゴム飛び・ケンケンパ
野球・ドッチボール
メンコ(べったん)・ビー玉・コマ回し
トランプ
人生ゲーム等のボードゲーム
囲碁・将棋
ごっこ遊び(家族・警察・医者等)
虫取り・釣り
このようなものが主流でした。これらの遊びは主流のルールはありますが独自に工夫をして楽しまれた方も多かったと思います。というのも、飽きてしまうんですよね。もちろん、思考や工夫ありきの遊びもありました。
以下は関連する記事です。
現在は選択肢が多く、ルールの中で遊んでも十分に楽しめる場合が多いので、選択に悩むことはあっても、自ら工夫したり作り出す機会が少ないと感じます。マインクラフトのように創造性が必要な場合もありますが、少ない印象です。
Z世代は選択、シニア世代は工夫や作り出す、これが日常生活の上での大きな違いと言えます。
効率・思考
Z世代はタイパやコスパの重視傾向が強いと言われますが、これはコンテンツを選択・消化することが中心になっているためと考えられます。
シニア世代は工夫や生み出すことの重視傾向が強いため、タイパやコスパよりも時間をかけてでも作り出そうとする傾向が強いと考えられます。
現在の日本の状況を考えると、この考え方が府に落ちると私は感じています。
与えられる・見て学ぶ
もう一つ異なる点として、Z世代は選択が中心と書きましたが「シニア世代が作り上げた完成された選択肢が与えられている」ことが多い状態ではと推測します。これが選択する傾向が強くなる要因です。
シニア世代は「見て学ぶ」これが基本でした。先輩方々の仕事ぶりなどを見ながら、自身で学ぶ必要があり、教えて頂ける環境は恵まれた環境でした。私自身も指導を受けた経験はほとんどありません。
失敗や落ち込みへ気持ちの整理
Z世代は選択が中心と考えると、結果的に自ら作り出すことやチャレンジすることが少なくなる傾向があります。その結果、失敗を経験する機会も少なくなります。
対してシニア世代は理不尽なまでの経験をされた方も多いと思います。
私も多くの失敗や注意・お叱りを受けることを経験しました。その結果周囲に迷惑をかけることもありました。しかし、その失敗は記憶に深く残っているため、次の行動への改善につながります。
失敗するたびに落ち込みますが、その状態では前に進めないので切り替えて進み続けます。この、気持ちの整理を多く経験することで、どのような状況においても正しい方向を向くことが出来るようになります。時には新しい気付きにつながる場合もあります。
世代間格差
この環境の違いが、価値観の違いを生み、その結果世代間格差を引き起こすのではと感じます。
つまり、シニア世代が良かれと思ってお膳立てをしてしまうと、考える必要が無くなるため、それが自立の妨げになっていると感じます。
もちろん選択肢を用意することで結果を出しやすくはなります。しかし、それは諸刃の剣で自身で考える機会を奪ってしまうことにもつながります。また、決められた枠組みの中でとなると、イノベーションが起こりにくいことも懸念点です。
とはいえ、ビジネスの世界ではスピードが重要で、失敗が許されない場合が多く、先人の方々が作り出したものを利用するのは理にかなっているとも言えます。
学校教育の在り方
そこで重要になるのが、社会人になるまでの学校教育の在り方です。
今の時代に必要な学校教育の在り方として最も重視すべきは「自立」です。学生の場合、社会人とは異なり失敗が許容できる環境のため、この間での自立教育が重要です。そして、自立させるために必要なことは以下と感じます。
考えさせる
失敗を経験させる
気付かせる
コミュニケーションが必要な環境
見守る
シニア世代の歩み寄り
この世代間格差を埋めるにはどうすればよいか。まずはシニア世代がZ世代を理解する必要があります。何故なら、シニア世代は管理する側となるためです。管理職の方は次のことを感じた経験はないでしょうか
「なぜ、気付かない?」
「なぜ、理解できない?」
「なぜ、分からないとき、聞かない?」
「なぜ、指導の中で激しく落ち込む?」
これは、シニア世代が作り上げた環境で「Z世代が選択中心に育ったため」です。もちろん、学ぶ意識の強い人であれば既に自立しているため、このような問題に直面する機会が少なくなります。
シニア世代はこの環境の違いを理解する必要があります。
どのように接するか
自立とは自ら考え行動を起こすことです。もし、こちらが伝えたことしか出来ない場合、自立が不十分と考えられます。
自立は「考える(気づき)・相談(確認)・行動・報告」を自発的に行えているかが一つの指標となります。この4点に注目し、不足している所をサポートすることが大切です。
ここで重要なことは「伝える前に気付かせる」です。すぐに伝えてしまいがちですが、自身で気付かなければ再現性が低くなることが多いです。
聞く → 気付かせる → 見守る → 聞く → ・・・
管理職の方はこのサイクルを回すことが重要です。
また、学ぶ意識の強い人は伝えるだけで十分な場合や、より難度の高い課題を与えることで自立が早まる可能性があります。接する相手に合わせて接し方を変えることが重要です。
この接し方は指導者活動の中で実際に変化を経験し、効果を感じた方法で指導していた選手は、最終的に自分たちで時間管理・ウォーミングアップ等を自発的に行えるようになり、試合中の状況からポジション変更の必要性が提案出来るまでに変わっていきました。
まとめ
見守る中でイライラすることもあるとは思います。しかし、感情的になると状況が悪化します。冷静に平常心で接することを忘れないでください。続けることで、信頼関係が構築され、自然と自立へと導くことにつながります。
時には厳しく接する必要もあるのですが、そのような場合は演技をしてください。それが出来ない場合は、自身のメンタルコントロールについて考えなければいけません。
頭の中では理解できても、行動に移す場合に多くの困難が訪れると思います。時には周囲から理解されないこともあるでしょう。しかし、継続することで周囲も理解を深めていきます。
他責ではなく自責、この気持ちを忘れないでください。
リスクを恐れて何もしないのは、逆にリスクであることを理解してください。
シニア世代とZ世代双方が育った環境を理解することで、少しでも隔たり小さくなることを祈っております。
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