いとしのチョコパイ
子どもの頃から、好きなお菓子のナンバーワンはチョコパイ。
最近、クリームがたっぷり入った生チョコパイというのがある。
私はもう、それにゾッコンだ。
食べる前はキンキンに冷やしておく。溢れる生クリームも周りのチョコのパリッと感もすばらしい。
疲れていると食べたくなる。朝も昼も夜も食べたい。実際はそんなにちょくちょくは食べてないけど、気持ちとしては毎日食べたい。
最近、生チョコパイが売り切れで、久しぶりにオーソドックスなチョコパイを食べてみた。
美味しい。
スポンジ部分がギュッとなっているのがいい。クリームもこのタイプはこれはこれでいい。
そして、懐かしい。
子ども時代はめちゃくちゃ田舎の山の上に住んでいた。コンビニもスーパーも子供の足で行ける距離にはない。買ってきてもらうお菓子の中で抜群なのがチョコパイだった。
あのころ、休日にスーパーで買い物するだけのことが楽しいお出かけだった。必ずと言っていいほどチョコパイをねだった。母が節約したくて小さいチョコパイを提案してくるが、それでは嫌。口いっぱいに頬張るのが幸せなんだから。
私が熱を出して休んだ秋の日の午後、いつも仕事していた母が休んでくれた。梨を切ってくれ、窓辺でお日様を浴びながら食べたことを覚えている。
普段お菓子なんて作らない母が、おばあちゃんから大量にもらったりんごを持て余してか、ホットケーキミックスを付けて揚げてくれたドーナツを覚えている。
自分も子供ができてそんな話をしたら、母はどれも覚えていなかった。
ショックだった。
きっと毎日バタバタでいっぱいいっぱいだったんだろう。母だって人間だった。
娘も今のバタバタの生活の中で、そこ?と思うようなところを思い出にしていくのかもしれない。
ちなみに娘にはまだチョコパイの存在をひた隠しに隠している。
私と同じぐらい、毎日食べたくなっちゃうぐらいゾッコンになるに決まってるんだから。