
書籍【ダブルハーベスト~勝ち続ける仕組みをつくるAI時代の戦略デザイン】読了

https://booklog.jp/users/ogawakoichi/archives/1/B08G8W6SKY
◎タイトル:ダブルハーベスト 勝ち続ける仕組みをつくるAI時代の戦略デザイン
◎著者: 堀田 創、尾原和啓
◎出版社:ダイヤモンド社
どうやってループ(循環)を作るかがポイントだが、ここまで意識しているビジネスマンがどれだけいるのか。
AIエンジニアは理解しているかもしれない。
まさにAIをビジネスと紐づけてループさせるからこそ、優位性が加速度的に高まっていく訳だ。
私自身、今まであまりループを意識した仕事をしてこなかったが、これからは絶対に必要な考え方だと思う。
2012年頃に、大量の画像をAIが読み込んで、自動的に「猫」を判別した「ディープラーニング」という技術が話題を呼んだ。
今はAI自身が大量の画像を生成できてしまう。
それこそ猫だろうが犬だろうが、動物以外のものだろうが、大量に生成することが可能だ。
当然、AIはさらにその画像を読み込んで、猫・犬を判別する。
間違えたら、AIの中で訂正して、より読み込み精度を高めていく。
AIの進化はこの通りであるが、実はほとんどの人が、この「フィードバックループ」の破壊力を軽視していると思う。(私自身もそうだった)
ビジネスも人間すらも「成長」という意味ではAIの進化と全く同じ。
如何にフィードバックループを作るかがカギなのだ。
本書の本質はこの通りであるが、著者はさらに「ダブル・トリプルでループを作れ」と説いている。
これは本当に正しいと思う。
単純な一重のループであれば、他者が真似した時点で競争優位性はなくなってしまう。
勝敗を分けるのは、一重ループに見せかけておいて、裏側の見えにくい部分で、二重目のループを回していくことだそうだ。
理想は三重目ループまで構築しておけば盤石だ。
これら三重のフィードバックループを、人間が人力で回転させていたのでは意味がない。
いかにここを「自動化」させるか。それが大きなポイントなのだ。
できればスピードも重要視したい。
ここを自動化させてしまえば、ゆっくり回す理由がない。
放っておいても、グルグルぐるぐると、ものすごい勢いで回り続けるようにセットすればいい。
もちろんこの間に、中央に位置する頭脳部分が驚異的な進化を遂げていく。
人間の入る余地がないループの自動化となるため、放っておくだけで拡大再生産されるのだ。
ビジネスも当然拡大するし、人間であるならば大きく成長していくだろう。
本書のタイトルにある「Harvest(ハーベスト)」とは、「収穫」を意味しているらしい。
出力された結果すべてを、漏れなく収穫せよ。
そんな意味が込められているような気がする。
ビジネスで「ハーベストループ」を構築するためには、当然だがAIを組み込むのがベストな選択だ。
AIとループは、極めて相性がいい。
例えばだが、販売のデータをAIに読み込ませる。
それを元にして、在庫計画や、販売計画も、AIに出させる。
出させた計画も、AIに実行させる。
さらに実行した結果データを、AIに読み込ませる。
これだと一重ループに過ぎないが、可能ならダブル・トリプルでハーベストループを回していければ最高だ。
現状、私が働いている会社では、ハーベストループを上手くは回せていない気がする。
働く側の意識の問題もあるし、この「ループを作る」という発想が、なかなか持てないのではないだろうか。
もし売上を2倍にせよと命じられたら、どうしても「2倍頑張れば」とか、「人員が2倍になれば」とかの発想しか出ない気がする。
そうではなく、ループの自動化を構築するだけで、実は簡単に2倍3倍にしていくことが可能なのだ。
本書では「戦略デザイン」という言葉が使われていたが、これも正しく的を射ている。
もはや「戦術」ではない。
如何にして、効率的に勝利するか。
戦わずして勝利することを戦略とするならば、それを戦う前段階からどうやって構築するか。
まさに「デザイン」である。
これは本当に知恵を絞って確立していきたい。
仕組みを作るのが重要だが、どういうデータを使って、どういう結果をループさせるかの選択が非常に難しいと感じた。
自動運転が一番イメージしやすいかもしれない。
日々の走行データを取得して、AIに解析させる。
それによって、どういうルートでどう走行すれば効率的かを計算し、実走する。
そしてまた走行データを取得して解析に回す。
データが増えていくのか、最適化に向かうのか。
そこを上手にデザインせよということか。
確かに、ダブルハーベスト、トリプルハーベストのビジネスモデルを構築できたら、他社の追随を許すことはないだろう。
これは真剣に考えたい。
この発想を持って、社内でも新規ビジネスの議論をしてみたいものだ。
(2024/10/11金)