書籍「WHY BLOCKCHAIN なぜ、ブロックチェーンなのか?」読了
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◎タイトル:WHY BLOCKCHAIN なぜ、ブロックチェーンなのか?
◎著者:坪井大輔
◎出版社:翔泳社
なぜブロックチェーンなのか?
どうしても「ビットコイン」と混同されてしまうが、両者はイコールではない。
ブロックチェーンは仕組みというか単なる技術基盤であって、その上に乗っているサービスがビットコイン(仮想通貨=暗号通貨)なのだ。
ブロックチェーン技術は、確かにこれからの未来社会を変えていけるインパクトを持っている。
その事に本当に気が付いている人は、今現在ですら少数派かもしれない。(自分だって完全に理解しているかは自信がない)
これは「ブロックチェーン=ビットコイン」という勘違いが原因なのも否定できない。
そこで思考停止してはいけない。
正しくブロックチェーンの本質を理解し、その「流れ」を見ることが本当に重要なのだと感じてしまう。
もしブロックチェーン技術を「未来のお金の形なの?」「電子マネーと何が違うの?」程度に考えていたら、それによって社会がどう変化していくのかを見極めていくのは、相当に困難なことだろう。
本質を理解していれば、単なるお金の話ではなく、「ブロックチェーン技術が、社会の仕組みそのものを変える」ことに気が付くはずだからだ。
本書は、技術的な話よりも、あくまでも「ブロックチェーンとは何なのか?」「今までのインターネットと何が違うのか?」などの点において丁寧に解説してくれている。
だからこそ「なぜブロックチェーンなのか?」なのである。
著者は北海道を拠点にブロックチェーンに関わるベンチャー企業を経営しているらしい。
そこで道内の他企業経営者から相談を受けるそうだが、「それ、わざわざブロックチェーン技術を使う必要、なくない?」の案件も多いらしい。
それだけブロックチェーンは流行り言葉であるし、何か「万能」の「魔法の箱」感があるのだと思う。
実際ブロックチェーンは運用面でも様々な課題が残っている。
今現在の目に見える成功例が「ビットコイン」だけに留まっているというのも致し方ないところだろう。
だからこそ、既存システムでは出来ないことで、ブロックチェーン技術で出来ることは何なのか?
ブロックチェーンの特性を活かして、本当に向いているサービスとは何なのか?
そういうことを正しく考えて議論することが大切なのだろうと思う。
本書の中で「バンドル・アンバンドル」の話が出てくる。
「バラバラをまとめるか」もしくは「まとまりをバラバラにするか」という考え方なのだが、ここもブレなく思考を巡らせることが非常に大事な点だと思っている。
例えば、「シェアリングエコノミー」と「ブロックチェーン技術」は一見すると似ているが、果たして一体どこが異なるのだろうか。
こういう細かい点まで解像度高く理解していくことが、これからの社会を生きていく上で本当に大切なのだろう。
Web3、DAO、メタバース、NFT、これらの言葉もバズワードと思っている人が多いと思うが、実際は違う。
これらの流れこそ本流と言っても過言ではない。
確実に我々の実生活を変えていくだろう。
これらが日常化した当たり前の世界が、もうすぐそこまで迫っている。
リアル世界ではなく、バーチャル世界こそが分散化されたブロックチェーン技術で完全実現化した時は、おそらく社会の様々な部分が変わっているはずなのだ。
日常のほとんどをメタバース世界で過ごし、そこのメタバース世界の中で様々な経済活動が行われていくだろう。
実際の貨幣は当然に使われず、独自トークンだったり、NFTが流通したりするのだろう。
そんなことが当たり前になっていく中で、社会が変わらないとどうして言えるのだろうか?
すべてが分散化に向かう訳ではないが、ある部分については確実に進んでいくだろう。
なぜブロックチェーンでなければいけないのか?
その文脈を正しく理解することが、これからを生き抜く術だと感じる。
そんな未来社会の中で、例えば「国家」という枠組みはどうなっていくのだろうか?
「貨幣」という国家単位の通貨は、メタバース世界が標準となった時代にはどういう価値を持つのだろうか?
現段階で明確な答えは持てないとしても、常に想像力を働かせて考え続けること。
そしてそれらの変化を興味を持って追いかけ続けることが大切なのだ。
おそらく未来は我々の想像を軽く超えてくる。
矛盾しているような話だが、現実が想像を超えてくるのか、はたまた人間の想像力の方が勝るのか?
我々に立ち止まっている暇はない。
「なぜブロックチェーンなのか?」
その答えを探して考え続けることが大事なのである。
(2023/4/30)