書籍【化学で世界はすべて読み解ける~人類史、生命、暮らしのしくみ】読了
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◎タイトル:化学で世界はすべて読み解ける~人類史、生命、暮らしのしくみ
◎著者:左巻健男
◎出版社:SB新書
日常的に化学に触れているはずなのに、普段は意識する機会がほとんどない。良く考えると勿体ないことだ。
本書を読んで改めて気付かされるが、水・湯・氷の変化だって化学だ。
料理をすることもあるが、燃焼による物質の変化は、まさに化学反応とも言える。
これだけ化学は身近であるし、本書に記載の通り、医学にも農業にも使われていて、我々の生活に必要な学問であることは間違いない。
私自身理系専攻ではなかったため、それこそ中高の授業を最後に、化学という学問に触れた機会が記憶にないくらいだ。
本書で「ジハイドロゲンモノオキサイド」(=DHMO)について記載されている箇所がある。
名称のイメージに騙されてしまうのだが、何のことはない「一酸化二水素」のことだという。
これだけ聞いてもまだピンと来ないが、結局一酸化二水素は「H2O=水」のことだ。
こういうことも知らないと、DHMOと聞いただけで、何か毒のようなものを想像してしまう。
著者はこれを以って「きちんとした科学教育をしなければならない」と記載しているのだが、まさにその通りだと思う。
研究者の道に進まないとしても、正しい知識を得ることは、物事の真実を見る力に繋がるはずだ。
ついつい、我々は今の日常生活が存在していることを当たり前だと思ってしまうが、それも先人たちが科学技術を探求した努力の結晶であることは間違いない。
今後の日本の発展を考えると、化学も含めた科学分野は底上げをしなければいけないし、もっともっと化学が人々の身近になるべきだ。
数学やプログラミング教育については積極的な方向だが、化学も科学も今後は必須な知識だと思う。
目の前のことを当たり前と思わず、今まで気が付かなかったことを不思議に思ったり、意識をすることは、非常に大事なことだ。
これだけ変化の激しい時代だからこそ、物質が変化する化学を学問として習得することに意味がある気がする。
本書内にも記載があるが、農薬の力で食料の栽培効率が各段に上がっているから、安価な食事にもありつける。
衣服についても、合成繊維が発明されたから、我々は着心地のよい衣服を纏うことができる。
地球環境のことが叫ばれているが、現状石油由来のプラスチックをいきなりゼロにすることは無理があるだろう。
様々なものが、プラスチック素材を活用しているお陰で、日々の生活が成り立っている。
今後は地球環境に優しい新しい素材を発明して、プラスチックの代替えになる日が来るかもしれない。
しかし、そこに至るにはまだまだ遠い道のりだと思う。
まずは我々のような一般人が、もっともっと地球環境を意識することが重要だ。
そのためにも、化学分野の知識を得ることは、決してマイナスなことはない。
AIの進化のお陰で、分子レベルでの化学合成のシミュレーションは相当進歩しているという。
新薬の研究にしても、新素材の開発にしても、過去類を見ないペースで新しいものが生み出されていくだろう。
我々はそんな時代を生きている。
これも人類の歴史の一部だと思うと、感慨深いものだ。
(2024/12/15日)