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【目印を見つけるノート】289. 5時46分の時計の針とLink Up

きのう、素敵なニュースを見つけました。
エルヴィス・コステロさんが昨年リリースしたアルバム、『Hey Clockface』の中のナンバー『Revolution # 49』に関するものです。
ポエトリーリーディングなのです。

少しもったいぶってしまいましたが、このナンバーを女優のイザベル・アジャーニさんがフランス語で読むヴァージョンが紹介されていたのです。

エルヴィス・コステロ&フランスの女優イザベル・アジャーニ コラボ・トラック「Revolution # 49 (Parlé)」公開
http://amass.jp/143399/

こういう組み合わせがあるのかと、たいへん新鮮でしたし、英語の男性Ver.もフランス語の女性Ver.も異なる艶があって素敵です。愛がテーマですので、ふたつあるのも自然に思えます。
(後者にはコステロさんの声も入っています)

2つとも、引用します。

元のエルヴィス・コステロさんのVer.

イザベル・アジャーニさんとのVer.

これはThe Beatlesのアルバム『The Beatles』(いわゆる「ホワイト・アルバム」)に入っている『Revolution9』を意識されているのでしょう(違っていたらm(_ _)m)。

これを簡単に「コラボ」と呼ぶのは何かもったいないなと思いました。Collaborationが一般的で通りはするのですけれど。
そこで、ちょっと調べて、
「Link Up」がいいのではないかと結論づけました。
「合流する、つなぐ」という意味です。人と人のつながりということでいいなと思いました。『Link It Up』でどうでしょう。
(コステロさんの曲『Pump It Up』からの連想)
あるいは、愛でしょうか。


⚫1995年1月17日5時46分

以下は、以前私の音楽エッセイとして出したものを短くして再掲します。元も出したままです。
「毎年再掲してもいい」と、自分で思っているものです。
ご覧になったという方には恐縮です。
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取り上げたいのは阪神・淡路大震災の直後に作られた『満月の夕』(まんげつのゆうべ)です。ソウルフラワーユニオンさんの歌です。
タイトルは阪神・淡路大震災の日(1995年1月17日)が満月だったことに由来します。余震が続く中、満月の日に大きな地震がまた起こると人々が怯えている。その気持ちに寄り添うように作られた歌です。

神戸の新長田駅前でソウル・フラワーの皆さんがこの曲を演奏されたことを、メンバーの奥野真哉さんのツイッターで知りました(注: この元原稿を書いた2019年のことになります)。

私は、画像ですが、久しぶりにあの駅を見ました。何てキレイな駅だろう、キレイな駅前だろう、と思いました。

以下は個人的な経験になります。

1995年3月と4月、私は神戸市長田区と須磨区の学校(避難所)に炊き出しボランティアで行きました。新大阪から先の新幹線はなく、在来線もところどころ寸断されていて、私鉄などを乗り継いで行きました。4月は復旧していた部分があったと思います。

集合地点まで一人で向かいました。
新大阪から在来線に乗り車窓を見ていました。比較的日常に近い風景だったのが、川を越えた途端に一変しました。損壊した、ひしゃげた家が次々に現れて、いっそうひどくなっていく。私は窓にへばりついてそれを見ていました。

目的地の仮設の駅を出て、私は言葉を失いました。

がれきしかない。

ボランティアの集合場所の地図を握りしめてしばらくぼうっと突っ立っていました。1月16日まではあったはずの目印が何もないのです。どちらに行けばいいのだろうと、くらくらしました。すると先発で入っていた知人がいて、声をかけてくれました。
「こっちだよ」
私はその人について歩き出しました。すぐにガラスの破片がスニーカーの裏に突き刺さるのを感じました。私は足元を見ながら一生懸命先行く人について歩きました。

奥野さんのツイッターを見て、『満月の夕』を聴いたら、あの時の景色がはっきりとよみがえりました。

あの震災で知人も被災しました。現地で実際に被災した方からすれば、ボランティアでほんのわずかに垣間見た経験など、経験のうちに入らないでしょう。その後も日本の各地で大きな災害がいくつも起こっています。それもあって、あまりこういう類いの話はしたことがありません。

ただ、私の目が見たものは、私だけのものです。そしてそれは私だけの、たいへんな衝撃でした。

そして、そこから24年(注: 今年は26年)経った今だから、小さな個人の経験でも書く意味があるように思います。

4月は入学式で、私たちは紅白のもちをこねて新入生に配りました。もうあの子たちも30歳なのですね(注: 2年前)。

ソウル・フラワーの皆さんはずっと被災地に赴いて演奏しています。
深く敬意を表します。

※神戸市長田区は阪神・淡路大震災で、火災の被害が甚大だったところです。被災した場所はこちらだけではありませんが今回挙げたのでごく一部ですが付記します(1996年のデータ)。当時の写真も神戸市がサイトで公開していて見ることができます。

・長田区火災総数(件)……27(全市で175)
・焼損延床面積(平方メートル)
……523,546(全市で819,108)
・全焼(棟)……4,759(全市で6,965)

https://www.city.kobe.lg.jp/h20870/kuyakusho/nagataku/anzen1/index2/quake03.html
より引用。

ツイッターで知らせていただいてありがとうございます。
(2019年1月21日の原稿を修正し再掲)
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けさは5時前に目が覚めたので、ずっとNHKを見ていました。当時の映像が流れていました。
5時46分に黙祷をしてから、この原稿に取りかかりました。

Link Upという言葉を書きました。
よく使われるCollaborationやCo-operationでは何かが足りないような気がするのです。もちろん、それを使っている日本人の感覚としてなのですが。

合流するとかつながるというシンプルなものでいいような気がするのです。例えば今回再掲したエッセイのように、ひとつのツイッターから合流するように書き起こしていくものもあります。
今回書いているものも経済活動の場をお借りしているわけですが、個人としてお金を得ることを目的にはしていません。

コステロさんの例のように、経済活動もあるけれど、そこから一歩出たようなーー「創造のクオリティを高めるようなリンクアップ」とでも表現できるでしょうかーー活動が今後は増えるように思いますし、ぜひそうなってほしいです。

おっと、長くなりました。
それではまた、ごひいきに。

尾方佐羽

追伸 『満月の夕』は引用しませんが、ソウルフラワーさんはじめ、いろいろなアーティストが歌っています。興味を持たれましたら、ぜひ探してみてください。

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