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【目印を見つけるノート】6. 空き地と荒地、スーパーピンクムーン

⚫空き地と「荒地」

うちを中心にして半径50mぐらいの円を描くと、その範囲内に解体している家が多いのです。5軒ほどでしょうか。空撮したらぼこぼこと空き地(更地)になっているのが分かるだろうなと思いながら、近場に1回の買い物に出ます。解体したあとはさまざまで、そのまま空き地になっているもの、基礎だけ打って止めているもの、もう家ができつつあるところなどが見られます。

年齢がバレるかもしれませんが、小さい頃は空き地で遊ぶことが日常でした。さすがに土管はありませんでしたが(ドラえもんの世界)。当時の空き地は今よりも広くて、かけっこも十分にできました。もちろん公園でも遊びましたが、遊具が置いてあると、「これで遊びなさい」と言われているようで、私見ですが自由度が下がる気がしました。空き地で野球はしませんが、キックベースやゴム段、縄跳びぐらいはできました。小集団の遊びですね。

ゴム段って分かるでしょうか。輪になった長いゴムを2人の足にかけて、その間を飛んだり絡めたりして遊ぶのです。〈入って、出て、入って、踏んで、入って、出て、ねじって、ポン(ジャンプ)!〉という流れがありました。上級者はどんどんゴムの位置を高くするのです。私が見た最高レベルは脇の下の位置でした。サッカーのオーバーヘッドキック的な体勢になりますね(大げさでしょうか)。そのレベルになると、スカートは折り込みます。
女子は他にも「花いちもんめ」や「かごめかごめ」をよくしていました。そのようなことを固定メンバーではなく、飛び入り歓迎でやるのです。小さい学年の子も大きい子も一緒。
そのオープンなところが私は好きでした。

空き地を見ながらそんなことを考えました。
景色がどんどん変わっていくのは仕方ないですが、少し淋しい感じがしますね。

T.S.エリオットの有名な『荒地』(The Waste Land)という長い詩があります。その詩はこの一文で始まります。

〈April is the cruellest month〉
(4月は残酷極まりない月で)

4月の荒地の光景を私たちはいま見ているようにも思えます。


⚫月はひとつの時計です

きのうはスーパームーン、満月でした。
4月の満月を外国では『ピンクムーン』と呼ぶと聞いたことがありますが、きのうの場合は、「スーパーピンクムーン」ですね。

満月と新月の時に願いごとをする方もいらっしゃるようです。ネット検索をするとそのようなサイトがたくさん出てきますね。

満月から新月まではおおむね14日です。私は願いごとというより、自分の中の「時計」を確かめる目安にしています。日頃は日・週・月・年でものを考えています。スケジュール帳ですね。四半期が重要な方もいらっしゃるでしょう。
忙しかったりすると今日・明日・明後日と近いところしか見なくなったりもします。それで延々、今日・明日・明後日の繰り返しになって、気がつくと、「もう、1年も終わりか」と思うことも珍しくありませんでした。「今年はどんな1年だっただろう」と振り返ると、何も出てこない……と言いますか、どうも輪郭がぼんやりしてしまうのです。

そんなある日、月は自然の時計のようだなと思ったのです。新月はちょっと無理ですが、満月を見つけると携帯電話でパシャっと撮るようになりました。満月ポートレイト、撮る場所もつどつど違いますけれど、前から一定の時間が経っていることを感じられます。普通のスケジュール=カレンダーの他に月のリズムを持つことで、自分の中で時の捉え方が変わったように思えます。自分で頑なに思っている何かを、ほぐして柔らかにしてくれる。そんな感じでしょうか。月のリズムは潮の満ち引きにも影響していますし、地球の生き物にとって馴染みの深い、生来のものではないでしょうか。

ただ、今回の満月には私もお願いをしたいです。

一刻も早く、世界を閉ざしているもの、人々を苦しめているものが去って、みんなが会いたい人のところに飛び込んでいけますように。


⚫宣伝です

現在連載中の『16世紀のオデュッセイア』を昨晩更新しました。水曜日と金曜日の夜に更新しています。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793313132/416136725
もうすぐで112万字になります。

マキアヴェッリ、好きだなと書きながら思っていました。
収入が増えたら筑摩書房から出ている全集がほしいです。

それではまた、ごひいきに。

おがたさわ
(尾方佐羽)

♪今朝のBGM『HOME』Jack Johnson

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