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自己中人間がタンブンをしたら、心が軽くなった話

あなたはタンブンを知っていますか?
私はタイに来て、子どもとタンブンを習慣にしています。
なぜなら私は、そのタイの習慣に深く心を惹かれたからです。
タンブンとは『徳を積む』という意味です。
タイの仏教では欠かすことのできない観念で、徳(ブン)をいかに積む(タン)かで、現世ばかりではなく来世の幸不幸も決まってくるのだと信じられています。
一般的な日本人は徳を積むことについて意識をすることはあまり無いと思います。
実際、私も『徳を積むとは???』の人でした。
もし私がこのタンブンの思考を知らなければ、ずっと自分さえよければいい、自己中心的人物のままでした。
ここまで私を惹きつけたタンブンの魅力は何でしょうか。
まず一つ目。タンブンのやり方が思っていたより身近だったということです。『ブン』は先ほどお伝えした通り、「徳、善行」の意味です。お寺に参拝する、托鉢をする僧侶に施しをする、社会的弱者を助ける行為、魚を川に逃がすこと。
さらに日常で起こる『単なるちょっとした人助け』もブンの一つなのです。
次に、2つ目、タイの人々が持つ『喜捨寄進をすることで善行を積み重ね、より良き来世を迎えることを期待する』、という思想に興味を持ったことです。
現世での幸福は前世でのタンブンの結果であり、現世でタンブンを怠り悪行を行うと来世は不幸になるばかりか転生先は獣へ落とされると信仰されています。
そして3つ目です。それは、子どもに慈悲について教育できる機会を持つことができることです。
タイは日本より貧富の差が激しく、路上に物乞いをする人々がいます。多くの人がその横を通り過ぎる中、私は子供にお金を握らせ『渡しておいで』と言います。
足が無い人、目が見えない人、家族で路上に横たわる人。
※色々な考え方があるので、その人たちが本当の物乞いなのかはわかりませんが。
ただ、私は我が子に世界にはそのような人がいるのだと教えます。
ある時は、悪臭の中ゴミを回収してくれている人、ショッピングモールでトイレを掃除している人、その人に向かって手を合わせて感謝の気持ちを述べることを教えます。
タンブンは小さなことでも良いのです。家族に感謝を伝えること、人に席を譲ること、
人が嫌がることを自分からやること。これらは立派なタンブンです。
徳の積み方の奥深さに気づいたとき、より身近に感じることができました。
また、タンブンで積んだ徳は行為者に留まらず、その両親や家族、祖先にまで伝播、転送されます。タイでは、多くの家庭で母親が息子の出家を願い、わずかな期間でも息子がこれを受け入れるのは、こうした考えがタイ社会でなお機能しているからです。出家は、母親に対する最高の親孝行なのだそうです。
とっても興味深くないですか?
最後に、私はタンブンを子どもたちと行うとき、本人にどうなってほしいのか、無理強いや答えは言いません。
タイで経験するタンブンを通して、自分で考え、将来自分に何ができるのか考えてほしいと思っています。日本に帰っても、その気持ちを忘れないでいてほしいと願っています。
素敵な文化だと感じているので、もっといろいろな方に知っていただきたいと思い文章にしました。
そして、タイにいる間にもっとタンブンや、タイの文化を自分でも学ぼうと決意した今日この頃です。

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