
民業圧迫という魔物に屈するな。その魔物に屈するから地域は衰退する。
「民業圧迫」という言葉、行政が民間領域に入っていくときにしばしば耳にするフレーズです。「オマエラこっちに来るなよ!」という拒否メッセージとして投げられることが多い印象ですね。私も、公民連携で行政財産の有効活用に取り組んでいる際に、何度も言われました(笑)。
この言われる構造をよく考えてみると、ちょっと面白くもあり、正直、震える部分もあるんです。なぜなら、「民業圧迫だ!」と主張する多くのケース、その本質には「自分のサービスに自信がないから、新規参入が脅威」という心理が見え隠れするからです。つまり、自分のテリトリーに対してある程度の不安があるからこそ、行政が関わってくると困る、と言いたくなるのでしょう。
確かに、「民業圧迫」というのは一見理屈に合うようにも聞こえます。ですが、そもそも自分のサービスの専有率について考えたことがありますか?そのサービスが業界内でどれくらいのシェアを持っているか、あるいは地域でどれほどの影響力を持っているか、です。
もしその専有率が30%以上であれば、「民業圧迫」という言葉に対して、なるほど納得感も生まれるかもしれません。民間がしっかりと市場を形成しているなら、行政が参入する必要性に疑問を持つのは理にかなっています。しかし、専有率が数%程度しかない場合に「民業圧迫」と言われると、その主張はどうも説得力に欠ける気がします。むしろ、「残りの大多数の人々へのサービス提供が不十分なのでは?」と問いたくなりますよね。
つまり、「民業圧迫」と声を上げる前に、自分のサービスの価値を再確認し、それがどれだけの人に届いているか、考えるべきではないでしょうか。もっと言えば、他にやるべきことがあるのでは?
もちろん、行政がすべての分野に参入すべきという話ではありません。しかし、民間サービスが特定の地域や人に行き届いていないとすれば、そこには行政が補完的な役割を果たす余地があるのです。「民業圧迫」ではなく、サービスを届けられていない人々のための参入と考えられるように、より大局的な視点を持ってもらいたいものです。