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「大変な1年だった」2022年、Voicyは何をしてきたのか振り返ってみる【声の履歴書 Vol.90】
こんにちは。Voicy代表の緒方です。
この「声の履歴書」という連載は、Voicyがこれまで歩んできた道のりについて創業者の私があれこれ語っていこうというシリーズです。よかったらマガジンをフォローしてくれると嬉しいです。
今日は新年最初の更新。2022年の日本社会と、Voicyの1年について振り返るところからはじめましょう。
2022年は、未来に夢を感じにくい1年だった
2022年を振り返ると、とにかく「大変な年」でした。
竹中平蔵さんと対談をしたときに、お互い出てきた言葉は「すごく異常な年だったね」と。竹中さんは「オイルショックのときより異常だった」と話していました。
僕もそれに近い感想を持っています。今までの世の中は、平和的解決を求めて、「みんなで一致団結していこう」という社会でしたが、今年は、話が通じないから暴力に走るという人たちがたくさん出てしまった年だと思います。
たとえば、国家間問題を戦争にしてしまったり、元首相が殺害されてしまったり、「地球の平和のために」と自然環境問題に取り組む人たちが絵画にトマトスープを投げつけたり。
暴力でしか主張が通せない、というのが、いまの世界を取り巻く空気なのかもしれません。人々がちゃんと話し合えなくなってきてしまったことに怖さを感じています。
加えてビジネスの世界でも、株価がどんどん下がっていき、景気も悪くなりました。良いニュースが全然なかったなぁ、と思います。
「日本の子どもの数が80万人を切った」というニュースがある。その一方で「高齢者に医療費補助を」と訴え、そして未来が全然見えない。困ったことがたくさん起きているのに、解決策がまったくないということが露骨にあらわれてしまった。
コロナのときはまだ「みんないまは我慢しなきゃ」と思っていたけれど、コロナが少し落ち着いてみたら、「世の中もっと悲惨になってない?」って気付かされた。すごく、未来に夢を感じにくい1年だったんじゃないかと思うんです。
コンテンツの世界はもう”何でもあり”になってきた
そういう環境の中で、Voicyは2022年、一定程度の伸びは示すことができました。Voicyの1年間の総再生時間は2021年が1800万時間で、2022年が2900万時間でした。
おかげさまで、かなり聞かれるようになってきたと思います。その中で起きた変化としては、ただ「情報が欲しい」というよりも、「ちゃんと人の魅力に触れ合いたい」とか、「ロールモデルになる人に触れたい」というニーズが出てきたこと。
ネット上での誹謗中傷や暴露ゴシップ、暴力的なコンテンツや稼ぐための煽りコンテンツはもう当たり前になっていて、どんどん炎上して注目を集める中で、コンテンツも露骨にお金やモノを配ったりするものが当たり前になっていて。
中身が面白いとか、楽しいよりも、本能直結型のものばかりが目立つようになってきて、なおかつ、それが当たり前になりいやらしいと感じることもなくなってしまった。そういう意味では、コンテンツの社会はもう何でもありになってきてしまった、と思います。
ただ、その一方で、「そういうものは合わない」という人たちも出てきているのかな、と感じています。多くの人が住み分かれていっているのかもしれません。これまではお金という意味での貧富の差や、教育の貧富の差がありました。これからは受け取る情報やコンテンツにおいて貧富の差が起きそうです。
できれば僕らは豊かなものをたくさん提供していきたいと思っています。僕らVoicyは、心や生活が豊かになったり、前向きに生きれるようになるためのサービスを目指しています。
受け取るコンテンツの貧富の差って、本当に大きい問題です。好きなものを好きなだけ浴びていったら、だんだんと貧しくなっちゃう世の中。ジャンクフードを少し食べたら、その後はジャンクフードしか食べられなくなる。それがいまのテクノロジーです。
資金調達はできたけれど、まだ不完全燃焼
Voicyという会社についても振り返ると、去年から今年にかけての資金調達が無事にできたことが一番大きかったです。それまでは本当に、「あと1年もつかわからない」と常に言いながら走ってきた6年間でした。
けれど今年、かなりの評価とともに調達ができたことで、手元の数字だけではなく、もっと長期的に「ちゃんと社会の器になるサービスになるためにはどうすればいいのか」と考え続けることができるステージにきました。
ただ、もちろん同時に、それ以上のリターンを投資家に求められるというプレッシャーもあります。ただみんなに愛されるサービスをつくっている会社というだけではだめなのです。
たとえば、Voicyフェスの来場者も社内で設定していた本当の目標には到達しなかったですし、Voicyのユーザー数・総再生数も、当初「ここまで伸びてほしい」と思っていた数字には少し足りなかった。
なので、2022年はそこまで完全にはやりきれなかったという思いもあり、調達はできたけれど不完全燃焼。
2022年の一番の成果は、会社という組織づくり
お気づきかもしれませんが、Voicyは2021年たくさんの新機能を出しましたが、2022年はほとんどなかったのです。その代わり、何をしていたかというと、組織とサービス基盤です。そこに注力した1年でした。
成果は確実に出ています。会社組織は50人を超えて、すごく良い会社になってきました。社員のみんなもすごく切磋琢磨してくれるし、前向きに自分たちで事業をつくっていこうとしているし、仲が良くて、組織としては本当に自慢できる良い会社になりました。
売上げも好調でした。企業が音声コンテンツをスポンサードする文化ができたことは、すごく良かったです。「ハッシュタグ企画」と言われる広告企画の件数もかなり増えました。BtoBの売上は前年の倍以上に伸びました。Voicyは将来いろんな産業の企業がお金を投下するプラットフォームになる必要があると思ってるのでここはとても大事です。
従来のプレミアムリスナーも、ありがたいことに、使ってくれるパーソナリティも参加するリスナーさんも増えています。
悲惨な1年の中で、ギリギリ合格点。かすかな光が見えてきたという感じです。本当に2022年はみんな苦しかったけれど、2023年はどうなるでしょうか。
次のステージに挑戦する準備は整った。
僕らはこれまでなかったものをつくろうとしている会社です。だから、決めたことをちゃんとやってるだけでは成功しません。KPIを達成したからって世の中を変えられません。「そういう会社だと思わないでね」と社内では常々言っています。
「とにかくブレイクスルーを続けていって、異次元のアウトプットをして社会を驚かせていかないと、この会社はないから」と。
一回の人生をせっかくみんなでやるんだから、それくらいの覚悟で高みを目指して楽しんでもいいんじゃない? と思っています。
2022年のVoicyを一言でまとめると、文字どおり「土台づくり」の1年でした。高層マンションを立てるために、戸建て住宅を取り壊して、土を掘って杭を埋めてきました。そしてこの「土台づくり」はこれから骨組みをしっかり作っていきます。今骨組み作りに必死です。
これから大きく跳躍するための1年を迎えたいと思います。
声の編集後記
記事の執筆後に、あらためて音声でも話しています。よかったらこちらもお聞きください。
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![緒方憲太郎(Voicy代表)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82917804/profile_7542d5b25f37c5be87449f838ed89977.jpg?width=600&crop=1:1,smart)