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【PMBOK対応】PM試験の知識体系まとめ(#6 資源編)

概要

資源には、人・モノ・カネ等がある。
しかし、情報システム開発における資源は、人(チーム)がほとんどである。
「人は石垣、人は城、人は堀」(武田信玄)
「企業は人なり」(松下電器創業者 松下幸之助)
等の名言にある通り、人を大切にし、人の持つ「頭脳」を活かせるよう、心がけていきたい。

#6.1 資源マネジメントの計画

ここでは、チーム資源の「見積もり」「獲得」「育成」「マネジメント」「コントロール」に向けた計画を行い、計画書を作成するプロセスである。

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■#6.1.1 プロジェクト組織の種類
プロジェクトの特徴として「有期性」がある。
プロジェクト組織も、当然期間限定である。
よってプロジェクト開始時、チームメンバーは母体組織(社外も含む)から招集されるが、プロジェクト終結時には解散する。
まさに一期一会。人との出会いは大切にしたい。

プロジェクト組織の種類を紹介する。
一般的な企業であれば、いずれかの組織に当てはまると思うため、自分の務めている会社の組織がどれになるか、なぜその組織になっているのか、考えてみると面白いかもしれない。

・#6.1.1.1 ①機能別組織(職能別組織)
営業・生産・経理・人事等といった機能ごとに編成された組織形態。
製品・サービスが少ない中小企業によく採用されている組織形態であり、強力なリーダーシップを発揮できる場合に有効である。
- メリット
①各部門間で、仕事・人員・購買等の重複が無く、経営効率が良い
②同じ業務を集中・継続的に行うため、知識・技術の蓄積・共有が円滑
③全社まとめて受注・購買・採用活動等行えるため、規模の経済が働く
- デメリット
①専門性が高くなる分、全体を俯瞰できる人材が育ちにくい
責任の所在が不明確になりやすい
 原因が複雑な課題等に対し、責任転嫁の働きが発生する可能性がある。
③部門間の意思疎通が難しいため、課題発生時の変化に弱い

プロジェクトを実施する際、プロジェクトメンバーは母体組織(各部署)に所属しており、通常業務も並行して行うことが多い。
よって、プロジェクト業務への参画が希薄になってしまう可能性がある。

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・#6.1.1.2 ②事業部制組織
「Aサービス」「B製品」のようにサービス・製品などの事業部ごとに編成された組織形態。
事業部内には、営業部・製造部・人事部等、活動に必要な機能すべてを用意し、各事業が自己完結型で業務を果たせる組織形態である。
-メリット
全体を俯瞰できる人材が育ちやすい
②事業部長が利益責任を負うため、責任の所在が明確
③部門間の意思疎通が円滑であり、課題発生時の変化に強い
-デメリット
①各部門間で、仕事・人員・購買等の重複が発生し、経営効率が悪い
②会社の方針よりも事業部側の方針を重要視してしまう傾向がある
事業間の連携が難しい(ラジオ部門・カセット部門それぞれが、「ラジカセ」を開発してしまう等)

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・#6.1.1.3 ③マトリックス組織
構成員が、機能別組織と事業部制組織、両方に所属する組織形態。
機能別と事業部制、両方に上司が存在し、命令一元化の原則を放棄している。
-メリット
①機能別と事業部制、両方のメリットを得られるため、環境の変化に柔軟に対応できる
②既存の人材を起用しやすく、人材面の効率が良い
-デメリット
指揮命令系統が二重になってしまい、従業員が混乱する可能性がある
②管理者の権力による意思決定が多くなり、部門間の衝突が発生しやすい

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・#6.1.1.4 ④タスクフォース組織(プロジェクト型組織)
構成員は、母体組織に所属せず、特定の任務を遂行するために結成・活動する組織形態。
プロジェクトでよく採用される組織形態である。
-メリット
①解決のためにリソースを集中できる
解決に適したメンバーを集められる
-デメリット
ノウハウの蓄積が不十分になる
メンバーの選定・調整に苦労する場合がある
③課題発生時、部署横断的なサポートが得られにくい

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・#6.1.1.5 ⑤委員会組織
構成員は、母体組織に所属しながら、委員会にも所属する。
委員会は意思決定のみ遂行する組織であり、構成員は意思決定のみを担当する。
委員会は部門間調整等を目的として結成されることが多い。

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■#6.1.2 動機付け理論
プロジェクトを成功へ導くために、プロジェクトメンバーのやる気・行動を維持・調整する必要がある。
その過程の1つに「動機付け」がある。
動機付けとは行動の原因であり、メンバーが行動を起こしている場合、何らかの動機付けが作用していると考えられる。
動機付けが適切に行われると、メンバーは熱意を持って目標に向かい、プロジェクト成功に繋がる。
いくつかの方法論を紹介するので、参考にしてほしい。

・#6.1.2.1 ①テイラーの科学的管理法
この管理法が使用される以前、労働者側は賃金や管理面、経営者側は生産性が適正かという面で、相互に不信感がある状況であった。
それを克服するために考えられた管理法であり、主に以下3つの観点を利用する。
- 課業管理(ノルマと、成功報酬・不成功減収の設定)
- 作業の標準化(時間・動作の研究)
- 作業管理のために最適な組織形態(計画と実行部署の分離)

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#6.1.2.2 ②メイヨーのホーソン実験
ハーバード大学のメイヨーさんが、ホーソン工場で実施した実験である。
行われた時期は第一次世界大戦後、軍需以外の製品精算が活発に行われた時代である。
実験の概要としては、「作業条件と生産性」との相関関係の把握であり、具体的には、照明の明るさ・休憩時間の間隔・部屋の温度・賃金等である。
実験の結果は、「作業条件は生産性に大きな影響を与ておらず、職場の良好な人間関係が生産性に影響していた」というものである。

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#6.1.2.3 ③ハーズバーグの動機付け・衛生理論
ハーズバーグによって提唱されたモチベーション理論。
ハーズバーグは、仕事に対して満足を与える要因不満を与える要因が異なること(二要因理論)を発見し、前者を動機づけ要因、後者を衛生要因と呼んだ。
- 動機づけ要因の具体例
仕事の達成感、責任範囲の拡大、能力向上、チャレンジングな目標など
- 衛生要因
会社の方針、マネジメント方法、労働環境、労働条件(金銭・時間・身分)など

この理論では、片方を改善すればもう片方も改善するわけではないことがわかっている。
両方をバランスよく改善し、満足度が高く、不満が少ない環境を作り出すことが重要である。

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・#6.1.2.4 ④マズローの欲求5段階説
アメリカ合衆国の心理学者アブラハム・ハロルド・マズローによる理論である。
「人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されている」と考えたうえで、「承認欲求」「自己実現欲求」を考慮した人材マネジメントが必要であると主張した。
▲低次の欲求
- 自己実現欲求:自らの意思で脳力を高め、自身にしかできないことをしたいという欲求
- 承認欲求:所属した集団の中で、高く評価されたい・認められたいという欲求
- 社会的欲求:家族・学校・会社など、何らかの社会的な集団に所属したいという欲求
- 安全欲求:身体的・経済的に安定した環境で暮らしたいという欲求
- 生理的欲求:食欲・睡眠欲・性欲など、生きることに欠かせない最低限の欲求
▼高次の欲求

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・#6.1.2.5 ⑤マグレガーのX理論とY理論
アメリカの心理・経営学者ダグラス・マクレガーによって考えられた人間観・動機づけに関する2つの対立的な理論のことである。

- X理論
人間は本来怠け者であり、管理者が労働者を監視しないと、仕事を怠けてしまうという考え方。
- Y理論
人間は本来、適切な動機付けを行えば、自発的に能力研鑽し企業に尽くそうと努力する、という考え方。

マグレガーは、「低次の欲求が満たされている現代では、Y理論によるマネジメントが適切である」と主張している。

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■#6.1.3 階層構造図とテキスト形式
人的資源の詳細(チームメンバーの地位・役割・責任等)について記述した文書の、表現方式。
- 階層構造図
階層構造で表現された文書。体制図や組織図等がある。
- テキスト形式
テキスト(文章)で表現された文書。職位記述書や職務分掌規定等がある。

■#6.1.4 責任分担マトリックス(RAM:Responsibility Assignment Matrix)
責任箇所と担当者を明確にするために作成される表。
例えば、縦に開発機能、横に担当者、等で表現する。

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・#6.1.4.1 RACIチャート
役割を、
「R」Responsible(実行責任)
「A」Accountable(説明責任)
「C」Consult(相談対応)
「I」Inform(情報提供)

の4つに分け、責任分担マトリックスで表現した表である。

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#6.2 アクティビティ資源の見積もり

このプロセスは、#6.1 資源マネジメントの計画同様に「計画」プロセスに属し、チームの人的資源について見積もる。
具体的には、必要な個人の能力・資質・経験や、人材の人数・期間等を見積もる。

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■#6.2.1 資源カレンダー
各資源を投入可能な作業日、およびシフトを示す日程表。
恐らく、各部署のグループリーダーやマネージャーがExcelやスプレッドシート等でガントチャートを作成・管理しているため、それを活用する。

■#6.2.2 ボトムアップ見積もり
見積もり方法の1つ。
WBS作成時に洗い出したアクティビティ一式に対して見積もりを行い、最後に見積もり結果を合計することで見積もりを行う。
見積もり精度は高いが時間がかかるため、チームメンバー内で分担して行うことも、選択肢として検討すべきである。

#6.3 チームのマネジメント

「実行」プロセスに属する。
プロジェクトのパフォーマンスを最大化するために、
・チームメンバーのパフォーマンス追跡・フィードバック
・課題が発生した際の解決
・チーム変更のマネジメント
を行う。

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■#6.3.1 コンフリクトマネジメント
「コンフリクト」とは「紛争」を意味し、ここではチーム内の対立を管理する。
対立の要因には
・人材不足
・スケジュールの優先順位
・個人の作業スタイル
等が存在し、可能な限り初期段階で対処すべきである。
対処と言っても、トップダウンによる「強制や指示」ではなく、チームメンバー自ら行動・協調し、解決されるべきである。

コンフリクトの対処方法として、具体的に5つの方法がある。
①撤退や回避
対立から身を引き、対処する準備が整うまで(または他の誰かが解消するまで)課題を先送りにする手法。
根本的な解決にはなっていないため、改めて対策を講じる必要がある。

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②鎮静や対応
対立する意見に対し、異なる部分ではなく同意できる部分を強調し、相手のニーズと立場を認め、調和と関係を維持する手法。

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③妥協や和解
関係者全員がある程度納得できる解決策を模索し、対立を一時的(または部分的)に解消する手法。ただし、双方に不利な状況に終わることもあるため注意が必要である。

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④強制や指示
権力・地位を利用し、対立を解消する手法。
例)両者チームの上司に事態の収拾を依頼する等
この手法は、Win-Loseの関係となり、円満解決とならない可能性が高い。
また、指示した内容によって別の場所で資源が不足する可能性もある。

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⑤協力や問題解決
意見の一致・合意に向けた、協調的な姿勢と対話により、異なる観点から複数の視点・洞察を取り込む手法。
この手法では、Win-Winの関係となる可能性があり、理想の対処方法である。

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必ずしも「協力や問題解決」を目指すことが良いのではなく、時と場合によって①~⑤を使い分けることが、コンフリクトマネジメントの理想形である。

謝辞

以下利用させていただきました。感謝申し上げます。
いらすとや

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