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【毎日投稿】北極ラーメンの”辛さ10倍”を食べた話【3分記事】

僕が上京して最も驚いたことの1つが、蒙古タンメン中本に行ったことがない人が多いということだ。その存在を知らない人も多い。信じられない。それで関東に住んでいると言えるのだろうか。僕は上京して2年半だが、中本スタンプは400ポイント近く溜まっているし、既に中本Tシャツは貰った。蒙古タンメン中本だけで30万円近く使っている計算になる。

聞くところによると、一般的には蒙古タンメン中本は”辛すぎる”食べ物らしい。僕も最初は衝撃を受けた。中本初心者の頃は『辛さ6』の蒙古タンメンですらも、麻婆豆腐の尋常じゃない辛さに苦痛を感じながら食べた記憶がある。あの日を思い返せば、それは4年前、今は亡き「品達」ラーメンストリート内の蒙古タンメン中本での1杯だ。「辛すぎる!二度と来るか!」と怒りを覚えながら大阪行きの新幹線に乗り東京を後にした。もちろん新幹線の乗車中には腹痛に襲われた。

何を隠そう、僕は辛い食べ物が苦手である。CoCo壱のカレーは2辛で限界だ。そんな僕が蒙古タンメン中本を愛して止まなくなったのは、あるメニューとの出会いだ。

それは、北極ラーメン


究極のラーメンとの出会いだった。真っ赤なスープの海に咲く、一輪のモヤシ。まさに、シンプルイズベスト。余計な具材は要らない、引き算の美学、究極のデザインだ。そして、僕の持つ、”北極愛”は周囲に理解されることが少ない。

「あそこまで辛い必要が無い」
「辛すぎて味が分からない」
「鬼金棒の方が美味い」

酷い言われようだ。悲しい

北極ラーメン辛さ10倍への挑戦

ここから本題である。”北極”は辛さレベル9の商品であるが、裏コールにて辛さは1倍~10倍まで選ぶことが出来る。倍化させると唐辛子の量が増えて辛くなる。だが、北極ラーメンにおける一味唐辛子は辛さだけでなく旨味も兼ねそろえている。つまり変わるのは辛さではなく、味わいそのものである。これは食べてみるしかない。こうして、coco壱の2倍が限界な男が”北極10倍”を食べる挑戦がはじまった。

・挑戦初日(辛さ2倍)

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まずは2倍に挑戦する。確かに増えているような気がするが大きな変化はない。ちなみに常連にはお馴染みではあるが、中本には期間限定メニューがあり、その中の”北極の火山”が北極の辛さ2倍程度なので、実のところ未体験の辛さでは無い。

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また、辛さは温度との掛け算なので、北極の火山に乗っているトッピング(ヤサイ)が無い分、体感的な辛さは北極の火山よりも低く感じた。楽勝だ。

・挑戦2日目(辛さ4倍)

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次に4倍に挑戦する。この辺りから店員さんに声を掛けられるようになる。やはり珍しいようだ。ちなみに4倍も未経験の領域では無い。”北極”の3倍~4倍相当だといわれている限定メニュー”誠スペシャル”を数回食べた事があるからだ。”誠スペシャル”を食べた時はほぼ100%、腹と肛門が破壊されているので、十分に気をつけなければならない。辛さ的にはイケる。ただこの辺りからスープの塩分が気になり始めた。大量に増された唐辛子によって、スープの粘度が増し、麺からスープが落ちづらくなったのだ。これは些細なことに思えるが、実は極めて重要な変化である。

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北極を食べる上で徹底しなければならないのは「途中で水を飲まないこと」。途中で水を飲むことで口内に激痛が走る。水は一時的なオアシスになるが、辛さに慣れ始めた口内がリセットされ、次の一口に箸が伸びなくなる。塩分が増すと、それだけ水を欲してしまう。僕も何度か水を飲んでしまった。いや、かなり飲んだ。

・挑戦3日目(辛さ6倍)

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6倍にもなると明らかに様子が変わってきた。スープの粘度がこれまでとは比較にならない。いわゆるペースト化が始まったのだ。麺上げするとスープが大量の唐辛子を引き連れてくる。当然、体感的な塩分感も増しており、水を飲まずに食べることは不可能となった。とはいえ、リアクション等はとらない、黙々と食べ薦める。かなり減ってきた、いけないことはない。そして、もっと言うと「おいしい」、そう、おいしいのだ。粘度が高いことによって、まぜそば状態になっており、唐辛子の旨味が豊かな新しい食べ物になった。北極好きだ―、幸せだー、しかし、ここである考えが頭に浮かんだ。そもそも今回の挑戦は、2倍、4倍、6倍、8倍、10倍、と進める予定だった。少しずつ身体を慣れさせていき、それぞれの違いを楽しむためだ。そのつもりだった。

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ところが6倍を食べ終わると、「次に8倍ではなく、さっさと10倍を食べて、この挑戦を終わらせたい」という感情が生まれた。だが、これは決してネガティブな感情ではない、僕は北極6倍がとても気に入ったのだ。10倍を食べて企画を速やかに終了させて、今度は5倍を食べてみたいと思った。だから次は8倍を飛ばして10倍だ。臨機応変な対応だ、当初の策に縛られず、状況に応じて策を変化させた。今思い返せばこの判断は英断だったといえるだろう、そして言うまでも無いが、すでに腹は滅茶苦茶痛い。6倍攻略の次の日も数時間はトイレから出られなかった。

・挑戦最終日(辛さ10倍)

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ついにこの日がきた

なんだろう、、、美しい、そして、心なしかスープが微笑んでいるようにも思える

そして、4倍、6倍の荒々しいビジュアルと打って変わって、洗練された見た目になった。不思議なことに通常の北極ラーメン(1倍)にビジュアルが近くなっていることにお気づきだろうか。人間は赤ちゃんのときは外見に個性はなく、成年を迎えると個が最大化されるが、やがては老人になるとまた見た目に区別がつかないようになっていく。それと同じだ。北極ラーメンの1倍から10倍までの歩みは、ある意味での人生のメタファーだったのかもしれない。

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ご馳走様でした。

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