あの男行きのバス
クリープハイプを聴くと思い出すもう1人の男がいる。
どうしようもないあの頃の話、その2。
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高校時代に付き合っていた彼氏と
もう3年付き合っていた。
遠距離恋愛であたしは大学生、向こうは浪人生だった。
愛とか恋とか十代には確約があるわけじゃなくて。
あたしには気になる人ができてしまっていた。
大学の授業で出会った男だった。
彼氏と別れたくて、何故か隣にいたその男に
もう連絡してくるなと言わせた。
その帰り道にキスをした。
でもあの男には彼女がいた。
クリスマスイブは1人で過ごした。
クリスマスは水族館でデートをした。
でもあたしは知ってる。
前日に彼女と同じ場所に来てること。
指輪をもらった。
首輪をつけた飼い犬みたいで
なぜかそれが嬉しかった。
そんな関係が1年くらい続いた。
二十歳の誕生日。
その男と会う約束をしていた。
夜まで連絡は来なかった。
不貞腐れて会ってそっけなくしてたら
背後からケーキを投げつけられた。
だけどあたしはバカだったから
そのあと仲直りして海に行って星を見た。
でもそれが最後の思い出。
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あいつの左耳には
おそらく彼女とペアのピアスが付いていた。
大事になんてされてなかったけど
あたしだって同じだった。
クリープハイプを聴くと思い出す。
あの男の家に行くために
講義をサボってよくバスに乗っていた。
耳元ではクリープハイプ。
あの頃はバカだったな。
十代から二十代に変わるあの時のバカな恋愛を
また今思い出して恥ずかしくなる。
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