AIネイティブから考える新ビジネス、そのカギは「幻覚」を取り入れること?【Off Topic Ep188】
宮武徹郎と草野美木が、アメリカを中心とした最新テクノロジーやスタートアップビジネスの情報を、広く掘り下げながら紹介するPodcast『Off Topic』。このnoteでは、番組で語られたトピックを抜粋してお届けする。
エピソード『#188』のテーマは「AIネイティブとは何か?」である。アメリカのVCやスタートアップ界隈でも盛んに議論されていることだと宮武は話す。なぜ、「ネイティブ」という観点が必要なのかといえば、既存ビジネスの変化を見ても顕著だからだ。
生成AI技術のハイプサイクルが落ち着きを見せ始めた今、ビジネスにおける「AIネイティブ」なサービスの片鱗が見え始めた。
加熱するAI投資、そして起きる「プラットフォームシフト」
AI関連企業への投資が止まらない。特に生成AI技術関連のスタートアップは、今年の上半期だけで約$14B(約2100億円)の資金を調達しており、86件の投資が確認されている。このペースが続くと、下半壊もさらに多くの動きが見られることだろう。全体的に資金調達額が減少傾向にある中で、AI関連だけが際立っている状況だ。
宮武は「多くのVCと対話してみても、AI業界の資金調達が飛躍的に増えてはいるが、大型の資金調達を除くと、積極的に出資されているとは言えない」と指摘する。その理由としては、新しい技術やサービスは容易に模倣されるため、市場での優位性を築くことが難しいこと。そして、大手企業が市場へ急速に参入してきており、Google、Adobe、Canvaなどが強い存在感を示していることが挙げられる。
大手企業は豊富なキャッシュを持っていることに強みがある。GPUチップの需要が高まる中で、それを確保できるのは実際のところキャッシュを持つ企業である。さらに、彼らは大量の独自データを有しており、市場でも地位を築いている。例えば、Microsoftの「Office」は多くの企業で導入されており、一気に置き換えるのは現実的には難しい。
草野は「小規模なスタートアップが勝つのは難しいですね」と短く感想を返すと、宮武はそれに賛同しながらも、この状況こそが「将来につながるサービスのヒントを得られる」と展開する。「今の市場に出ているAIサービスを観察することで、未来のサービスの方向性が推測できると感じています」。
宮武は市場の変動、特に「プラットフォームシフト」という言葉を強調した。「私たちはプラットフォームシフトの真っ只中にいるはずです。この背景や意義を理解するためには、モバイル革命やインターネット革命といった、これまでのシフトを参照することが重要」と述べた。
これらの革命の共通点や違いを知ることで、現在起きつつあるシフトの本質を捉える手助けになると考えているのだ。
これまでは「ディストリビューションの革命」だった
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