「情報の整理」に革命的な変化が起きる…その前夜?【Off Topic Ep163】
宮武徹郎と草野美木が、アメリカを中心とした最新テクノロジーやスタートアップビジネスの情報を、広く掘り下げながら紹介するPodcast『Off Topic』。このnoteでは、番組のエピソードからトピックをピックアップして再構成したものをお届けする。
エピソード『#163 セカンドブレインとAIアシスタント』のテーマは「セカンドブレインとAIアシスタント」を取り扱う。全世界的に話題を集め続けているAIにはOff Topicとしても目を光らせているが、そのトレンドでも「AIとの掛け算」によって進化の速度を一層早めているテクノロジーが増えてきた。
今回は情報プラットフォームの「Notion」をはじめ、マークダウンエディタの「Obsidian」や、ノートアプリの「Mem」といったツールを人間の「第二の脳=セカンドブレイン」として見ていく。簡単に言えば「自分の考えをうまく整理してくれるツール」ではあるが、宮武は「これらのツールをセカンドブレインと名付けたのはワクワクさせて天才的だが、試したがうまく続かなかった」と話す。では、発展させるために超えるべき課題とは何か?
情報処理が追いつかない!
現在は、個人であれ社会であれ、接する情報の量が増え続けており、その消費量もまた増加している。しかしながら、情報処理技術の進歩が追いついていない。
社会が拡大するにつれ、さまざまな取引情報や記録されるべき情報が増加し、それを処理するためのテクノロジーや管理ツールが必要にもなっている。しかし、いずれは情報処理が追いつかなくなるタイミングで、社会は崩壊してしまうのではないかと考えられる。
テクノロジーの発展に目を向ければ、言語の伝達や印刷機から始まり、インターネットの登場によって情報は内容も量も複雑になり、爆発を続けた。やがて、現在のインターネットでは「アテンションエコノミー」という言葉が示すように、真実と偽物の見分けがつきにくくなっているほどだ。フェイクニュースが拡散するのも、情報処理が間に合っていないことの一端を表しているとも言えるだろう。
その環境を変えるべく、まずは個人の情報を処理する手段が求められているからこそ、メモアプリやセカンドブレインツールが注目されているのではないか、と宮武は話す。
Rewind.aiは「人生の検索エンジン」になるか
現状のメモアプリでは、メモ内の情報が幅広く、整理しづらいという問題がある。たとえば、SalesforceやHubSpotのようなCRMでは、情報は顧客ベースで記録していくため整理も明確なのだが、メモアプリではどんな情報でも入力できるため、整理の方法もユーザーに委ねられる。タグの付け方やカテゴライズなど「正しい方法」がわからないことも多い。
それらを超えるためのセカンドブレインというアイデアは、実は昔から存在していた。老舗ツールの一つに数えられるTheBrainというウェブアプリは、マインドマップの機能を有しており、1997年に公開された。コアユーザーの中には、1998年から使い、現在ではアドバイザーでもあるJerry Michalski氏は、情報のノード数が53万にも上るという。彼がどのように情報を整理しているのかは、宮武たちも「興味がある」と話すが、それだけに過去の情報へいかに有用にたどり着き、活用できるかには課題があるわけである。
実は、Offtopicでもセカンドブレインのようなツールを作成し、収集した情報をまとめて提供することを検討したことがある。しかし、マニュアル操作に依存したワークフローが多くなるといった理由から、実現を見送った経緯がある。しかし、最新のAIアシスタントを活用したツールであれば、この課題を解決できる可能性が見えてきた。
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