初めて沼った芸人さんと界隈


当時、私は芸人さんをあまり芸人さんと認識していなかった。芸人さんと聞くとテレビの人という印象だった。

それも私自身ほとんどバラエティー番組を見ないので、冠番組を持っているような有名な方々の顔と名前が一致しない。

知っているのは親が知っている芸人さん数組くらい。一番古い記憶は小学生の時で、当時買っていた女児雑誌にネタの物まねの仕方があったのを薄ら覚えている。

他には地元県を代表する芸人さん。ネタを当時完コピできていた気もするが、好きでやっていたというより家族に通じるからやっていたという感じだったと思う。中学くらいだった記憶はそこで途切れている。


2023年3月某日。私は大学二年生の春休み真っただ中だった。

もうすぐ三年生。就活のためにインターンや勉強をしなければいけないことが頭の中でぐるぐるし、布団にもぐって現実逃避をしていた。

そのスマホをかまっていた時に偶然YouTubeで彼らに一目惚れしたのだった。


彼らがトップバッターというのも後で知ったが、決勝の全ネタを見た後でもただ1組だけ心に残っていた。

綺麗なネタで詰まるところを知らない、颯爽としたコンビというのが第一印象。

両人ともどこか品がある。

わたしはYouTube動画の中から過去ネタを漁り、ラジオにも手を出した。


ひととおり見てみて、バランスの取れたコンビだと思った。人の弱さも知っており、陽の世界で常に生きてきた訳でもなさそうな、陰陽併せ持っている独特の落ち着きように惹かれた。

特に彼らのネタは言葉の機微と、研ぎ澄まされた感性が感じられ、完成度が高く芸術作品かのようだった。

そしてツッコミの優しさがいつも包み込んでいた。綺麗なネタにはツッコミの存在を絶対に抜かしてはいけない。

浜田さんの存在は他人の良さも彼自身のよさもふんだんに引き出す。あの人は本当に良い人間であると思う。

私は浜田さんがradiotalkや夕凪カベポスターで語ることは共感するし、思考も似ていると感じることがある。人との関わりや正義の行方、日常にどのように向き合うかという生き方の面など。

しかし決定的に違うのは思ったことを外に出し、積極的に行動するという所、見過ごさない点。


あの人を見ていて思ったことを挙げるとするといくつかある。深く物事を考えていながら、しっかり主張はする方。周りの空気を読むのは上手だが、疑念を抱いた点はいつまでも引きずる頑固という一面も顔を出すことも。

基本的にはバランスよく振舞える人。相方のボケに正論ツッコミをしつつも穏やかに笑う。漫才劇場のお披露目公演の際にやっていたエビ天の勢いは息を潜め(マンゲキyoutube公式動画参照)、ボケを殺さない空気感を作り出す。

世話を焼いているような、一緒に楽しんでいるようなゆったりとした掛け合いを作っている。

また儚さが二人にある所も惹かれる所以かもしれない。パワフルを押し出したコンビではなく、繊細なバランス感覚を重んじる所は綺麗と感じる。


それまで私は圧倒的に目立つムーブをする人は嫌いであると思っていた。

以前のわたしにとって芸人さんのイメージはそんな感じで、

「笑わせる側の人ってバリバリ陽キャで常にうるさそう」

偏見だ。私もだいぶ歪んでいるのでそんな印象しかなかった。しかしそんな事はない。今見渡すと様々な芸風の方がいらっしゃる。


この2人は寡黙な訳でもないが、余裕がある落ち着きを見せる。それでいて面白い。

こういうのが好きだなと思った。


また、わたしにも好きな傾向が見つかった。

なんとなくコントよりも漫才が好きだった。
日常の延長のようなおしゃべり、それが漫才だ!と最初に思っていたからだと思う。

客に魅せるのが芸人であるが、二人の世界自体が面白い、切り取ったところを見て!といった感覚が近いのかもしれない。

耳だけで聴いてそれだけでも面白いという思えるものが本当に好きだ。
聴覚は少ない情報量である。

視覚は一番情報量が多く、わかりやすい。どれだけ細かく演じられているかが上手さともいえると思う。しかしそれは見る側の解釈を狭めていると言えるのではないかと時折思う。

わたしが重んじていることは想像力なのかもしれない。

情報の少ない限られた中で表現される言葉の美意識。

広がりを生み、限界がない。

それが漫才の魅力だと思う。


私は永見さんは創造もするが、どちらかというと想像を形にするタイプだと思う。楽しい楽しい空想の世界に取り込んでくれる。

その世界を作れるのは言葉や物事への感性がとても優れているからではと考える。

いつか頭の中を覗けたらと今日も漫才を見ている。



また、実は永見さんはあまり本を読まないというのを最近知り驚いた。
浜田さんの方が本を読むし、ラジオでは好きな作家さんも教えて頂けた・(サクラバシ919でのゲスト出演の際 )

驚くことであったが物事を見るときの想像力が幅広く、頭一つ抜けている。

本当に不思議なひとだ。


読めない人と思っていたが人間らしいところが沢山あり、浜田さん同様目が離せない。




最後にどうでもいいことを。

私が2人をTwitterで言及する時、永見さんだけはエゴサに引っ掛かりやすいので工夫して彼を呼んでいる人が多い。

公開アカウントで"だいごくん"呼びしてるファンの女の子たちがすごい。

浜田さんについても、彼の"にゅんたん"という芸人さん間でのニックネームは表で中々つぶやけない。


…私には無理だなぁ。

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