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THE GUILD 勉強会#2で考えた、デザインの未来の話

6月21日(木)の夜に開催されたTHE GUILD勉強会#2へ参加してきました。note枠ですが、同時にtwitter実況もやっていたのでフォロワーさんはすでに読まれているのかどうなのか。。。

+ 6/22 13:00追記 +
note編集部おすすめにピックして頂いたので、
文末にちょっと追記を書きました。

今回のテーマは「Design in Tech Report 2018を読み解く」というテーマで、登壇者はTHE GUILD深津さんとゲストでTakram佐々木康裕さんと松田聖大さん。モデレーターがコバカナさん

で、まず主題のDesign in Tech Report 2018はこちらです。元々は英語だけど、これはちゃんと翻訳版。

一応、このイベントのページでも当日までに読んでおいてほしい資料として載っていましたが、このスライドの量がやばいです。全部で91ページあります。しかも1ページずつが割とみっちり。。。

僕は仕事の合間にトータル3時間くらいかけて読みました。

でもこれ、当日イベント前に読もうとか思っていた人は多分読むの挫折したまんまイベント突入していたと思う。初心者向きではなく、完全に業界の中堅クラス以上向きの高度で専門的な内容です。しかも多分に「こうなってほしい」という気持ちも感じたり。

そんな91ページのスライドを2時間で要約しつつ登壇者の切り口で語るという、とんでもない激ムズなイベント。

ひとまず、レポートとしてちゃんと成立させる為に前弾のこのDesign in Tech Report 2018を僕なりに要約しますね。


昔・今・未来の3つのデザインの潮流

近代デザインの流れを昔・今・未来の三つに大雑把に分けた場合、昔=造形的なデザイン、今=デザイン思考(形からの脱却)、そして未来=先端デザイン(思考から集合知へ)という大きな流れがあります。

長い間、デザイン=意匠計画であり、卓越した個人技をもとに作り出される職人芸でした。今もその名残は大いにありますし、減速しているとはいえメインストリームはまだこちらが強いです。

それが少し前のアメリカやヨーロッパの主流となったデザイン思考=情報設計となり、経験や体験のデザインや情報のデザインなど形以外のものへと広がりました。日本では今まさにここら辺をウロウロしている感じです。UI/UXとかまさにここ。

で、これから先の未来では先端デザイン(コンピュテーションデザイン)=分野を超えた集合知の統合になり、デザインがオーケストラの指揮者のようになっていくでしょう。

では、そうなる未来に僕らデザイナーの職能はどうあるべきで、デザインを社会に対してどう認知・作用させていくのがいいのでしょう?


分断された3つの領域の統合

Tech Reportの中でのキーワードは「分断」と「統合」です。

前述の時間軸としての分断も一つ、そして次に職能としての領域の分断があります。Tech Reportでは大雑把ですが現在ある仕事の領域をビジネス・テクノロジー・デザインの3つに分けていました。

CXOナイトではこれらの領域のハイブリット、つまりビジネス・テクノロジー・デザインの3つの領域の重なる真ん中の人材が必要という話が出たようですが、分断された3つの領域をつなぐ存在は確かに必要でしょう。

Tech Reportではそういう領域を横断して経営から分析からデザインまで全てのできるスーパーマンになる道を説いていましたが・・・無理だろ。万の屍を築いて1人が生き残ってなれるかどうかの蠱毒の道です。

まぁ、どんな職能がこれから大事かっていうのは、前述のレポートの途中に表になっているからそれ見てくださいね。(丸投げ)


分断された溝を横断して統合せよ

で、要点をまとめましょう。イベント自体は質疑応答含めてこのレポートを「分断されているクラシカルな造形派と、テクニカルな先端派を統合して未来作ろうぜ」というまとめ方にしていたと感じました。

根本に戻ると、技術や経済が進化した先で人間が色々な労働から解放された先にあるのはコミュニケーションなんだと思うんです。

その時にデザイナーに限らず職能としては「心を動かす」事こそ重要な力になるんじゃないか、なんて僕は感じました。

個人技から集合知へ、権威から民意へ、完成形=答えのあるモノづくりから無限にアップデートし続けるモノづくりへ。。。

これらの変遷の大きな流れの中で、自分が好きで得意な分野を磨きつつ、複合的に得意技を掛け合わせて必殺技を作るっていうのが今の僕らが個人で取り組める事かな、とまとめておきます。


残された課題や疑問

2時間の枠でTech Report読み解いて、さらに先の話をするのは無理でしたね。

結構、レポート後半の難易度が高めの部分の議論がまるでないまま終わってしまいました。

せっかくなので、レポート読んだ組としてもっと話すべき課題点をあげておきますね。


そもそも論:
デザインが経営から評価されるにはどうするべきなのか?

これはデザインの評価スキームの確立と、デザインが優れていることでビジネスにコミットできる=儲かる&ブランド価値があがる、ということをもっと明確に示していかないといけないでしょう。

WEBはこの評価が効果測定しやすいですが、クラシカルなデザイン領域では美醜に関しては専門家が見るものという文化が色濃く残っています。

ここら辺は、もう時代は権威から民意へ移り変わっていっていますから、デザインの評価システムを運用するのがもっと普及して、結果にコミットした分フィーもいただくと説得できるデザイナーが増えるべきです。


世界の高齢化の問題
もうすぐ祖父母のニーズ・ウォンツ・ウィムズ(気まぐれ)で回る経済になる
インクルーシブデザイン
除外されてきた層をもう一度上流から統括的にカバーする
リモートワーク
不平等への抵抗は中央集権型→自律的な分散型へ

ここら辺の話題はもっと深掘りできそうです。

でも、一個一個がヘヴィなので、今回は議論もなかったし割愛!


言葉を磨け

note枠なので最後に一つ。ここまでちゃんと読んだあなたへのおみやげです。

このクソ長い冗長なレポートには、最後の方でこれからのデザイナーに必要な職能の話が出ています。

この中で、一番右側の先端のデザインスキルの一番上に「ライティング」とあります。見えますか?

これは、ライティング=照明デザイン・・・ではなく、文字と言葉を扱うコピーライティングのこと。これ、近い将来必要になる箇所にもいるんですよライティング。

ここが興味深かったのだけれど、技術がどんどん進歩するほどに、訴求する手段は複雑さを増しつつ、それでも心に刺さるのはワンフレーズだったりするわけです。

何が言いたいのかというと、コミュニケーションのシステムが発達するほどに、シンプルで本質的な物である「書いて伝える」技術がより重要になっていく。

心を動かす事こそ重要な力になる、その時に大事なのはライティング能力である。

これ、結構希望持てると思うんですよね。

技術に置いていかれるわけではなく、技術がいろいろなことから僕らを解放してくれた先に、もっと丁寧にコミュニケーションを考えられる時代がくる。

そう思うと、人と人との関わりや、心の動き方に、今よりちょっと敏感になってみようかなと思えます。


【 6/22追記 】


公開後に結構見て頂いて、
いろいろな人とちょろちょろ議論しつつ、
気になった箇所を追記しておきます。

■領域は本当に三つなのか?

まず、ビジネス・テクノロジー・デザインの三つの領域の話をした時に戻ります。そもそも、本当に領域はこの三つ〝だけ〟なのでしょうか??

この三つの領域はある種のサイエンスの領域です。これに対して、僕はまだ他の領域の話が足りていないんじゃないの?と思ったのです。

それは、サイエンスに対するアートであり、アーツ&クラフツ。卓越した個人に帰属する発想と技巧。

インターネット以降のメディアでも伝達が難しく、存在意義的にも再現性がほぼなく、確立した圧倒的な個性としての表現であるアート。そして同じくインターネットで継承・伝承が難しく、習得に1on1のコミュニケーションが長時間必要になるクラフツ。

すごく乱暴にまとめましたが、このアーツ&クラフツの領域こそクラシカルと揶揄されたデザイナーが片足つっこんでいる部分で、かつ再現性が低くテック側がなかなか取り込めずに苦しんでいる、ある種の分断の正体なんじゃないかとも思うのです。


■アートに対するネイチャーへ敬意を払うこと

領域の話を続けますね。サイエンスとアートの大きなくくり、これはヒューマンメイド=つまりは人間の領域です。

これに対して対局にはネイチャーメイド=自然の領域・神の領域があります。

アートやサイエンスはどちらも神の領域と行ったり来たりしつつ横断して発見を繰り返し、その価値を高めてきました。

つまり、一面的に見るだけならばテックとビジネスをやってデザインをもっと売ろうって話に見えがちなんですが、本質的には広い視野を持って見るべきなんじゃねーのか?と思うわけです。

別にいきなり自然礼賛!ってわけじゃないんですが、PC見てないでネイチャーから得られる知見や、アーツ&クラフツから発見できる技巧や体験なんかも混ぜながら、自分にとっての得意技を磨こうよって話です。

以上、解散!!

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