小学1年生の娘に「デザイン」の授業をしてみた
入学即休校によって6歳にしてニートになってしまった長女。
仕方ないので親として時間割を組んで授業をしているのだけれど、なかなか親の言うことは聞いてくれない。
わからない問題では発狂して叫ぶし、授業中に逃げ出すし、他のことを始めたりする。
たった1人の生徒なのに、すでに学級崩壊...
もうまともに教えるのはあきらめて、なるべく興味のある分野かつ自分がリードできるところを教えることにした。
そんなわけで、今日は「デザイン」の授業の1コマ目の内容をシェアしておく。
そもそもデザインってなに?
デザインとは?という話をはじめるとめちゃくちゃ長くなるし、小学校1年生はそんな話には耐えられない。
6歳は自分が本心で興味を持てる話しか聞いてくれない。
思い出してほしい...月曜日の全校朝礼...校長先生の話、ほとんど聞いていなかったハズだ。
あれがもしもマンツーマンで密室で行われるとしたら、そりゃ発狂して逃げ出す気持ちもわかる。
大人になるとお金をもらえるのでつまらない上司の話も聞いているフリをするのが上手になるが、親子間ではなかなかうまくはいかない。
かと言って、これを叱りつけて恐怖心で聞かせるのも違う気はする。
そんなわけで、デザインとは?の話はいきなり頓挫して割愛することになった。聞いていられないから仕方がない。
「デザインとは、要するにいろいろ工夫することだよ。」と言っておいた。めちゃくちゃ広義だけれど、間違ってはいないハズだ。
家の中から宝探しゲームをする
さて、いきなりつまづいた。
こうなってはデザイン論とか言っていられないので、興味を持って取り組んでもらえる内容にシフトすることにした。
お題①:今から言うカタチのものを3つ、家の中から見つけて持ってくる
A.まる
B.しかく
C.さんかく
造形の基本、まる・さんかく・しかく。これを家の中のものから見つけてくる、と言うお題。
何を子供だましな...と思うかもしれないけれど、これ実はプロでも取り組むトレーニングの一種だ。
例えば、ソファの背貼りのまるい鋲。なんで丸なのか?四角じゃダメなのか?
カタチを見つけて、なぜそのカタチなのか?を考え始めると、形状にも理由があったりすることに気づく。
ソファの鋲の場合は、くるみボタンという製法で布地でくるんだボタンで止めている。これをボタン絞め製法という。
四角でも作れなくはないが、布地を引っ張って後ろで止めているので、角がたくさんあるとそこから布地が破れやすく、耐久性で劣る。
なんてことを考えたり説明するきっかけになる。
家の中の基本的なカタチのものをあれこれ持ってきてもらって、これがもしも丸じゃなくて四角だったら?三角だったら?と描いたり話したりしてみてほしい。
だいたいこれで30分くらい使えるので、残りの15分は応用問題をしよう。
お題②:今から言うカタチのものを1つ、家の中から見つけて持ってくる
D.上から見ると丸いけど、横から見ると四角いもの
今度はちょっと応用編で、上から見るのと横から見るのでカタチが変わるもの。
三面図という図法で出てくる基礎的なやつなのだけれど、要するに円柱だ。
ヒントなしで見つけてくるコはなかなか図形への理解が早い。「上から見ると二重丸、横から見ると四角」も聞いてみよう。
正解は...トイレットペーパーや、セロハンテープ。太めの筒状のものならだいたい当てはまる。
興味が続くようなら、これを「色」や「素材」などでやってもいい。なぞなぞのように問題を出してあげて、探偵役としてそれを探してくる、というストーリー仕立てにすると乗ってくれやすい。
カラーバス効果を暮らしに組み込む
カラーバスというアイデアの練習方法があり、特定の事柄の情報を意識して集めることで、どんどんその情報が集まり解像度が深まっていく。
これは「考具」という広告代理店の人が書いた名著に載っているので、詳しい話はそっちを読んで欲しい。
今回のこども向けデザイン授業では、この考え方をベースにカタチを探す、という内容にしたものだ。
上記のように、美大ではグラフィックデザインの課題として出ていたりもする。
家の中にある模様や柄、という点では小学1年生にはちょっと難しいけれど、大人だったらこれくらい意匠に意図のあるものが歯ごたえがあっていいと思う。
こうした観察力を高める仕組み、トレーニングをいかに暮らしに組み込むか、がデザインの上達には有効だ。
さて、授業のアイデアは他にもたくさんあるけれど、このジャンルでは、若くして亡くなられてしまった柳本さんが講師をしていた「まほうの絵筆」というアートスクールの取り組みがとてもいい。
キーワードの描かれたマインドマップから言葉を調べてみたり...
街のお店でお客さんの行動を観察してみたり...
世界中の牛乳パックを集めて違いを考えてみたり...
どれもちょっと高学年向けだが、おもしろいしデザインの基礎が詰まっている。大人がやってもハマると思う。
さて、初回の授業はなんとかやってくれたが...これは前途多難だ...
自分の子供に教えるハードルの高さ、想像以上にシビアだった...
次回どうしたもんかなぁ...
自分のこどもへ教えるのすごく難しい...
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