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第28回 3/23〜3/27「常識外れな事ばかり起きる女子刑務所。」

3月23日土曜日。
免業日。

同部屋の問題児はどうやら摂食障害らしく、まだ皆んなが喫食中だと言うのに吐くのが我慢出来なくてトイレに行ってしまう。

いよいよ指摘する側も疲れてきた。

でも言わないと好き勝手ばかりするので
「そういう事は独居に行ってからやってくれ」
と言う。

ここまで来たらもう私の手には負えないので、「ムチ役」の子に全部任せてしまった。

そもそも部屋を仕切る役など、私には合わない。
申し訳ないがこのまま部屋を仕切ってほしい…。

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3月24日日曜日。
免業日。

女子刑務所では
室長を任されている事により自分の王国を部屋の中で作れると勘違いしている人も多いが全くの大間違いだし、指摘するのが苦痛の私にとっては地獄以外の何者でもない。

今日はずっとお腹が痛かったので(ストレス)テレビを観ながら横になっていた。

留置140日、拘置40日、更には捕まる前まで一切テレビを観ない生活だった為、刑務所でのテレビは凄く新鮮だ。

刑務所ではバラエティ番組より食べ物番組の方が人気である。
「オモウマい店」とか「デカ盛りハンター」「バナナマンのせっかくグルメ」など。

こんなの自ら観てしまうなんて皆ドMなのかなって今まで思ってたけど、実際自分も食べ物系の番組ばかり選んでいるのに夢中になっていて

「完全にシャバっ気がなくなったな」
と思う…。(汗)

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3月25日月曜日。

同部屋のムチ役と相談して決めた事がある。

食事中に吐いたり、コロッケを手で食べたりする問題児は何を言っても勝手な事ばかりするので私はもう徹底的に相手しない。

今朝も皆の知らない間にベビーパウダーを靴の中に入れて部屋の畳を真っ白にしていた。
何を言ってもルールは守らないし言い訳するので私も堪忍袋の緒が切れた。

「お前と関わりたくないから話しかけんといて」とはっきり言う。

別に罪悪感とか全くない。
軽くイジメと思われるかも知れないが女子刑ではこんなの当たり前の話で何を言っても言う事聞かない奴はハブにされて当然である。

いずれにしても後二日の辛抱だ。

そして母から本の差し入れと、今より三年ぐらい幼い子供達の写真が届いた。

この時も私は刑務所にいて何もしてあげられず寂しい思いをさせていたなと思うと本当に心が苦しい。

今夜は眠れそうにないな。

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3月26日火曜日。

私と一週間遅れで大阪拘置所から移送されてきた子から凄い話を聞いた。

何と今回の刑で拘置所で知り合った男性受刑者と獄中結婚したと言うのである。

詳しく聞いたら拘置所にいる時に外部の人間から紹介したい男性がいると言われ、お互い未決で拘置所に居ながら手紙のやり取りしてる内に「この人の事好きやなぁ」と思い始め、直接会った事も話した事もないけど婚姻届を出したと言うのである。

相手の顔はマイナンバーカードの書類でしか知らない

そんなの娑婆でも結婚しないだろって正直どういった神経してるのか理解が出来ないが、刑務所には色んな人がいるので特別不思議だとも思わないし、中で差し入れしてほしいが為にわざと結婚する人もいるのでツッコミ始めたらキリがない。

まぁその殆どが受刑生活中に見放され勝手に離婚届を出されてしまい途中で名字が変わっているが。

この6人で過ごす雑居生活も残り一日。
色々あったが次の工場行っても皆、頑張ってほしい。特に初犯の子達は。

今更だが豊橋刑での新しい私の称呼番号は

「第263番」である。

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3月27日水曜日。

やっと考査二週間が終わった。

明日から正式な工場に配役される。
その為の「処遇審査会」が本日行われた。

小さい会議室にド偉い職員方々が5人ぐらい座っていて詰めるに詰められる。

他の人達は初犯なのであまりキツイ事を言われなかったらしいが再犯の私はもちろんサンドバッグ並にボコボコにされた。(汗)

子供達の事を言われると声が詰まってしまう。

「せっかくあなたには待ってくれている家族もいて、あなたのファンだと言って待ってくれている人達もいる。誰が何を言おうと自分を貫き通しなさい」

とキツイけど、勇気のある言葉も言って頂けた。

明日からまた新しい生活が始まる。

与えられた事を精一杯頑張るだけだ。






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