『ツミデミック』気になる本も聞き放題
『ツミデミック』
著者:一穂ミチ
直木賞受賞作品ということで、
オーディブルで見つけ、聴いてみた。
『ツミデミック』って何だろうと思いつつ、
きっと聞いていたらわかるんだろうと
最後まで聴き終えたところで、
短編の中にも、そんなタイトルの小説はなく、
調べてみて初めてわかった。
「ツミデミック」=「罪とパンデミック(世界的大流行)」
を掛けた造語だそうだ。
(あぁ、そういうことだったのか、)
どおりで、なんだか気持ちが沈むわけだ。
短編小説が、6つ。
パンデミックというくらいだから、
とても不安を駆られるテーマが扱われる。
読後のレビューはとてもよく、
扱うテーマの幅広さや展開、臨場感や
巧みな表現、結末など。
とても素晴らしい作品であるのは、
間違いない。
しかし、正直苦手だった。
(ジェットコースターや、お化け屋敷は苦手。
と似ている。と理解していただけたら助かる。)
それは、私自身がとても平和な日常を好んでいて、
刺激的なこととか、社会問題となる悪事や、
忌み嫌われること、やってはいけないとされていることを
いつも、遠くへ遠くへ、追いやっていたい…
という思考で生きているためだと思う。
そういう意味で、「直木賞受賞作」だから、
という理由で手に取ったのは(?)、
私の内面を気づくためにはよかった。
しかし、オーディブルで小説を聞くのは、
やはり避けたい。
役者張りに、複数の声優がセリフをいう
オーディブルでは趣がない。
(役者さん一人が、全編読み上げてくれる
小説バージョンは意外と好き。)
進む速さを調整したり、息をのんだり、
緊張したり、考え込んだり、振り返ったり、
笑ったり、首をかしげたり、
小説は、想像力を駆使して、もっと楽しみたい。
とはいえ、紙の本では、
いまだに読んでいなかったことを思うと、
いち早く内容を知るという点で、
やはり、オーディブルに軍配を上げてしまう。
悩ましい。