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お絵描き教室でのないしょごと 7-2022/05/07

 制約のない久々のGWだそうであちこち賑わったらしい。といっても、わが家はどこにも行かず、4月30日は「大人の水彩室」に参加した。
 イラストレーターの講師の「けーやん」こと高橋恵子さんとは、クラウンの師匠まりちゃん(金本麻理子さん)とのつながりで知り合えた。知り合った当時、介護職もされながら高齢のみなさんにアートワークを提供されていた。現在も介護の関係者が見るサイトに、すてきなエピソードとともに和むイラストを連載されている。訪問看護での物語を描いた本もとても素敵だ。(*1)
 けーやんは、アートコという子どものアトリエにもかかわっている。今回は、そこでの初めてのおとな向け水彩絵の具体験の場だった。最後の一枠に滑り込めた。いろいろな色の水彩絵の具と、いろいろな材質の紙(麻の紙、藁の入った紙、和紙など)、描き方を体験した。
 描き方とは、筆の下の方をしっかり持って直線を描いてみる、上の方をもって好きな感触で波線を描く、筆先を置いて染みさせる等のほか、好きに描いていいよーというもの。筆を使わずに絵の具をたらしてみてもいい、というのでドキドキしながらやってみたり。けーやんせんせいが、「いいよーいいよー💗」と言いながら見守ってくれて、どんどん大胆になり解放されていく。

 「うわーーーたのしーーー!!」
 どうしていいかわからないほど楽しかった。

 水彩の色は思いがけない形に染みて、ほかの色を重ねると思う通りの色にはならない。想像しなかった色の重なりは、自分を知らない世界へつれて行ってくれるかんじ。絵らしい絵になっているわけではないけど、描くのは楽しい♪をカラダが思い出している感じがした。
 
 そうだ!!
 私は小さい時絵を描くことが好きだったんだ。

 次は幼稚園の年長さんになる春。自家中毒とかいう病気で入院した。しんどかったのは、多分1日か2日で、あとはベッドの中でお絵描き三昧。「プリンが食べたいよー」と、いくつもいくつもプリンを描いた。退院後母はもちろん、近所の親しいオバサマお二人が私のためにプリンをつくってくれたっけ。今もプリンは大好物だ。
 
 お絵描きが好きだったからだろう。幼稚園時代にお絵描き教室に入れてもらえた。画家の方が開いていたもの。せんせいはベレー帽かぶっていて、まさに画家さんのイメージそのもの。テラスのある戸建てのおうちのアトリエだった。私の記憶では、幼稚園時代だけでやめた、、はずだった。が、最近再会できた小学校1年生からのお友だちえっちゃんによると、「さっちゃんのお絵描き教室にいっしょに行って終わるのを待ったことがある」という。そうか、小学生になってからも通ったのか。なんとも記憶はあやふや。えっちゃんと私は幼稚園がちがう。えっちゃんの記憶にあるなら、小学生になってからも通ったのだろう。

 私のお絵描き教室の記憶はかなり曖昧。それがなぜか。自分にはわかっている。62歳になった今の今まで、誰にも言えなかったないしょごとがあるからだ。記憶をなくしてしまいたかった。だから曖昧なのだ。

 そう、、、私は、、、お絵描き教室の最中に、、、おもらしした。
 
 どうやってあの日ごまかして帰ったのか。いや、気づいた後どう過ごしたのか。今だったら、クラウン流に「まちがっちゃったーー♪」ともろ手を挙げて笑い、まわりから「ナイス・クラウニンーグ!!」と言ってもらうところだ(いや今でもむりかな、おもらしは。笑)。家に着くまでに乾いてほしいと、ゆっくりゆっくり帰ろうとしたような。親には言えなかった。いや、ごまかせたと自分が思っているだけで、みんなは知っていたかも。母にはもちろん、もうきけない。

 このないしょごとのせいでお絵描きが嫌いになったわけではない。小学校の写生大会は好きだった。入学した北区滝野川第七小学校(最寄駅 駒込駅)では、1年生と2年生は歩いて飛鳥山公園に行き、3年生と4年生は電車に乗って上野動物園に行った。消防車の絵を描き賞をもらったこともあった。自分には描けないと思ったのは、中学入学後の石膏のデッサンの課題だった。以来絵を描くのが好きだったことをすっかり忘れた。けーやんの大人の水彩室のおかげで思い出せた。よかったー💗
(*1)
・なかまある
 認知症を自分事と考える人たちが一緒につくるウエブメディア
 https://nakamaaru.asahi.com/author/11002660
・高橋恵子著「家でのこと 訪問看護で出会う13の珠玉の物語」
   https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/108905

(表紙の写真は、「大人の水彩室」にてけーやんに撮っていただいたもの。下の写真は、思いがけず赤ハナいっぱいになった赤絵の具をたらしたもの。)









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