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神話の地ギリシャ旅行記(4)キラの港


「海だ、海だ!」

峠を越えたバスは、つづら折りの道を下っていく。
そして、暮れ始めた光の中、海が眼下に姿を現す。

目的地キラはさらに右手、眼下に見える細い道を下る。

「θάλαττα θάλαττα(タラッタ・タラッタ:海だ!海だ!)」
は古代ギリシャの史家クセノポーンの著書に出てくる名言という。
到着後初めて見えた海に、なんと相応しい言葉だろうか。

運搬途中の柱

一般のツアーではまず立ち寄らないキラだが、もうここから遺跡探訪は始まっている。
先生に言われてよく見れば、透明度の高い海中には当時の桟橋・岸壁の石組みがある。(上記Xポスト右画像)
近くの空き地と見えた場所には、船のドックの遺構。
そして円筒形の奇妙な石。

フェンスで囲まれた空き地が古代遺跡。奥にドック跡が見える。

これは神殿などの柱にするため運搬していた石が、ここに取り残されたものだそうだ。
側面の突起は運搬用に残された部分で、建設の際に削り取られる。
つまり、この石の形によって建設方法が解ったというわけだ。実物を目にすることの凄みを早速感じる。

海辺でディナー

夕食はキラのレストラン。海岸にテーブルが並び、夕日を眺めながらのギリシャ初ディナー。

まずパンが出て来る。自由にお替りできる。

ホメロスの叙事詩には食事がよく登場する。

例えば「オデュッセイア」第1歌の、オデュッセウスの息子のテレマコスが館に来訪した客(実は人間に姿を変えたアテナ女神)に食事を供するシーンには
「…気品ある女中頭がパンとともに、貯えの食料を惜しみなく供して、数々の珍味を山の如く卓上に置く。…」(岩波文庫「オデュッセイア」(上)P.17 松平千秋訳より)
という文があるが、これはどの食事シーンでも似たような言い回しで出てくる。私はその理由を
「決まり文句で処理した方が楽だから」だろうと思っていた。

しかし、実際この記述そのままに、次から次へと新鮮な海の幸が出て来て、「もう十分」と思ったところにメインディッシュ(イカ丸ごと1杯)が出た。さらにエビも出た。
この食事の記述は、もしかして事実を述べたに過ぎないのかもしれない。

投宿

2泊するVホテルは急斜面に建っていて、ベランダからの景色が素晴らしかった。

ホテルベランダからの絶景。中央付近にキラの港が見える。

二人部屋をとの希望(一人部屋は追加料金が必要なうえ、何かあったとき同室者がいるのは心強い)が叶い、部屋はツイン。ツアー中同室になってくださったSさんはとても旅慣れた気さくな方で、いろいろと助けていただいた。

こうして旅の1日目が終わり、2日目が始まる。

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