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神話の地ギリシャ旅行記(14)エピダウロス


神話の中

ツアー第7日目(9/9)は、ナフプリオン~エピダウロス~アルゴス~スパルタと、ペロポネソス半島を縦横に巡る。
どの場所にも数多くの神話があって、まさに神話の時代にいるような気分になる。
最初に訪れるエピダウロスの遺跡は、医神アスクレピオスの神域。
ここはデルフォイと同じように、ポリス(都市)というよりギリシャ世界各地から人が神殿に詣でる場所だ。

前門からの参道。「神域」に入っていくせいか不思議と落ち着いた気分になる。

アスクレピオスの神域

【神話】
アスクレピオスはアポロンの息子の半神(英雄、つまり人間)で、医療技術を極め、ついには死者を蘇生させるに至った。これでは死者がふえないと困った冥王ハデスはゼウスに訴え、アスクレピオスは雷に打たれて死んだが、後に天に上げられ「医術の神」(星座の「へび使い座」)となった。

そのため、エピダウロスの遺跡には(神を祀る)神殿と(英雄を祭る)墓がある。
何よりここは「医療機関」として、参拝者(患者)を治療する場所だった。
参拝者は「聖所」と呼ばれる建物で宿泊し、そこで神からの夢を待つ。神官たちは参拝者から夢の内容を聞き出し、それをもとに治療を行ったという。

前年のトルコツアーでもペルガモンのアスクレピオスの神殿を訪れたが、どちらも広々としていて、なんとなく気持ちの落ち着くような場所にある。

碑文と医療器具

遺跡には、先に書いた神話や、治療内容を記した碑文が大量に残されている。石に刻むことによって記録を時代に残し、それをもとに技術を進化させていったのかもしれない。

一面に文字が刻まれた碑文。ほかにも大量にあり、これらのおかげで当時の医療がわかる。

夢で指示される医療内容は、内科や精神科の範疇にとどまらない。人体への知識は限定的だが、外科的な処置も多数行われていた。

エピダウロス出土の医療器具。

これだけではない。野外劇場(聞きしに勝るすばらしい音響だった)やヒッポロドーム(競技場・馬場)など、心身の健康に必要と思われる各種施設がそろっていた。
ポリスではないにせよ、多くの人々が運営に携わり、長く栄え、やがて西洋医術の祖を生み出していく。





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