突撃インタビュー (株式会社LAUNDROMAT 代表取締役 岩泉賢氏)後編
前編はこちら
突撃インタビューと題してみたものの、企画自体が突撃している感満載で、これが企画として続くのかどうかも若干怪しい。
続くことを期待したい(僕が)
岩泉氏は僕が外資の金融機関で働いていた際のマネージャーだった。非常に柔和なキャラクターで皆に愛されていたことに加え実力のほどはピカイチで僕も大変お世話になった。
そんな岩泉氏から会社設立の相談を受け、株式会社LAUNDROMAT の設立のをお手伝いして、ベトナムへ。
ベトナムから帰国後、インスタグラムで開店を知りました。
コインランドリーとは全く思えないお洒落な外観。
岩泉氏はいるかな?とすこし緊張しながら店舗へ突入。
入るとお洒落な機器。
「ここはアメリカ?」
右手にはこんな待合スペース。
「カフェを併設するようなそんなコインランドリーをつくる」そう言っていた氏の言葉を思い出した。
カウンターの奥のテーブルで氏はPCを目を細めて睨んでいた。その姿は外資系のマネージャー時代を僕に思い出させた。
僕に気が付くと
「いらっしゃいませ」と相変わらず人懐っこい笑顔を見せてくれた。そして、一瞬表情がとまると
「おお。久しぶりやん!」と満面の笑みで迎えてくれた。
「むっちゃ苦労してん」
満面の笑みでそう氏は話す。
物件の選定、リフォーム会社の選定、ガスが置けない、消防法、保険所の対応、予算、資金繰り。
氏の話には苦労を感じさせない明るさが相変わらずあった。
LAUNDROMATという壁のロゴが素敵だったので、その旨を伝えた。
「あぁ、あれな・・・・業者に頼んだら30万円とかいうてな。あほか?ちゅう話やで。そんな金ないわいうて、ほんなら自分で作ったれて、発砲スチールとアルミ買ってきてな自分で作った。材料費3,000円や」
「営業の神様おろしたろうおもてな」
「『このままじゃあかん、死ぬぅ!』て何度も思ったで・・・・でもな、やったらなあかんしな。」
氏がそういうなら本当にそうだったのだろう。
「でもな、とにかく営業の神様おろしたろうおもてな」
氏がマネージャー時代に何度も話してくれた『営業の神様』だ。
外資系の会社の営業所で氏と話していたころに急速に記憶は遡る。
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「なぁ、さかいだちゃん。営業の神様てな、ほんまおんねん。ほんまおんねんで」
氏はよくそう話してくれた。氏も昔、鞄を持ち、駆けずり回っていた時代に何度も挫折を繰り返したそうだ。氏にもそんな時代があったのか、と僕は新鮮に思ったものだ。
氏は言った。
「営業の神様はな、机でじーっとしててもおりてきてくれへんねん。営業の神様はな、無駄とかなんとか思わずにな、とにかくしょうもないことでも、動き回ってたらな、おりてきてくれんねん」
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氏は当時の僕に満面の笑みで教えてくれたのだった。
その神様を今もおろそうとしている。その変わらない姿勢に僕は涙が出そうになった。
「とにかくな営業の神様おろしたろうおもてな、嫁に『俺、営業の神様おろすためにとりあえずビラ、ポスティングしてくるわ』言うたんや。嫁さん『はぁ~??』言うてたけどな」
「やっぱり営業の神様はおんねん」
岩泉氏は続ける
「そしたらな、次の週な布団や。とにかく布団や。ごっつきてん。もう大変やったわ。確かにうちは布団は安いで。でもな、あんなきたらあかんわ。かさばるし、洗濯機はフル稼働やから店も暑いし・・・・」
そして
「なぁ、さかいだちゃん。やっぱな、営業の神様はおるで」
元上司のその笑顔が僕はたまらなく好きだ。
洗濯代行というサービス
洗濯代行というサービスを皆様はご存知だろうか?
朝に洗濯物をサービス店に持っていく。料金はキロ単位だ。
夕方には洗濯はもちろん、たたんで返してくれる。
洗濯という業務を細分化しよう。
①洗濯物を分類する
②洗濯機をまわす
③洗濯物を干す
④洗濯物を取り込む
⑤洗濯物を畳む
世の中には洗濯が苦な人間もいればそうでない人間もいる。上記の業務すべてが苦手という人間もいれば、干すまではできるが取り込むのが嫌だという人もいるし、取り込んでさえくれていたら畳むのは苦ではない人もいる。
この業務すべてを請け負ってくれるのが洗濯代行サービスだ。
仕事に出る時間を逆算して、朝早く起きる必要はない。
夜に洗濯をして洗濯を干す前に眠ってしまい翌朝急いで干すという必要もない。
急な雨で洗濯物が濡れてしまい再度洗濯をしなければならないという事態も引き起こらない。
1日2時間洗濯に費やす時間があったとして1週間で14時間だ。2日に1度の洗濯しても半分で7時間だ。
子育て世帯、ワンオペでわが子の面倒を見ている世のお母さま方にこそしっていただきたい。その時間、お金でかいませんか?精神的な苦痛をなくし、子どもと向き合う時間をお金で買いませんか?すべての家事を女性が、主婦がする必要などまったくないのです。
週に一度でもいいじゃないですか。洗濯物を休む日があっても。
洗濯物を干す時間、座ってお茶を飲んでみてください。
誰もあなたを責めませんよ。
と「勝手な男」の一員である僕が言っても説得力はないでしょう。「ばかか?」と思われるかもしれません。
でも、お金で時間を買うという選択肢はあってもいいじゃないですか。
「この街をな、IKEAの袋でいっぱいにしたるねん」
氏の店舗ではクリーニングに来たお客様にはIKEAの袋で返却している。
「最初は、『なんやこの袋かっこわるいなぁ』いうてたおじいちゃん、おばあちゃんもな、なんやかんや言うて毎回この袋に入れて持ってくるねん」
僕は神戸市兵庫区中のおばあちゃん、おじいちゃん、乳母車を押したママさん、スーツ姿のパパさん、一人暮らしを始めたばかりの大学生のおにいちゃん、などが氏の店舗に向かっている姿を想像した。それはとても異様な風景ではあったが、洗濯代行のサービスが日本に、まずは神戸市兵庫区に根差したら当たり前の風景になるのだろう。
「パパゴミ出しといて」に加えて「パパ洗濯物も出しといて」とIKEAの袋が手渡される日も近いだろう。
しかし、岩泉氏の野望はとまらない
「そのうち、オリジナルのランドリー袋売り出そうおもてんねん」
そうなるとIKEAの青い袋からオリジナルのランドリー袋だ。同じ袋を持ったさまざまな世代の人たちが一つの店に集結する姿はとても痛快だろう。
最後に、氏に聞いてみた。
「起業して苦しいことは?」
「もちろんお金のことは苦しいけどな。」
そういってしばらく思案した挙句
「もう洗濯もんたたむのいやや~。仕事やけどな、いやなんで」
そう言って氏は笑った。
(お手製のロゴの前で一枚。代表取締役岩泉賢氏)
Tシャツに書かれているデザイン。
わかりますでしょうか?
LAUNDROMATが隠されているんですよ。
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