「高齢者の面倒はこれ以上無理」宣言をしてもよいのだ
(本稿は不適切と指摘されかねない提言が含まれているので、有料にして事実上の閲覧制限をかけている)
イギリスでは国会に安楽死法案が提出された。
高齢者の面倒をこれ以上みることはできない、という悲鳴だろう。
日本でも似たことが起きている。
共同通信の記事から。
医療費上限の引き上げ検討、政府 自己負担、時期や幅が焦点に
(共同通信、2024年11月8日)
政府は8日、医療費が高額になった際、患者の自己負担を一定にとどめる「高額療養費制度」の上限額を引き上げる検討に入った。高齢化が進んで医療費が膨らむ中、医療保険制度を維持する狙い。引き上げの時期や幅は今後詰める。石破首相は同日「全世代型社会保障構築本部」の会合を官邸で開き、上限額引き上げを含む社会保障の歳出改革工程表の具体化を進めるよう関係閣僚に指示した。
本部会合の開催は石破政権で初めて。首相は「人口減少時代に合った、全世代が活躍できる社会保障への転換に向けて検討を深めてほしい」と述べた。本部の下に設けた有識者会議で近く議論を始める。
高額療養費制度では、年収区分ごとに1カ月の上限額などが定められている。例えば、年収約370万~770万円の人で自己負担が3割の場合、1カ月の支払いが8万円程度に抑えられる。政府は、上限額を物価や賃金に応じて引き上げたり、年収が高い人に新たな上限額を設けたりすることを協議する。
70歳以上が外来受診した際に負担額をさらに抑える特例も見直し議論の対象となる。
政府は「これからは医療を受けにくくしていく」と明言したほうがよいのではないか
高額療養費制度はいわば「高い治療でも気にせずバンバン受けてくださいね」制度である。
高い手術でもバンバン受けてくださいね、といっている。
高い薬でもガンガン飲んでくださいね、といっている。
これは悪いことではない。
それどころか、日本の国力と医学力を示す優れた制度だ。
しかし今はもう、日本には圧倒的な国力も圧倒的な医学力もない。
したがって高額療養費制度の上限引き上げは、バンバンガンガン方針をあらためて「これからはもうそう簡単には高い治療は提供できません」といっているようなものである。
つまり政府は、贅沢な医療を受けにくくしたいのである。
ところが首相も厚生労働省もそうはいわない。
では、なんと説明しているのかというと、「社会保障の歳出改革工程表の具体化」とか「全世代が活躍できる社会保障への転換」とかである。
よくもまあ、こんなキレイな言葉をみつくろったものだ。
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