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【電子帳簿保存法】メール本文は10年間保存 注意点を解説


 改正された電子帳簿保存法が2022年1月に施行され、企業などの法人が税務や経理関連の業務で使っている帳簿や書類を、電子データで正確に保存しなければならなくなりました(*1)。

この記事では改正・電子帳簿保存法の内容と、法人がしなければならないことを紹介したうえで、クラウドメールの有用性を解説します。 

どの企業にとってもメールは今やビジネスで欠かせない連絡ツールであり、取引ツールであり、コミュニケーション・ツールになっているはずです。

改正・電子帳簿保存法によって電子データのやり取りが増えれば、メールはさらに重要なツールになります。
高性能なクラウドメールを導入することで、ビジネス環境を強化することができるでしょう。 

*1:https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021005-038.pdf 

メール保存における改正・電子帳簿保存法のポイント 

改正・電子帳簿保存法の要点は大きく2つあり、1)税法で原則、紙で保存が義務づけられていた帳簿書類について一定の要件を満たせば電子データ(法律上は電磁的記録という)で保存できるようになったことと、2)電子的に授受した取引情報の保存義務を定めたこと、です(*1)。 

同法は次の3つの保存方法を企業などに求めています。 

■電子的に授受した取引情報の保存方法

●電子帳簿などの保存

●スキャナを使った保存

●電子取引(電子データ)の保存 

企業などはこのいずれかの方法で、電子データになった帳簿書類を保存することになります。

「電子帳簿などの保存」とは、例えば会計ソフトを使って作成した帳簿の電子データ(電子帳簿)を、電子データのまま保存する方法です。

「スキャナを使った保存」とは、紙の請求書や領収書などをスキャナで電子データ(画像データ)に変換して保存する方法です。また、スマホカメラで請求書などを撮影して、その画像データを保存する場合も、スキャナを使った保存に該当します。 

そしてクラウドメールが活躍するのが、3番目の「電子取引の保存」です。次の章で詳しく解説します。 

電子取引(電子データ)の保存にクラウドメールが有益な理由

ここでいう電子取引とは、例えば自社と取引先の間で、請求書や領収書などをメールでやり取りする場合です。メールでやり取りしているので、請求書や領収書などは電子データ(画像データ)になっているはずです。

電子取引の保存では、これらの請求書や領収書などの電子データを保存するわけですが、ただ単にパソコン内に保存しただけでは、改正・電子帳簿保存法が求める方法になりません。

同法が求める方法で保存しないとならないので、クラウドメールが有益になります。

この「同法が求める方法での保存」については、後段の「改正・電子帳簿保存法におけるメール保存の注意点」で詳しく説明します。 

電子帳簿保存法の対象になるメールの添付ファイル(帳簿書類)は 

ここまで電子データの保存対象となるものを「帳簿書類」と紹介してきましたが、これは税務や経理業務で使う帳簿や書類のことで、以下のものが該当します。 

■帳簿書類の具体例

国税関係帳簿

総勘定元帳、仕訳帳、売掛帳、買掛帳、現金出納帳、固定資産台帳など

国税関係書類

決算関係

損益計算書、貸借対照表、試算表、棚卸表など

取引関係

請求書、見積書、納品書、注文書、領収書など

電子取引

(メールやクラウドサービスなどで送受信したもの)

請求書、見積書、納品書、注文書、領収書など

 

これらの帳簿書類の電子データを、改正・電子帳簿保存法に基づいて保存しなければなりません。 

改正・電子帳簿保存法におけるメール保存の注意点 

帳簿書類をメールに添付してやり取りした場合、そのメールを確実に保存しなければなりません。「確実に保存する」とは「改正・電子帳簿保存法に基づいて保存する」という意味です。

その方法は次の3つになります。 

■改正・電子帳簿保存法に基づいた保存方法

●メールのデータを検索できるシステムで保存する

●保存期間が満了するまで確実に保存する

●データの訂正や削除は履歴が残るようにする

 どれも重要なので1つずつみていきます。 

メールのデータを検索できるシステムで保存する

国税庁は帳簿書類の電子データの保存について「電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存に当たり、要件を満たす検索機能を確保する必要がある」という見解を示しています(*2)。つまり簡単に素早く必要な電子データを検索できるシステムを使ってメールを保存しなければならない、といっています。

そしてその検索機能は「要件を満たす」ものでなければなりません。その要件は次のとおりです。 

■法人が使うメールに搭載していなければならない検索機能の要件

●取引年月日や取引金額、国税関係書類の記録項目で検索できる機能

●日付と金額については、その範囲を指定して検索できる機能

●2つ以上の任意の記録項目(日付や金額など)を組み合わせて検索できる機能

 

取引年月日や取引金額で検索できなければならず、しかも範囲指定検索の機能も持っていなければなりません。

そして日付と金額の両方で条件を絞り込める検索システムにしていなければなりません。 

*2:https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/07denshi/02.htm#a026 

保存期間が満了するまで確実に保存する 

国税庁は法人に、帳簿書類を7年間保存するよう求めています(*3)。さらに次の2つの書類は10年間保存しなければなりません。 

■10年間保存しなければならない帳簿書類

●青色申告書を提出した事業年度で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度の帳簿書類

●青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失欠損金額が生じた事業年度の帳簿書類

 

したがって、クラウドメールを選ぶときは、保存機能があるもので、しかも最大10年間保存できるものを選んだほうがよいでしょう。 

*3:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5930.htm 

電子データの訂正や削除は履歴が残るようにする 

電子データの帳簿書類は、紙の帳簿書類と異なり、簡単にデータを書き換えることができ、しかもその痕跡に残りにくいという特徴があります。

このままでは不正が起きる可能性があるので、改正・電子帳簿保存法は、電子データの訂正や削除の履歴が残るメールを使うことを求めています。 

改正・電子帳簿保存法に対応しないとどうなるか 

改正・電子帳簿保存法が求める電子データの保存方法を実施するには、手間とコストがかかります。では、この保存方法を守らないとどうなるのでしょうか。

次の3つの罰則を受ける可能性があります。

 

●青色申告の承認の取り消し

●追徴課税、推計課税

●100万円以下の過料 

業務でメールを使うならクラウドメールの利用がおすすめ 

もし企業が今、送受信しかできないメールを使っていたら、改正・電子帳簿保存法が求める電子データの保存ができないかもしれません。

そこでおすすめしたいのが、高い機能を搭載して、改正・電子帳簿保存法に対応したクラウドメールの導入です。

ある会社のクライドメールの特徴を紹介します。 

最長10年間保存できる

A社のクラウドメールは最長10年間、メールのデータを保存できます。

A社のクラウドメールの基本料金(メールボックス容量10GB)は1アカウント当たり月330円で、10年間保存のオプションはプラス月440円でつけることができます。

もちろん社内で保存が必要なデータを抽出して、それを別途保存すれば10年間保存オプションは不要なわけですが、しかしそれではデータの抽出に手間がかかりますし、データの抽出に失敗することも考えらえます。

それならば全社員のメールを丸ごと10年間保存したほうが安全です。 

簡単・高速に検索でき訂正・削除の履歴が残る 

そしてA社のクラウドメールなら、簡単検索、高速検索が可能です。

さらに電子データを訂正・削除したらその履歴も残ります。

いずれも改正・電子帳簿保存法が求める内容になっています。 

法律を守って事務効率を上げる 

「改正・電子帳簿保存法を守るのはクラウドメールが必要」ということもできるのですが、このように考えてしまうと法律を守るために対処することになってしまいます。

改正・電子帳簿保存法は企業などに税務と経理業務のデジタル化を促していて、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)化に寄与します。すなわち、自社の事務業務の効率を高めたり生産性を上げたりすることができます。

そこで「事務効率を上げて生産性を高めるためにクラウドメールを導入する」と考えてはいかがでしょうか。

このように考えると、クラウドメールの導入は「コスト」ではなく「投資」と考えることができます。 

FAQ

 Q:改正・電子帳簿保存法が施行されて何が変わったのか

A:1)税法で原則、紙で保存が義務づけられていた帳簿書類について一定の要件を満たせば電子データ(法律上は電磁的記録という)で保存できるようになったことと、2)電子的に授受した取引情報の保存義務を定めたこと、の2点が大きなポイントです。

帳簿書類の電子データは「電子帳簿などの保存」または「スキャナを使った保存」または「電子取引(電子データ)の保存」で保存しなければなりません。

詳しくは「メール保存における改正・電子帳簿保存法のポイント」をご覧ください。 

Q:電子データとして保存することになる帳簿書類とはどのような書類、情報なのか

A:対象となるのは、総勘定元帳、仕訳帳、売掛帳、買掛帳、現金出納帳、固定資産台帳、損益計算書、貸借対照表、試算表、棚卸表、請求書、見積書、納品書、注文書、領収書などで、税務・経理業務に関するあらゆる書類、情報と考えてよいでしょう。

詳しくは「電子帳簿保存法の対象になるメールの添付ファイル(帳簿書類)は」をご覧ください。 

Q:メールを保存するときに注意することは何か

A:適切なメール・システムを使うことです。改正・電子帳簿保存法は、検索機能が搭載されていることや、データの訂正・削除の履歴が残る機能を求めていますので、メール・システムにもこうした機能が必要になります。

詳しくは「改正・電子帳簿保存法におけるメール保存の注意点」をご覧ください。

Q:改正・電子帳簿保存法に対応しないとどうなるか

A:青色申告の承認の取り消し、追徴課税、推計課税、100万円以下の過料といったペナルティを科される可能性があります。

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