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福利厚生を詳しく解説~企業を比べよう


福利厚生とは、会社などが従業員に対して賃金の他に提供するサービスのことです。

福利厚生を提供するにはコストがかかりますが、従業員を経済面と健康面からサポートすれば会社へのロイヤリティが向上しますし、従業員のスキルを高めることができれば会社の利益を増やします。

したがって福利厚生を人材投資とみなし、経営戦略に加えることも可能です。

この記事では福利厚生の種類や内容、実例などを解説したうえで、従業員に人気の福利厚生も紹介します。


福利厚生とは~どのような効果が期待できるのか


福利厚生には法定福利厚生と法定外福利厚生の2種類があります。

法定福利厚生とは法律で会社などに提供を義務化しているもので、法定外福利厚生は会社が任意に提供するものです。


義務ではないのになぜ法定外を導入する企業があるのか


義務化されていないのに、なぜコストをかけて法定外福利厚生を提供する会社があるのでしょうか。

それは福利厚生が会社に次のような効果をもたらすからです。


■福利厚生が会社にもたらす効果

●優秀な人材を確保しやすくなる

●仕事をする環境や条件を整えることで働きやすくなり生産性が上がる

●仕事に対するモチベーションが高まりパフォーマンスが高まる

●従業員の生活が安定し仕事に集中してもらえる

●定着率が高くなる


労働者は、仕事の内容や給料などが同じなら、福利厚生が充実した会社に入りたいと思うでしょう。そして入社したい人が増えれば、会社は優秀な人材を確保しやすくなります。

また、充実した福利厚生を受けている従業員は「会社に大切にしてもらっている」と感じるでしょう。それは労働意欲やロイヤリティを高めるので「この会社にずっといたい」「この会社に貢献したい」という気持ちを芽生えさせます。


福利厚生と手当の共通点と違う点


会社が従業員に支給する給与には基本給の他に手当があります。福利厚生と手当は似ているところと違うところがあります。

労働者が時間外労働や休日労働、深夜労働を行った場合、会社は割増賃金を支払わなければならず、これは法律で義務化されている手当です。

この法定手当は、福利厚生とはまったく異なるものです。

そして法定福利厚生は、手当とはまったく異なるものです。


しかし会社が任意に支給する法定外手当は、その名称を(法定外)福利厚生としても問題ありません。「法定外手当≒法定外福利厚生」と考えてよいでしょう。


正社員の福利厚生について


「従業員」といった場合、正社員などの正規社員とパートやアルバイトなどの非正規社員を合わせた人材のことを指します。

法定福利厚生は法律で対象者が決まっているので会社としても「誰に提供するか」で迷うことはないのですが、法定外福利厚生は任意なので1)正社員だけを対象にするのか、2)非正規社員にも提供するのか、は悩ましいところです。


法定外福利厚生の内容を正社員と非正規社員で同じにすると、会社に一体感が生まれますがコストが膨らみます。

正社員だけを対象にした法定外福利厚生を設けると、正社員は特別感を感じることができモチベーションが高まりますが、社内格差が広がるかもしれません。

法定外福利厚生の対象者を決めるときはバランスを取ることが求められるでしょう。


会社の福利厚生と行政機関の福利厚生の違い


「公務員の福利厚生は手厚い」と感じている人もいるでしょう。

ただし最近は、難関の公務員試験に合格するような優秀な人材を獲得したい会社が、福利厚生の内容をリッチにする傾向があり、その場合、公務員が受けているサービスに負けない内容になっているはずです。

したがって一概に「公務員の福利厚生は会社員のそれよりよい」とはいえないと思います。


法定と法定外の解説


法定福利厚生と法定外福利厚生を紹介します。


法定福利厚生


法定福利厚生には健康保険や介護保険などがあります。

会社は一定条件に当てはまる従業員を、これらの保険に加入させなければなりません。そしてその保険料の一部または全額を会社が負担します。


健康保険


健康保険とは公的医療保険のことです。

健康保険に加入して保険料を納めることで、従業員やその家族が病気やケガをしたとき医療費の一部が健康保険制度から負担されます。

また、出産や死亡があった際も一定額が支給されます。


介護保険


要介護認定または要支援認定を受けた場合、介護サービスの費用の一部が支給されます。


雇用保険


従業員が失業したときに金銭給付を行い、生活と雇用の安定を図るものです。再就職の援助も行います。


労災保険


従業員が勤務中や通勤中にケガをしたり、病気になったりしたとき、さまざまな補償を受けることができます。


厚生年金保険


厚生年金保険とは公的年金のことです。

加入することで、老後に年金という金銭の給付が受けられます。加入者(労働者)の死亡時に遺族に年金が給付されることもあります。


子ども・子育て拠出金


これは子育て支援に使われる税金です。税金なので福利厚生とは少し趣(おもむき)が異なるのですが、厚生年金の保険料と一緒に徴収されるのでここで紹介しました。


法定外福利厚生


法定外福利厚生とは、会社が独自に決めた福利厚生のことです。法律で義務づけられているわけではなく、従業員の働きがいや生産性向上などを目的に提供します。

実は通勤手当も法定外福利厚生にあたります。

法定外福利厚生の種類については、このあとの「法定外福利厚生の人気ランキング」の章や「法定外福利厚生の事例10選」の章などで紹介します。


法定外福利厚生の人気ランキング


「あったら嬉しい福利厚生」を調査したアンケートがあります。この調査によると、福利厚生の人気ランキングは次の通りでした。ちなみにこれらの福利厚生メニューはすべて法定外福利厚生です。


1位:家賃補助・住宅手当

2位:特別休暇

3位:旅行・レジャーの優待

4位:社員食堂・食事補助

5位:スポーツクラブの利用補助

(出典:【あったら嬉しい福利厚生ランキング】男女501人アンケート調査|Biz Hitsのプレスリリース)


家賃補助・住宅手当も通勤手当同様、法定外福利厚生なのですが、前者は1位になり、後者はランキング外の結果になりました。

家賃補助・住宅手当が人気なのは金額が大きく、必ず支給されるといったものでもないので、特別感から人気になっているのではないでしょうか。


法定外福利厚生の事例10選


エンゲージメント経営プラットフォーム「TUNAG」を活用して福利厚生制度の利用促進に取り組んだ事例や、有名企業のユニークな福利厚生制度を紹介します。

ここで紹介する福利厚生もすべて法定外です。


ジェーシービー従業員組合とイオンクレジットサービスユニオンの事例


ジェーシービー従業員組合とイオンクレジットサービスユニオンは、それぞれ3,000名以上の従業員が加入する労働組合です。

いずれも組合独自の福利厚生制度を持っていましたが、活用を促進する・意見を集めるなど、どのような環境の方でも平等に情報へアクセスできる環境がありませんでした。

特に、福利厚生の利用には紙の申請書の提出が必要でした。そうした課題を解決して福利厚生を浸透させることなどを目的に、TUNAGを導入しました。


ジェーシービー従業員組合では、TUNAGで申請を行うようになり組合員の負荷が軽減されています。また、「過去に例がないほど組合員が自ら情報を取りに来るようになった」「管理画面で施策の数値などを見ながら運用改善に役立てられるようになった」などの効果を感じていらっしゃいます。


アルメック株式会社の事例


「活力再生工場」をビジョンに掲げ、鉄・非鉄金属・樹脂などのリサイクル事業を行っているアルメック株式会社。

独自の福利厚生制度を設けていましたが、従業員から「使い方がわからない」「知られていない」という声があがっていました。


そして従業員満足度調査を行い、会社の制度や福利厚生制度がよくわからないという声が多かったことから、TUNAGを導入しました。

新たな福利厚生メニューをTUNAG上に複数用意して、「会社の取り組みがわかりやすくなりますよ」と従業員に説明して浸透させた結果、従業員が気軽に会社の情報をみるようになりました。

当初の目的だった「福利厚生制度の見える化」から進化して、他部署や別工場とのコミュニケーションが活発になり、TUNAGは従業員コミュニケーション・ツールになっているそうです。


Googleの事例


Googleでは、オフィス内で食事が提供される他、フィットネスセンターを利用できたり、自宅から料理教室などに参加できたりします。

不妊治療や育児へのサポートや、緊急時の保育サービスなど、従業員の家族への支援も充実しています。

(参考:福利厚生 – Google 人材募集)


Facebookの事例


Facebookは、出産給付金などの子育て世帯へのサポートが充実しています。また、子供が生まれた場合だけでなく、養子縁組で子供を迎えたときも4カ月の有給休暇を取得できます。

さらに、特定の病気の治療を支援する仕組みがあったり、トレーニングジムの会員費やスポーツにかかる費用への補助もあります。

(参考:Facebook Employee Benefits | Meta Careers)


Amazonの事例


Amazonの福利厚生で有名になったのが、ペット同伴で出社できる制度です。ペットのそばで仕事ができればストレスも軽減されるはず。

さらに、Amazon.co.jpの商品を割引価格で購入できる制度もあります。

(参考:Meet the dogs of Amazon / 福利厚生 | アマゾンジャパンキャリアサイト)


日本のメガ大企業5社の事例


日本の大企業も負けていません。5社の際立つ福利厚生を紹介します。


■トヨタ自動車の事例


世界1の自動車メーカーらしく、トヨタ自動車の福利厚生は堂々としたものが多い印象です。マンションのような社員寮、カフェテリア形式の社員食堂、ジャグジーつきのプール、風光明媚な観光地にある保養所などを用意しています(*)。


*:https://www.toyota-recruit.com/saiyo/environment/benefits/


■ソフトバンクの事例


ソフトバンクには積立年休という制度があります(*)。

使わなかった有給休暇は有効期限を過ぎると使えなくなるのが一般的ですが、ソフトバンクは最大60日まで保有できます。


*:https://recruit.softbank.jp/graduate/company/welfare/


■パナソニックの事例


パナソニックは年間131日も休みがあります(*)。1年は約52週なので、完全週休2日でも年104日しか休めません。131日は104日より27日も多いのです。

またフリーオフィス制度を導入していて、自宅での在宅勤務の他、全国各地のスポット・オフィスを使って働くことができます。


*:https://www.panasonic.com/jp/industry/recruit/workplace/welfare.html


■日立製作所の事例


日立製作所は福利厚生にカフェテリアプラン制度を導入しています。カフェテリアプランはあとで詳しく解説しますが、あらかじめ会社が用意した福利厚生メニューを、従業員がニーズに合わせて自由に選択・利用できる仕組みです(*)。


*:https://www.hitachi.co.jp/recruit/newgraduate/company/welfare.html


■みずほフィナンシャルグループの事例


3大メガバンクの一角を占めるみずほフィナンシャルグループは男性の育児休業100%取得を目指しています(*)。

その実現のために育児休業のうち5営業日を有給化したり、管理職から子供が生まれた男性社員に育児休業取得の声かけをしたりしています。

みずほフィナンシャルグループは「役員も意識改革に取り組んでいる」と宣言しています。


*:https://www.mizuho-fg.co.jp/csr/employee/di/balance/index.html


よくある法定外福利厚生を一気に紹介


よくある法定外福利厚生制度を一気に紹介していきます。


通勤手当


自宅からオフィスへの通勤にかかる交通費を支給します。電車やバスなど公共交通機関の費用が対象になるのが一般的です。

通勤手当は法定外福利厚生なのですが、従業員のなかには「通勤しないと仕事ができないのだから支給されて当然」と感じている人もいるでしょう。


家賃補助・住宅手当


会社が従業員の家賃や住宅ローンの返済の一部を負担する、という考えの手当です。従業員は「暮らしが安定する」と感じるので、仕事のパフォーマンスにも影響するはずです。

住宅関連では独身寮や社宅も福利厚生に位置づけられます。


社員食堂・昼食補助


社員食堂で無料または格安で食事ができたり、食事代の一部を負担する福利厚生です。

毎日の食費を抑えられるのはもちろん、栄養バランスが取れた食事ができるので健康面でのサポートにもなります。

低価格で弁当を販売するというケースもあります。


人間ドックの補助など健康支援


会社が従業員に定期健康診断を受けさせることは、法律で義務になっています。

しかし定期健診の実施は原則年1回なので、「それでは健康状態を詳しく調べられない」と感じる人もいます。

そこで会社によっては、人間ドックの受診料を補助しています。

健康でなければ働けないので、人間ドック費用補助は優れた福利厚生の1つといえるでしょう。


また、運動をする従業員にインセンティブを与えることも重要です。多くの生活習慣病は運動不足でも発症します。例えば、歩数計を貸与して、一定歩数以上歩いた人にプレゼントするといったことも可能です。


育児休暇・介護休暇


労働者の育児休暇や介護休暇の取得は法律で定められており、従業員から申し出があった場合、会社は対応する必要があります。

また、育児・介護休業法による制度が適用になったら、会社は育児休暇や介護休暇を取得したことを理由にして降格、解雇、減給などを行ってはいけません。

そして育児休暇と介護休暇は女性従業員だけでなく男性従業員も取ることができます。


育児と介護は従業員にとって「重大事」になるので、法律で定められている内容を超えて育児休暇と介護休暇を拡充している会社もあります。法律を超えた部分が法定外福利厚生になります。


さらに短時間勤務を認めたり、社内に託児所を設けたりすれば、子供がいる従業員に喜ばれるはず。

「従業員を大切にする会社」を標榜(ひょうぼう)するのであれば、育児休暇と介護休暇の拡充は必須かもしれません。


特別休暇制度


特別休暇制度は、会社が独自に従業員に与える休暇で、従業員のプライベートを充実させる効果が期待できます。

会社によって内容が異なり、例えば次のような特別休暇があります。


●誕生日休暇(バースデー休暇)

●結婚休暇

●リフレッシュ休暇

●ボランティア休暇

●教育訓練休暇


▼関連記事

・特別休暇とは?法定休暇との違い、種類や日数、有休扱いについて解説します

・誕生日休暇とは?導入するメリットから就業規則の設定まで

・結婚休暇とは?日数や有給、制度導入のステップをまとめました


資格取得補助


従業員が資格を取得したりスキルを向上させたりするとき、その費用を会社が補助する福利厚生です。

業務に関わる資格・スキルであれば、その補助制度はまさに人材投資になるでしょう。


書籍購入補助


従業員がビジネス書や技術書などを購入したときに補助する制度です。

書籍を通して身につけた知識は業務に活きるため、これも人材投資型福利厚生といえます。


勉強会・イベント参加補助


専門領域の勉強会やイベント、カンファレンスなどに参加する費用を補助するものです。

費用を補助する代わりに勉強会で学んだことをレポートにまとめて会社に提出するようにすれば、社外での学びを社内で共有することができます。


従業員向け法人保険


会社を契約者、従業員を被保険者にする民間の保険への加入です。

例えば、会社が生命保険の契約をして保険料も負担して、従業員が死亡したときにその家族に保険金が入るようにします。


おすすめしたいサービス~福利厚生サービス会社を利用してみては


福利厚生を充実させたいと考える会社が増えたことで、法定外福利厚生を会社に提供する「福利厚生サービス会社」が登場しました。

つまり会社が福利厚生サービス会社と契約して、福利厚生をアウトソーシングするわけです。

自社で法定外福利厚生プランを企画、実施するには人事部などの負担が増えてしまうので、福利厚生アウトソーシングは賢い選択といえます。


福利厚生アウトソーシングの方法には「パッケージプラン」と「カフェテリアプラン」があり、どちらの場合も次のようなメリットがあります。


■会社が福利厚生アウトソーシングを利用するメリット

●手配や準備の必要がなく手軽に導入できる

●福利厚生を担当する人事部などの業務負担が圧倒的に減る

●福利厚生のコストパフォーマンスを高めることができる

●従業員に幅広い福利厚生サービスを提供できる

●従業員の福利厚生に対する満足度を高めることができる

●中小企業でも大企業と同じような福利厚生を従業員に提供できる


パッケージプランとは?


パッケージプランは、福利厚生サービス会社があらかじめパッケージ化された福利厚生メニューを用意して、それを顧客企業に提供するものです。

コストを抑えつつ幅広い福利厚生メニューをそろえられるメリットがあります。


カフェテリアプランとは?


カフェテリアプランは、福利厚生サービス会社が、顧客企業に独自の福利厚生メニューを提供する内容となっています。

例えば、顧客企業が従業員にポイントを与え、従業員はそのポイント分だけ福利厚生を受けることができる、といった仕組みにすることも可能です。

従業員は自分が求める福利厚生を受けることができますし、会社は「我が社だけの福利厚生制度」をつくることができます。

また従業員が直接WEB上から申し込みや支払いを行うため、社内の福利厚生担当者の手間を大幅に省くことができます。


福利厚生倶楽部(株式会社リロクラブ)


ここからは、福利厚生サービス会社が具体的にどのような福利厚生メニューを顧客企業に提供しているのかみていきましょう。


株式会社リロクラブは、「福利厚生倶楽部」というパッケージプランの福利厚生アウトソーシング・サービスを提供しています。コストを抑えつつ充実した福利厚生制度を構築できるようです。

その他にもカフェテリアプランのサービスをはじめ、さまざまな形の福利厚生プランがあります。


WELBOX(株式会社イーウェル)


株式会社イーウェルは、「WELBOX」という福利厚生のパッケージプランを提供しています。

旅行、健康増進、介護、育児、自己開発、エンターテインメントなど、幅広いメニューが特長です。予算に応じてカスタマイズできる点も顧客企業の従業員に喜ばれています。


えらべる倶楽部(株式会社JTBベネフィット)


株式会社JTBベネフィットの「えらべる倶楽部」も、パッケージプランの福利厚生サービスです。

JTBグループということでJTBの旅行を低価格で利用できる他、全国のレジャー、グルメ、リラクゼーション、スポーツクラブのメニューもあり、コロナ禍でニーズが増えたeラーニングも充実しています。


ベネフィット・ステーション(株式会社ベネフィット・ワン)


株式会社ベネフィット・ワンは、「ベネフィット・ステーション」という福利厚生のパッケージプランを提供しています。

従業員のプライベートを充実させるプランが強みで、レジャー、旅行、グルメ、ショッピングといった福利厚生メニューがあります。

その他にも育児、健康、介護、自己啓発などのサービスも利用できます。


ライフサポート倶楽部(リソルライフサポート株式会社)


リソルライフサポート株式会社の「ライフサポート倶楽部」も、パッケージプランの福利厚生サービスです。

地域や世代に偏らないメニューが特徴で、宿泊やレジャーなどの余暇支援から介護や育児のサポートまで、従業員の福利厚生ニーズの多様化に対応した豊富なメニューが魅力的です。


福利厚生制度を会社で運用するときの注意点


法定外福利厚生制度を会社に導入、運営するときの注意点を解説します。


従業員満足度を向上させること「だけ」を目的にしない


会社として従業員を支援して従業員満足度を向上させることは大切ですが、「それだけ」で福利厚生制度を考えないほうがよいでしょう。

なぜなら業績悪化などで法定外福利厚生を続けられなくなることがあるからです。

もし人気の福利厚生を廃止したら、従業員満足度が低下するだけにとどまらず、離職につながってしまうかもしれません。

福利厚生制度の整備だけでなく、同時にエンゲージメント向上の施策も進めていくことが重要です。


・従業員満足度(ES)向上の事例6選!取り組みと施策も紹介

・エンゲージメントとは? 向上施策や具体的なアクション例を解説


目的を周知し、理解を促す


福利厚生制度を導入する前に、会社は従業員に対し、何のためにこの福利厚生を導入するのか伝えましょう。

例えば「映画のチケットを購入するときに会社が補助します」と従業員に知らせただけでは、会社の目的が伝わらないでしょう。

この場合は次のように伝えてはいかがでしょうか。

「エンターテインメントに関わる会社として、従業員には、映画鑑賞をとおして本物に触れて刺激を受けて欲しい」

「発見や学びを仕事にも生かして欲しいのでレポートを提出してください」


職場の変化や利用状況を測定する


福利厚生は会社がコストを負担して導入、運営するものなので、そのコストに見合う効果が生まれたのかどうかを測定する必要があるでしょう。

また、福利厚生を人材投資と考える場合も、投資効果を見極める必要があります。


福利厚生メニューごとの利用率を調べたり、職場の変化を従業員に聴き取ったりしてはいかがでしょうか。


制度の改善や見直しを前提とする


福利厚生制度はつくって終わりではありません。会社の状態に合わせて改善したり、従業員の利用状況によって見直したりしましょう。


また、インパクトも費用負担の額も大きい大型福利厚生制度を導入するときは、従業員に「これは試験的に導入するものです」と説明してからスタートしてもよいでしょう。

そして福利厚生の担当者は予算や実績を管理して、「費用対効果調査」の費用をしっかり押さえておく必要があります。


福利厚生制度は働きがいと生産性を同時に高める手段である


ここまでの解説で、法定外福利厚生制度が、従業員の働きがいと生産性の両方を同時に高めることができる手段であることが理解できたと思います。

それは福利厚生が、従業員の仕事も健康もプライベートもサポートするからです。


常に会社の ”今” に合った福利厚生制度にしていくことが重要


福利厚生は工夫次第でさまざまなサービスを用意することができ、給与以外の方法で従業員を労(いたわ)ったり、日ごろの感謝を伝えたりすることができます。

ただし「つくって終わり」ではなく常に改善をしていくことが大切です。

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