バイクメーカーの解はカスタムにあるのではないか
初代隼を購入して3カ月が経った。
さすが世界1のバイクだ、と感じると同時に、世界1のバイクってこんなものか、とも感じずにはいられない。
さすが世界1の部分は、さまざまなバイクメディアが伝えているところなので、ここでは考察しないでおく。
私が今考えたいのは、初代隼に対して「こんなものか」と思ってしまったことである。
20年以上の中古車なら「こんなもの」と感じるのは当然と思われるかもしれない。
それはそのとおりである。
しかも私は現行の3代目隼に乗ったことはない。
だからもしかしたら、3代目隼に乗れば「こんなもの」とは感じず、さすが世界1としか思わないのかもしれない。
だから、これから話す「隼ってこんなものか」という感想は、割り引いて聞いてもらってよい。
しかし私は、初代隼にも死ぬほどのトキメキがあると思っていた。
ところが3カ月乗った感想は、普通のトキメキだった。
つまり想定内の驚きしかなく、想定外の出来事は起きていないのだ。
いや、もう少し正確に説明すると、私は、想定外の出来事が起きると想定していたのだが、それを感じることができていない。
初代隼には、未知なる領域に私を連れていく力はない。
この発見は、私にとって重大事となる。
なぜなら、世界1のバイクに乗ってもこの程度の感想しか持てないのであれば、それがバイクの世界の限界なのではないか、と類推できてしまうからだ。
私の趣味は、登山と、なじみの居酒屋に月1回行くことと、バイクしかない。
3つしか趣味がないのに、そのうちの1つに限界があることがわかったのだ。
これは、私の人生を危機に陥れかねない重大事だ。
ちょっとくどいが、もう一度いうが、さすが世界1だ、と感じさせる部分も初代隼にはある。
したがって、私のバイクに対する期待が高すぎるのかもしれない。
しかし実はもう1つだけ、期待しているものがある。
それはカスタムバイクだ。
つまり、カスタムバイクには、初代隼を超えるバイクの魅力があるのではないか、と期待しているのである。
私がカスタムバイクをここまで高く評価するのは、木村信也さんと出会ったからである。
私は最近、カスタムビルダーの木村さんにインタビューさせてもらい、木村さんと一緒に「木村信也〜アメリカに渡ったカスタムバイクビルダーのはなし」(office Howardsend発行、税込1,000円、以下、木村信也物語)を書き上げた。
木村信也物語はこちらで購入できるので、ぜひ読んでもらいたい。
木村さんの作品をみたうえで木村さんの話を聴くと、そこには未知なる領域が広がっているのではないかと期待できるだろう。
バイクが売れずに苦しんでいるメーカーには、カスタムバイクにこそ正解になるのではないか。
付加価値が高いバイクをつくれずに悩んでいるメーカーには、カスタムバイクにこそ正解になるのではないか。
自社とバイクのブランディングに苦慮しているメーカーには、カスタムバイクにこそ正解になるのではないか。
ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの企画担当の社員に、ぜひ、この木村信也物語を読んでもらいたい。
開発担当の社員でもなく、マーケティング担当の社員でもなく、デザイン担当の社員でもなく、企画担当の社員に読んでもらいたい。
企画担当の社員に、メーカーがつくるカスタムバイクを企画してもらいたいのだ。
メーカーがカスタムバイクなんてつくれるのか、と思うだろうか。
「つくれる」といえる。
どういうふうに、メーカーがカスタムバイクをつくればいいのか、と思うだろうか。
「木村信也物語を読めばわかる」といえる。
バイクメーカーにはまず、500万円でカスタムバイクをつくってもらいたい。
つくり方は木村信也物語に載っている。