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大丈夫か「俺のレッドバロン」~アメリカのファンドが買収

まずは2024年9月24日付けの共同通信のニュースから。

レッドバロン、米べインが買収へ 中古バイク販売最大手、上場視野

米投資ファンドのベインキャピタルは24日、中古バイク販売最大手のレッドバロン(愛知県岡崎市)を買収すると発表。レッドバロンは非上場で、親会社「レッドバロンプロパティーズ」の株式の過半数を創業家などから年内に取得する。営業戦略の強化やデジタル化を支援し、中長期的な成長を促す。将来的な上場を視野に入れる。
レッドバロンは創業者の杉浦斉氏が昨年8月に死去し、事業承継が課題の一つとなっていた。創業家は引き続き一部出資を続け、現在の経営陣も続投する見通し。ベインは買収総額を明らかにしていない。
レッドバロンは1972年に「ヤマハオートセンター」として創業し、国内に305店の直営店を持つ。

レッドバロン側も同日、声明を発表。以下のとおり。

主要株主変更のお知らせ

各位
2024年9月24日
株式会社レッドバロン
株式会社レッドバロンプロパティーズ
この度、私どもレッドバロングループの親会社である株式会社レッドバロンプロパティーズは、ベインキャピタル(Bain Capital Private Equity, LP)に株式の過半数を譲渡する契約を締結したことをお知らせいたします。この契約に基づき、レッドバロングループは2024年12月末日までに、株式の過半数をベインキャピタルに譲渡する予定です。なお、レッドバロングループの創業家である杉浦家も引き続き、レッドバロングループの株式を保有し、当社の株主として残る予定です。
レッドバロングループでは、創業から続く「お客様第一主義」を継承し、ライダーの未来を創造し、今と未来の冒険を共に楽しむ企業に成長するために経営基盤強化を検討した結果、レッドバロングループの企業理念や経営方針と合致するベインキャピタルとの契約締結に至りました。
ベインキャピタル(
https://www.baincapital.com)は、経営のパートナーとして事業の成長支援に注力する世界最大級の投資会社であり、総額約1,850億ドルのファンドを運用しております。幅広い業界における投資経験を有し、投資先の成長を支援してきたベインキャピタルの知見を活かすことで、レッドバロングループでは今後、事業基盤のさらなる強化、ならびに革新を続ける事でライダーの皆様の未来を創造していくための成長投資を行って参ります。
これからもレッドバロングループのサービスを末永くご愛顧をいただけますよう、引き続き宜しくお願いいたします。

なお、中古バイク販売店レッドバロンを運営しているのは株式会社レッドバロンで、今回買収される株式会社レッドバロンプロパティーズの子会社である。
ベインが株式会社レッドバロンプロパティーズを買えば、漏れなく株式会社レッドバロンと中古バイク販売店レッドバロンがついてくるわけだ。
株式会社レッドバロンの会社概要は以下のとおり。

株式会社レッドバロン (旧ヤマハオートセンター株式会社)の会社概要

●資本金:50億8,327万円(グループ法人合計、2023年11月末 現在)
●創立:昭和47年(1972年)1月(3月16日開業)
●所在地:
【本社】愛知県岡崎市藤川町字境松西1番地
【本部事務所】愛知県岡崎市大平町字才勝8-1
●電話:0564-24-5312(代表・総務部)
●役員:
【取締役 最高顧問】小林 正司
【代表取締役 社長】石岡 直樹
【取締役 副社長】藤田 貴弘
【専務取締役】松本 勉
【常務取締役】福本 大悟
【常務取締役】平山 哲也
【取締役】濱田 礼知
【取締役】杉浦 孝子
【取締役】上甲 一郎
【取締役】杉浦かおる
●店舗数:国内306店舗(2023年11月末 現在)、海外5事業所・店舗
●総売上高(年間):889億円(2023年10月連結決算期)
●従業員数:2,482名(2023年11月末 現在)
●事業内容:
バイク・パーツ・アクセサリー用品の販売・修理 / 直輸入バイク・パーツ・アクセサリー用品卸しおよび小売販売 / 技術情報の紹介および物品販売 / 海外ディーラーへのバイク販売および技術指導/海外フランチャイズチェーン出店、現地企業との合弁事業の展開 / 国内外のバイクライダー専用レジャー施設(ホテル、サーキット)の開発および運営
●主な取引銀行:
三菱UFJ銀行 / みずほ銀行 / りそな銀行 / 三井住友銀行 / 十六銀行 / 岡崎信用金庫

創業家の「杉浦」がついているのは、いずれも平取の杉浦孝子氏と杉浦かおる氏の2名である。ただし、かおる氏は株式会社レッドバロンプロパティーズの代表取締役社長である。
なお創業者の杉浦斉(ひとし)氏は2023年8月1日に82歳で亡くなっている。
「かおる」も女性とすると、創業家の跡取りは女性しかおらず、一般的に女性は男性よりもバイクに対する興味が薄いから、それで事業承継がうまくいかなかったのか、と想像してしまう。

ベインキャピタルとはどのような会社なのか。
同社は自身のことをこのように説明している。

ベインキャピタルとは

弊社は日本で最大級のプライベート・エクイティ投資、および、投資先支援の専門チームを擁しており、日本のマーケットについて深い理解と専門知識を活かし、投資先企業の事業が潜在能力を最大限に発揮するための支援を行なっています。
弊社は単なる投資家ではなく、投資先企業との長期的なパートナーシップによる成長の実現を目指しています。

ウィキペディアはベインキャピタルのことを「米国・マサチューセッツ州ボストンに本社を置き、全世界で約12兆円の資金を運用し、これまでに1,030社の企業買収・投資を実行している」と説明している。
ベインキャピタルはこれまでに日本で、ドミノ・ピザ・ジャパン、すかいらーく、大江戸温泉、雪国まいたけ、キオクシア、スノーピークの買収に関わっている。

買収に関する私の所感

プライベート・エクイティ投資とは、未上場企業の株式を取得後、企業価値を高めてから売却して利益の獲得を目指す投資なので、今回のレッドバロンの買収はまさにプライベート・エクイティ投資である。
ベインの上記の自己紹介からすると、レッドバロンは支援が必要な企業であり、潜在能力を最大限に発揮できていなかったことになる。
そういわれるとレッドバロンの店舗運営には無駄が多く、その一方で中古バイク市場には魅力が多い。
つまりもっと効率よくビジネスを行えば、レッドバロンも中古バイク市場もまだまだ成長できるような気がする。
しかしレッドバロンのヘビーユーザーである私は、店舗運営の無駄にこそ魅力を感じている。
営業担当者と整備担当者が十分にいて、顧客に時間をかけて対応してくれるからだ。
また、オイルリザーブや事故・故障対応といった独自サービスは高く評価している。
ベインによってこのような魅力的な無駄が切り落とされることを懸念する。


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