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「個人事業主が法人成りしてもいいことない」は勘違い

こんな質問があった。

売り上げが一定額を超えると個人事業主から法人にした方が税金がお得といいますが、最終的に会社のお金を自身の所得に換える際に結局課税されて同じではないですか。

質問者の気持ちはよくわかる。
自分だけで事業をしても、会社として事業をしても、得られる利益は同じではないか、ということだ。
それなら会社を設立する意味がないだろう、と。

もちろんそのようなことはない。
個人事業主として成功するより、会社をつくって成功に導いたほうが、生涯収入は増える。
したがって質問者の認識は間違いである、といえる。

しかし質問者の疑問は、別のところにあると思う。
質問者は、個人事業主の利益と会社の利益の性質が異なることを考慮していないのではないか。
この認識の間違いは、売上を伸ばし始めた個人事業主の多くがするものである。

■個人事業主の利益は、個人事業主の生活の糧になる
■企業の利益は、企業の運営の資金にする

つまり企業の利益には「会社のお金を自身の所得に換える」という発想がない。
無理矢理その発想を実現しようとすると横領になる。
会社を設立して創業者となった元個人事業主が得られる収入は、会社が支給する報酬だけである。
報酬とは給料みたいなものだ。

では、報酬しか得られないのであれば、個人事業主が企業を設立する意味がないのだろうか。
質問者が指摘する「会社のお金を自身の所得(≒収入)に換える」に近い行動は、保有株の売却だろう。
ところがこの売却益にも税金が課されるので、「結局課税されて同じではないですか?」と感じるかもしれない。

そこで、こう考えてみる必要がある。

個人事業主の事業を、設立した企業に引き継ぐと、より発展させられる。
事業が発展して売上も利益も増えると、企業の価値が上がる。
それは、企業の創業者が保有している株の価値が高める。
企業の価値が十分高まったところで企業を売却すれば、つまり株を売却すれば、大きな利益を得ることができる。
その利益は、個人事業主として事業を続けていたときに得られていたであろう利益を大きく上回るはずだ。



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