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46worksとラパイドネオの組み合わせは私の理想


46worksのオリジナルカラーのラパイドネオがアライの公式製品になった。
私は46worksもラパイドネオも両方とも好きなので、これはビッグニュースである。

こんなに特別感がある製品なのに、限定品ではなく定番メニューになっているのだから、やはりビッグな話である。

(アライの公式サイトのラパイドネオの製品紹介ページに46worksカラー・モデルが載った)
(46WORKS RACEという製品名がつけられたラパイドネオ。中嶋さんのファンとしては「ワークスは小文字なんだけどな」と思うのだが)

4年前の伏線を回収

私は46worksのユーチューブ番組の熱心な視聴者の1人なので、この企画を4年前から知っていた。
以下のユーチューブ番組によると、4年前の企画の内容は、46worksの中嶋志朗さんが、アライのサポートを受けて46worksのオリジナルカラーヘルメットを作製するというものだった。

グラフィック(模様)をデザインしたのは、当時アライのデザイナーだった傳田良(でんだ・りょう)氏。
氏はその後アライを退社して独立している。

この企画を要約すると「中嶋さんがアライのサポートを受けてヘルメットをつくった」となるが、よくわからない。
ただ中嶋さんが、なんとなく「オリジナル・ペイントのヘルメットが欲しいな」と思ってつくった程度のものではないことは確かだ。

それで私は、アライが、中嶋さんからイメージを借りてヘルメットをデザインしてみたのだろうと理解した。
そのうえで、ではF1ドライバーにもヘルメットを供給している世界のアライが、知る人ぞ知る46worksとコラボするメリットは何か、と考えてみた。

アライとしては「ラパイドネオはこんなに格好良くなるんですよ」とか「あの46worksとコラボしたんですよ」といったPRができる。
最近では、バイクメーカーが自社のバイクをカスタムビルダーに提供してカスタムしてもらい、「このバイクはカスタムするとこんなに格好良いんですよ」と宣伝することがある。
アライの46works企画もその一種だと思っていた。

このように軽く考えていたので、それから4年が経ち、46worksカラーがアライの公式製品にラインナップされたことに驚いたのである。
「ここまで大きな企画だったのか」と。

イメージも純粋なデザインも、どちらも良い感じ

アライに限らずヘルメット・メーカーが、レーサーが被っているヘルメットのレプリカ製品を売り出すことは珍しくない。
レーサーレプリカ・ヘルメットは「あの有名レーサーと同じヘルメットを被ることができますよ」という製品であり、私もまんまとこのマーケティングに引っかかっている。
私はもう10年以上、アライのクアンタムJのスペンサー・レプリカを被っている。

(今も被っているスペンサー・レプリカ。前頭葉の2つの黒い穴はエア・インテークが外れて現れたもの。バイクは以前乗っていたSR)

では翻って今回の46worksラパイドネオは、マーケティング的にどのような製品なのだろうか。
もちろん「あの有名カスタムビルダーがデザインしたヘルメットを被ることができますよ」という製品ではある。

しかしよくよく考えてみると、カスタムビルダーの存在は、バイク界では決してメジャーとはいえない。
つまり、自分のバイクを市販のカスタム・パーツで彩る人は多くいるが、プロのカスタムビルダーに自分のバイクを預けてコンプリート・マシンに仕上げてもらう人はとても少ない。
著名カスタムビルダーに依頼すると数百万円単位の費用になるから、その価値がわかる人しかこのような楽しみ方をしないのだ。

したがってアライのような大衆向けヘルメットをつくっているヘルメット・メーカーが、大半の一般のバイク乗りに「あの有名カスタムビルダーがデザインしましたよ」と言っても訴求力はそれほど強くないだろう。

では46worksラパイドネオにはどのような商品価値があるのか。
私はその答えは、1)46worksのイメージと、2)純粋なデザイン、であると推測している。

46worksの雰囲気の秘密

まずイメージであるが、それはつまり46worksが持つ雰囲気だ。
以下の3台は最近の46worksの作品である。

(46worksの1994年型のドカティM900モンスターのカスタム。2024年の横浜ホットロッド・カスタム・ショーに出品)
(46worksのBMW・R80のカスタム)
(46worksのKTM690DUKEのカスタム)

この3台をみた瞬間に頭に浮かんできた形容詞はこの4つだ。

シャープ、ソリッド、シンプル、高品質

そしてさらに見続けていると、次のような言葉を使いたくなる。

鮮明にして清潔、初めてみる形なのにすぐ馴染む、シンプルなラインなのに複雑

そしてさらによくみているとこう感じた。

ほのかな温かみ、気品

これらの太文字にした言葉こそ、アライがラパイドネオに付与したかったものなのではないか。
アライは46worksのイメージを借りて、ラパイドネオのブランド化を進めようとしているのだろう。

秀逸だ、派手なのに落ち着いている

次に純粋なデザインについてであるが、これは単純に「欲しい」と思わせる絵柄という意味である。

(46works Raceの後部)

決してシンプルではないのに、むしろ複雑なラインを描いているのに、しかも頭頂部に「46」と派手にデカデカと入っているのに、なぜか落ち着いた雰囲気がある。
46worksのロゴが3つも入っているのに全然うるさくない。
Araiのレタリングと46worksのレタリングはまったく異なるのに、しかも両者を近くに配置してあるのにバッティングしていない。
相反する要素が入っているデザインは大抵優れているものだが、本作もこの法則に当てはまる。

(傳田氏の初期のデザイン画。完成品よりも青の部分が広いことがわかる)

薄グレー地に濃グレー線のバージョンも

46works仕様のラパイドネオにはもう1つ別タイプがある。
薄いグレーの地に、濃いグレーの細いラインが入っただけのもの。
46worksのロゴは小ぶりにして、しかも文字の色のトーンを落としている。

(このシンプル・デザインのラパイドネオの製品名は46WORKS STREETという)


中嶋さんは、この46WORKS STREETのデザイン・コンセプトを次のように説明してくれた。

「かなり綿密に検討した絶妙な薄いグレーに、濃いグレーでラインを入れています。
どんな色のバイク、どんなファッションでも合うデザインを考えました。
ストリートにおいて、クラシックバイクはもちろん、最近のヘリテイジ系のバイクにも似合うと思います」

これだけシンプルにするのは、相当勇気が必要だったはずである。
しかし実はアシンメトリー(非対称)にしたり、ラパイドネオのアイコン的存在である口元の6本スリットの間に線を横断させたりと、大胆さも兼ね備えているのだ。

迷う

この46WORKS STREETもとても良いが、うん、でも私は断然46WORKS RACEだ。
にわか46worksファンである私には、一瞬で46worksとわかるデザインのほうが心を揺さぶられるからである。
でもディープな46worksファンは46WORKS STREETを選ぶんだろうな。
そうなら私も、にわかファンを卒業してディープ・ファンになるために、46WORKS STREETを選ぶべきなのだろうか。
悩む。

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