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【就活前に読んで】リクルートを研究する
大学生が株式会社リクルートHD(以下、リクルートHD)のサービスを一切受けずに企業に就職することはほぼ不可能です。
同社傘下の株式会社リクルート(以下、リクルート)は国内最大の就職情報企業であり、大学生だけでなくすべての人の就職・転職をサポートしています。
リクルートが就職情報、就職支援で強いのは、人材(ヒューマン・リソーシズ、以下HR)全般に関わっているからです(*1、2)。
そしてHR以外にも、住宅のスーモ、結婚のゼクシィ、旅行のじゃらん、中古車のカーセンサーなどを展開し、リクルートHDのサービスを一切受けずに消費生活を送ることは至難の業です。
日本人の仕事と生活をサポートする3兆円企業を研究していきましょう。
記事中のデータは2022年11月現在のものです。
*1:https://recruit-holdings.com/ja/about/profile/
*2:https://recruit-holdings.com/ja/about/group/
活動内容と概要
リクルートHDは持株会社であり、その傘下に多くの事業会社があります。そのためリクルートHDの企業活動を理解するには、傘下企業の事業を知る必要があります。
ここでは、1)傘下企業の筆頭でありHR事業と販促事業のリクルートと、3)HRテクノロジーのIndeed,Inc.(以下、インディード)の事業を紹介します。
会社概要
事業を解説する前に、リクルートHDの概要を紹介します(*1)。
■リクルートHDの会社概要
●本社住所:東京都千代田区丸の内1丁目9番2号
●代表取締役社長兼CEO:出木場久征(代表取締役会長兼取締役会議長は峰岸真澄)
●設立:1963年(創業は1960年)
●資本金:400億円
●従業員数:136人(グループ従業員は51,757人)
●連結子会社:271社(その他に関連会社8社)
●東証プライム市場に上場
●連結売上高:2兆8,717億円(2022年3月期)
●大株主(多い順):日本マスタートラスト信託銀行(18.22%)、日本カストディ銀行(6.26%)(その他:大日本印刷2.37%、凸版印刷2.16%、日本テレビ放送網1.74%、TBSテレビ1.44%)
リクルートHDは東証プライム市場に上場している、約3兆円の売上高を誇る企業(群)です。大株主は金融機関ですが、2大印刷会社と全国放送のテレビ局も株主に名を連ねています。
黒歴史
事業を解説する前にもう1つ紹介しなければならないことがあります。それは日本の社会と政治を揺るがしたリクルート事件です。
リクルートはこの事件を公式サイトで次のように紹介しています(*3)。
■リクルート事件とは(リクルート自身の解説、( )内は補足)
1988年6月18日、当時リクルートグループの1社であったリクルートコスモスの未公開株が、川崎市(神奈川県)助役に譲渡されていることが明らかになったことをきっかけに始まった事件。東京地検特捜部は、4ルート(労働省・文部省・政界・NTT)の収賄側8人と贈賄側4人の計12人を起訴し、全員に有罪判決が確定。その後、2003年3月4日、弊社創業者(故・江副浩正氏)に下された有罪判決をもって、長きにわたるリクルート事件の審理に幕が下ろされた。
リクルートは社会に迷惑をかけた事実を重く受け止め、経営の原則を、従来の「商業的合理性の追求」から「新しい価値の創造」に変えました。商業的合理性を追求しすぎることを否定したことは大きな変化といえ、それが今の3兆円企業をつくったと考えることもできます。
リクルートHDを研究するときはこの黒歴史を避けることはできないでしょう。
*3:https://www.recruit.co.jp/company/history/
リクルートのHR事業と販促事業
筆頭傘下企業のリクルートが手がける事業とブランド名は以下のとおり。
●スーモ:住宅購入、賃貸、注文住宅、不動産売却に関する情報の提供
●ホットペッパー・ビューティ:ヘアサロン、リラクゼーション、ビューティサロンの検索、予約サイト
●ゼクシィ:結婚式会場、ジュエリー、ドレス、引き出物などブライダル情報の提供
●じゃらん:国内、海外旅行の予約
●ホットペッパー・グルメ:飲食店、グルメの情報提供、予約サイト
●カーセンサー:中古車の情報を提供
●スタディサプリ:高校生の学習をサポート
●Airビジネスツールズ:飲食店や小売店などの予約、受付管理、会計、決済、シフト管理に関わるシステムの提供
●リクナビ:学生、既卒生の就職情報の提供
●リクナビNEXT:社会人向けの就職・転職情報の提供
●リクルートエージェント:転職活動のサポート
●タウンワーク:地域密着型の求人情報の提供
●フロム・エー・ナビ:アルバイトとパートの求人情報の提供
リクルートの最初のビジネスは大学生に向けた求人情報の提供で、それが今も健在であることがわかります(*3)。
就職情報を提供するビジネスモデルは、情報を集めて情報を必要とする人に集中的に提供する形態です。就職情報を住宅情報に換えたのがスーモであり、就職情報をブライダル情報に換えたのがゼクシィであると考えると、リクルートのビジネスモデルはブレていないことがわかります。
そしてスーモは住宅関連企業の販売促進をサポートし、カーセンサーは中古車業者の販売促進をサポートしているので、これらの事業を販促事業と呼んでいます。
インディードのHRテクノロジー事業
「仕事探しはインディード」という文字をみただけで、テレビCMのあの音楽が頭のなかを流れるのではないでしょうか。インディードはアメリカの会社で、リクルートHDが2012年に買収し、日本でも事業を展開するようになりました。
インディードが提供するサービスは、求人検索エンジンです。求職者がインディードのサイトにアクセスすると、求人票をみることができます。この仕組みは、日本のハローワークのサイトと似ていますが、機能も規模もまったく違います。
インディードはWeb上の求人情報を集め、それを求職者(インディードのユーザー)に提供しています。人材を探している企業がインディードに求人広告を出すこともできます。
またインディードは世界の60以上の国・地域でサービスを提供していて、毎月の利用回数は3億回、登録している履歴書の数は2.25億件にのぼります(*4)。
リクルートHDにとってインディード事業は、グローバル展開の重要な一歩になりました。リクルートHDは2000年代に、中国にブライダル事業で進出したものの数年で撤退してしまいました。インディード買収は海外進出のリベンジでもあり、そして見事に60以上の国・地域に進出することに成功しました。
さらにHR(人材)ビジネスのデジタル化を進めるHRテクノロジー事業を経営の柱にすることもできました。
*4:https://jp.indeed.com/about
同業他社と異なる特徴
リクルートHDのライバル企業には、HR事業のパーソルホールディングス株式会社(以下、パーソルHD)があります。両社はともに東証プライム市場に上場しています。
パーソルHDは就職・転職支援のdodaや、人材派遣のテンプスタッフ、シンクタンクのパーソル総合研究所などを展開しています(*5、6)。
両社の会社概要を並べてみます。
![](https://assets.st-note.com/img/1704757552417-mXvPJZtfbq.png?width=1200)
パーソルHDは 2022年に15年目となり、リクルートHDは60年目。年月の差はちょうど4倍になります。
連結売上高はパーソルHDの1兆609億円に対し、リクルートHDの2兆8,717億円で、その差は2.7倍です。
ただ従業員数はパーソルHDのほうが1万人近く多くなっています。
HRに特化しているパーソルHDに対し、リクルートHDはHRビジネスで培った手法を他の領域にも広げています。これが企業規模の違いに現れているのでしょう。
*5:https://www.persol-group.co.jp/corporate/business/
*6:https://www.persol-group.co.jp/corporate/group/
直近の企業活動で取り上げるべき顕著な傾向
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