ファミコン版『ポートピア連続殺人事件』を振り返る (3/全3記事)
こちらは全3部のうち、3番目の記事になります。
【ゲーム紹介の取り組み】
記事は実際にゲーム作品に触れて書かせていただき、プレイの楽しみを損なうような話題は記載しません。またゲーム画面等は著作権で認められている引用の範囲で使用しております。
#マナーをもって語り継ごう #STOPネタバレ
携帯電話版
もうひとつの『ポートピア』ワールド
携帯電話が主流だった時代---2000年代。
各キャリア(NTTドコモ / KDDI / J-フォン |各旧名称)の携帯電話向けに『ポートピア』のゲームアプリが有料配信されていました。BGMがついて、操作も携帯電話に合わせたインターフェイスになるなど、様々な改良がなされていました。
また特定の機種やシリーズに向けたバージョンも存在していました(以下で説明)。
※ここではフィーチャーフォンという、のちに登場する言葉は使用せず、当時の表現のまま「携帯電話」という言葉で進めていきます。
携帯電話版『ポートピア』
それぞれのプラットフォームは以下のようになります。
iアプリ(NTTドコモ) / ezplus(KDDI) / J-スカイ(J-フォン)
使用している画像は当時 メーカーのサイトで紹介されていた画像を保存しておいたもので、今回 当方で記事で使用するため調整・合成を行いました。
画像は著作権法 第三十二条 の引用についての主旨に則り使用させていただいております。
【出典】スクウェア・エニックス
1.iアプリ、ezplus、J-スカイ 版『ポートピア』
小さな画面でありながら細かく描き込まれていて、メッセージも漢字かな文字が使われて読みやすくなっています。BGMがつけられるなど、ファミコンからの改良版とも解釈できます。
不気味な雰囲気を持つ『ポートピア』からグレードダウンしてしまったという印象を当時は持ちましたが、ファミコンで実現できなかったことを形にしたという点で、ひとつの完成形かもしれません。
携帯電話版『ポートピア』は、2001年10月のiアプリ発売から始まって、各キャリア向けに順次リリースされました。利用料は"月額"300円で、いまでいうところのサブスクリプション方式を取り入れており、プレイしなくても毎月課金が発生していました。当時はサービス利用料のような位置づけで提供されていたアプリが多くありました。
2.3G通信端末版『ポートピア』
都会的でオトナの雰囲気をもつグラフィックに変わったほか、
システムまわりも独自のリニューアルがなされた。
サウンドの強化やムービーシーン、ヒント機能などが盛り込まれたバージョンです。
グラフィックについては、iアプリ、ezplus、J-スカイ 版よりもこちらのほうが『ポートピア』の世界観に合っている気がします。
こちらは月額料金ではなく、525円で一度ダウンロードすれば永続的に利用ができました。当時は「落とし切り」と呼ばれる買い切りタイプのアプリでした。
※『ポートピア連続殺人事件』のほかに、同シリーズとして携帯電話版『オホーツクに消ゆ』、『軽井沢誘拐案内』がありますが、本稿のテーマではないため割愛させていただきました。
(おまけ)登場人物の名前にみる表記の違い
オリジナルや関連書籍等からヤスの本名は「"真"野 康彦」と記載されていますが、携帯電話版では「"間"野 康彦」となっています。何か意図があったのかな?
いつまでも『ポートピア』
元々『ポートピア』のオリジナルはパソコン版ですが、パソコンゲームは一般の人の目に触れるところでは紹介されることが少なかったので、ファミコン版で初めて知る人も多かったようです。そこから『ポートピア』が賑わいを見せ始めたことを覚えています。ファミっ子だけではない大人までもゲームに興じている姿をみて、ゲーム文化に勢いを感じました。
そんななかビートたけし氏がファミコンに娯楽性を見つけたようで、いろいろな場面でゲームの話をしている姿を見ました。特に『ポートピア』は気に入っていたようで、ラジオやテレビ番組内で度々犯人の話題をだしていました。いま思えばミステリーの物語の犯人について配慮が必要であったのではと感じますが、当時は公共のメディアでゲームの話題がでたことにとても驚きました。
その後も度々 語り草の代名詞のように登場する『ポートピア』の話題は、世代やゲームの枠を越えて愛されているのだなと感じます。これは堀井氏の作品である『ドラクエ』のように、絶えずシリーズ作品がリリースされユーザーの関心が絶えない状況とは明らかに異なる現象です。
関連商品も発売されず、物語としてのシリーズは存在しない『ポートピア』ですが、これほどまでに長きにわたって語り継がれる作品は珍しいと思います。
1983年8月に発生したこの事件に、まだまだ関わっていくことになりそうです。
(完)