【三越350年の記憶】その1:催事場
「三越350年の記憶」プロジェクトの鈴木です。商業史上、重要な役割を果たしてきた三越の歴史を後世に残すため、史料を収集しています。将来的にはデジタルライブラリーとして一般公開したいと考えます。
さて、今回は「催事場」です。
掲載した史料は「御婚礼衣裳陳列会」「趣味の衣裳陳列会」のパンフレットです。この史料にも年代の記述はありません。手掛かりとしては、「四階西館」「五階西館」との催事場の位置。1923年9月1日の関東大震災で被災した三越は、10月12日に焼け跡にバラックを建てて、「三越マーケット」として営業再開。11月17日に本館を仮復旧し、3階までの売場で営業。10月~12月には都内各所に「三越マーケット」を開店し、大阪店から生活必需品などを販売して市民の生活を支えたと言われます。
1924年2月1日に本館の4階、5階を修復し売場を開設。1925年9月20日に西館(←今の日銀側の一角)を修築・営業を再開しました。この時より「下足預かり」は廃止となっています。
※下足の預かり場は地下1階でかなりのスペースを取っていたようです。売場面積の確保という目的もあったのではないかと思います。
この1925年の10月のフロア構成を見ると、4階と5階に催事場が見れます。
さらにもう一つの手掛かりは「日本橋 三越」との表現。「三越呉服店」の商号を「三越」に変更したのは1928年6月。つまり、このパンフレットは1928年以降だと確認できます。
さらにこのパンフレットは1色刷りのセピアカラー。以前ご紹介した『三越カタログ』(1928年)とも似ているので、恐らく1930年前後のものと推察されます。
なかなか味わいのある史料でした。
恐らく三越資料編纂室にも保存されていないのではないかと思います。ちなみに神田の古書会館にて500円で販売されていました。
余談ですが、神田の古書会館で開催されている即売会はなかなか良いです。貴重な史料が多数出品されています。この日は『三越売場案内』(1928年)が数ヶ月分で5,000円。戦前の仙台の七夕まつりの絵葉書(三越が写っているもの2枚あり)10枚で1000円…などなど。お金があったら買いたかった!