頑張らなくても没頭に誘う目標が見つかる組織開発
何かを成し遂げたいと思い、その思いのままに行動して成し遂げることができれば、人はストレスなく前に進むことができるのでしょう。しかし、障壁に阻まれたときは、より大きなエネルギーをかけなければなりません。ここで、障壁を越えるだけのエネルギーが自分にない、あるいは、それだけのエネルギーをかける価値を見出だせないとき、人は楽して何とかやり過ごせないかと考えます。そして、その手段がないときは、大抵、達成を諦めるのではないでしょうか。
だから、目標は、自分自身が、心からワクワクするものである必要があると思うのです。
ワクワクするとは、自分と目標の双方が強く引かれあっている状態、すなわち、単に「そう、なりたい」という想いの強さだけではなく、そうなることの必要性もまた、しっかりと内在しているということです。例えば、元サッカー日本代表の本田圭祐氏が小学生のころに書いたとされる作文では、サッカー選手になりたいという想いの強さだけではなく、「親孝行する」というサッカー選手になる必要性も明示されています。
本田氏の想いは、親孝行するためには大金持ちになる必要があり、大金持ちになる方法は、自分の場合、一流のサッカー選手になることだというロジックで表現されています。ここで重要な点は、「自分の場合」と、しっかりと自己分析をしていることです。つまり、サッカー選手や大金持ちが、手段であって目的ではないことが明示されているばかりか、手段に対しても、(客観的な要素もありながらも)自身の“やりたい”という想いが込められているのです。自分を起点とした目標であることが、目標を目標たらしめるのだと思います。
では、多くの会社が導入している目標管理制度ですが、その目標は、どのように立てられているでしょうか。自らがモチベーション高く設定しているケースは、少ないのではないでしょうか。そこで、目標を立てる際、「①やりたくないことを列挙する。②何が残ったのかを明らかにする。③残ったもので何ができるかを明らかにする。」というプロセスを推奨している方がいます。「やりたい」ことはなくても、「やりたくないこと」は簡単にみつかるものです。したがって、「やらなければならないこと」から「やりたくないこと」を引き算すれば、「やりたいこと」が残るということです。したがってこの本意は、「やりたい」を顕在化して、成果に繋げよということのように思われます。
目標に対してモチベーションを上げる、換言すれば成果を上げるには、没頭できることが必要だとは、よく指摘されていることです。これは、先の引き算の結果に残ったものに、積極的なモチベートがなくても、極端に言えば、引き算の結果がゼロになっても、一定の効果が期待されています。換言すれば、対象が何であれ、没頭は充実感を生み、結果的な満足感を与えるということです。そして没頭が生産量を増やし(成果を高め)、組織に貢献するという考え方です。
この考え方の正否は、本人に充実感と満足感を与えるのであれば、殊更に問題視する必要はないでしょう。問題は、どうしたら“没頭”が生まれるのかということだと思います。よく引き合いに出されるのが、ゲームでしょう。なぜ、人はゲームに没頭できるかというと、ゲームには“勝ちたい”という想いが根元に生まれるからです。この想いは、嫉妬・物欲・見栄などから形成されるため、まずは組織そして自身が、これらの一般に“褒められない”と言われる感情の全てを肯定する必要があります。これによって、少なくとも「やろうかなぁ」ぐらいの意識変革は芽生えます。そこに、敗者が「次こそは」と思う状態になれることが担保されれば、人は没頭へと向かうものと思われます。例えばゲームでは、レベル3のプレーヤーがミッションをクリアできなかったとしても、次のチャレンジはレベル3から始められるのであって、決してレベル1に逆戻りはしないし、ましてやチャレンジの機会を失うこともありません。つまりチャレンジャーには、プラスの評価はあってもマイナスの評価はないのです。これが没頭を生む、もう一つの条件だと考えます。
人を第一に考える(人的資本経営)とは、こういうことを言うのだろうと思います。つまり、人が前を向ける組織にすることです。やる気も、一体感も、ましてや成果も、組織が強制すべきもの(目的)ではく、結果にすぎないもののように思います。
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