超過死亡が50万人を超えた
2024年9月19日
10月から新型コロナワクチンの定期接種が始まるようだ。
それに水を差すような話題であるが、2021年4月以降に発生している超過死亡が、現在も続いており、2024年4月までの3年1ヶ月で、累計50万人を超えた。
国立感染症研究所のデータでは超過死亡はない?
超過死亡に関心を持たれている方なら、「現時点では超過死亡はなく、むしろ過少死亡になっているのでは?」と思われたかもしれない。
たしかに国立感染症研究所の発表では、昨年の2月を最後に超過死亡はなくなり、最近では過少死亡になっている。
超過死亡というのは、実際の死亡者数と予想死亡者数の差であるが、このデータを詳しく見ると、予想死亡者数が徐々に多くなっていることがわかる。
国立感染症研究所の予想死亡者数は、過去5年間の死亡者数を元に計算している。2024年の予想死亡者数は、2019年から2023年までの死亡者数を元に算出するので、2021年から2023年の増えた死者数が含まれていることになる。
※国立感染症研究所の超過死亡発表についての公開質問状を参照
この方法は、震災やインフルエンザというような短期的な影響を見るには適していても、コロナのような何年にも渡る長期的な影響は分析できない。
国立感染症研究所の超過死亡データは、コロナ関連の影響検討をミスリードする。
予想死亡者数の計算
予想死亡者数を計算するのは簡単ではない。
死亡者数は大きく分けて、以下の3項目で変動する。
1.季節
下のグラフからわかるように、死亡者数は脈を打つように変動する。寒い冬に死亡者数が多くなり、暖かい季節は死亡者が少ない。
2.年齢
上のグラフで脈を打ちながらも、年々死亡者数が増加している。これは、年々、高齢者の割合が増えているからである。
高齢者と若年者では死亡率が全く違う。下のグラフは年齢階層別の死亡率を示したものであるが、縦軸が対数になっていることに注意が必要である。5-9歳の10万人あたり年間死亡者数は7人。これに対して100歳以上になると、10万人あたり年間死亡者数は4万数千人になる。
3.人口
当たり前のことであるが、人口が減ると死亡者数は減り、増えると死亡者数も増える。
これらを考慮し、以下のような手順で予想死亡者数を算出した。
死亡者数データ
元データは厚生労働省の人口動態調査を使用した。その中でも、「(保管第7表)死亡数,都道府県(特別区-指定都市再掲)・死因(死因簡単分類)・性・年齢(5歳階級)別」のデータを使っている。
予想死亡者数計算のデータ
コロナの影響を受けない2010年から2019年までの10年間の年齢階層別死者数を使用。ただし東日本大震災の影響を取り除くため、2011年3月から1年間のデータは除外した。
年齢階層別に死亡率を見る
人口や年齢構成の変化を除くため、年齢階層別の死亡率を元に、予想死亡率を計算する。下に3つの例を示す。青線が実際の死亡率、オレンジ線が、それから予測した予想死亡率である。このような計算を全年齢階層でおこなった。2020年以降、青線とオレンジ線が乖離していることがわかる。
人口データを元に予想死亡者数を計算する
人口データは、総務省統計局の人口推計(各月1日現在人口「全国:年齢(5歳階級)、男女別人口」)を使用した。
このようにして計算した例を下に示す。これを全年齢層について行い、その合計も計算した。
超過死亡をまとめる
青い線とオレンジの線の差が「超過死亡」である。
そして、このようにして年齢階層別に算出した超過死亡を合計すると、日本全体の超過死亡となる。
以下に、総超過死亡と年齢階層別超過死亡(一部)のグラフを示す。
2021年4月から2024年4月までの超過死亡累計は50万4,877人となった。
年齢階層別に超過死亡を見る
高齢になると死亡率が増大するため、超過死亡のほとんどを高齢者が占める。
これでは若い人への影響が、高齢者に埋もれて見えないため、年齢階層別に、死亡率の増加割合を計算した。10代、20代という若い世代にも、死亡率が25%以上も上昇するなど、大きな影響があったことがわかる。
最後に
コロナ騒ぎが一段落したが、おそれがなくなったわけではなく、10月からは新型コロナワクチンの定期接種が始まる。国立感染症研究所は「現時点で超過死亡は見られない」と言っている。
これらの状況に疑問を覚え、自分なりに超過死亡を計算してみた。
元データは厚生労働省の人口動態調査で、国立感染症研究所と同じ。ただ、超過死亡の算出方法が異なる。
計算してびっくり、ワクチン接種が終わり、今年になってからは、ほとんど打たれていないのに、超過死亡は減っていない。
これは「超過死亡はワクチンと無関係」を意味するのだろうか。
それなら超過死亡の原因は何か。
それとも「ワクチンの影響は接種後も長く続く」のだろうか。それなら本当に恐ろしい。