米大統領選挙2024を予測
トランプ元大統領の暗殺未遂、バイデン大統領の大統領選挙撤退、カマラ・ハリス副大統領が候補者へ。
米大統領選挙を巡る動きが、小説よりもドラマティックである。
トランプは共和党の予備選挙を経て、共和党大会で正式に共和党の次期大統領候補として指名されたが、ハリスは、まだ民主党の正式な候補者に指名されているわけではない。
とはいえ、民主党はお祭り騒ぎで、マスコミも一斉にカマラ・ハリスを持ち上げている。おそらく、このまま民主党の次期大統領候補として指名されるであろう。
ということで、トランプ対ハリスという構図を前提に、大統領選挙の結果がどうなるかを予測してみた。
米大統領選挙の仕組み
予測するためには、大統領選挙の仕組みを知る必要がある。調べれば調べるほど、複雑で不思議な仕組みである。
一般の有権者の投票日は「11月の第1月曜日の次の火曜日」
2024年は11月5日である。
この投票によって、決まるのは大統領ではなく、各州の選挙人である。
「12月の第2水曜日の次の月曜日」(今回は12月16日)に、この選挙人が大統領候補に投票する。
そして、年明けの1月6日に、連邦議会の上下両院合同会議で選挙人による投票が開票され、ここで過半数を得た候補者が、1月20日正午に新大統領に就任する。
ああ、ややこしい。今一度整理しよう。
大統領選挙の投票は、ワシントンDCを含めて51の州毎に行われる。
それぞれの州には、人口に対応した選挙人の数が割り当てられており、州で勝利した大統領候補は、自分に投票すると宣誓したその州の選挙人を指名することができる。
選挙人の割当
アメリカには上院と下院があり、ワシントンDCを除く50の州における選挙で選ばれる。
上院は人口にかかわらず各州2人で計100人、下院は全体で435人で国勢調査の人口にもとづき、各州に配分される。
選挙人はこの上院と下院の議員数と同じ人数を各州に割り当てる。これにワシントンDCの3人を加えて、選挙人は100+435+3=538人となる。
選挙人の一番多い州はカリフォルニアで54人、少ないところでは7つの州が3人である。
勝者総取り
有権者による投票は州毎に行われ、勝者はその州の選挙人を選ぶことができる。たとえばハリスがカリフォルニアでトランプに勝ったら、ハリスはカリフォルニアの「ハリスに投票します」と宣誓した選挙人54人を指名することができる。
このように、州毎に選挙人を「勝者総取り」の仕組みで決定していく。
そして全州のトータルで、538人の選挙人の過半数である270人の選挙人を指名できた候補者が、12月16日の選挙人による投票で、大統領として選ばれることになる。
つまり選挙人による裏切り行為がない限り、11月5日の投票によって大統領が決まることになる。選挙人による投票は儀式のようなものである。
ブルーステート・レッドステート・スイングステート
このようにややこしい仕組みなので、予想は困難そうに見えるのだが、実際にはそうでもない。
ほとんどの州は民主党あるいは共和党のどちらかが強く、民主党が強い州はブルーステート、共和党が強い州はレッドステートと呼ばれる。これらの州では選挙結果を待たずに、結果が決まっている。
これに対して、民主党支持者と共和党支持者の数が拮抗している州が7つある。これらの州は、選挙によって結果が変わるため、スイング・ステートと呼ばれる。スイング・ステートは以下の7州である。
Arizona
Georgia
Michigan
Nevada
North Carolina
Pennsylvania
Wisconsin
これらの州の選挙人数を合計すると次のようになる。
ブルーステート 20州 226人
レッドステート 24州 219人
スイングステート 7州 93人
選挙をするまでもなくハリスは226人、トランプは219人の選挙人は確定であり、スイング・ステートの93人をどう獲得するかで勝負が決まることになる。
世論調査
このようなことから、選挙活動はスイング・ステートで行われ、世論調査も主としてスイング・ステートを対象に行われる。
7月に実施された世論調査の結果(複数調査の平均)は以下のようになっている。
いまのところトランプ優勢であり、このまま推移すれば、アリゾナ、ジョージア、ネバダ、ノースカロライナ、ウィスコンシンで勝利し、59人の選挙人を獲得する。
レッドステートの219人をあわせて278人を獲得でき、次期大統領に決まることになる。
しかし、世論調査で接戦となっているウィスコンシン州でハリスが勝てば、トランプの獲得選挙人数は268人にとどまり、ハリスが次期大統領に決まることになる。
結果予想
結論から言うと、現時点ではトランプ有利であるが、その差は僅かである。
スイング・ステートの内、特にペンシルベニアとウィスコンシンの動向次第と言えそうだ。
賭けにみる大統領選挙予想
アメリカではいろんなものが賭けの対象となっている。もちろん大統領選挙も、色々なサイトで賭けが行われている。
お金を賭けるのであるから、ハリスが好きとかトランプが好き、など自分の意見とは無関係に、どちらが勝つ確率が高いで判断することになる。そして、そのような多くの人の賭けた結果がオッズに反映される。
この状況はリアルタイムで公開されているので、これを見るのが、状況を知るのに一番てっとり早い。
8月1日時点でのオッズ(RealClearPolitics Betting Average)は以下のようになっている。
トランプ50.1%、ハリス44.0%で、ハリスが猛追している。バイデンでは勝てないと判断し、バイデンを撤退に追い込んだ民主党の戦略が当たったと言えそうだ。
この先どのようなレースが展開されるのか、ハラハラ・ドキドキである。